(事例で解説)恐喝の疑いで岐阜県岐阜市の男性が逮捕
恐喝の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
岐阜県岐阜市のバスターミナルで、運行会社の職員に対し「返金しろ」「金を返さなければ殺す」などと申し向け、運賃の返金を要求したとして男性が恐喝未遂の疑いで逮捕された。
岐阜中警察によると、男性は市内にある高速バスのターミナルで、乗車予定だった便に遅れたことを理由に、職員の顔に唾を吐くなどして運賃の返金を求めた疑いが持たれている
(本件はフィクションです。)。
~恐喝罪の成立について〜
(恐喝)
第249条 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
本件では、逮捕された男性はバスに乗車できなかったことは自己の過失にもかかわらず、バス会社のスタッフに対し正当な返金義務のない運賃を返還させようとしています。
乗車券の購入により運賃は既にバス会社の財産となっており、利用客に返金請求権が残存しない運賃規定が一般的である以上、男性が返金を求める行為は被害者側の「財物」の取得を狙いとした行為であると捉えることが可能です。
したがって、本件の対象は249条1項の「財物」に当たり、2項の「財産上の……利益」(典型的には債権)には該当しないものと考えられます。
次に、被疑者は「金を返さなければ殺す」などと生命に対する害悪を示し、さらに唾を吐きつけるという身体に対する軽い暴行まで加えています。
これらの行為は被害者に相当程度の畏怖を生じさせるに足り、「恐喝」の手段である脅迫・暴行要件を充足します。
もっとも、暴行の程度は相手から財物を強取する強盗(刑法236条)と評価するほど強烈ではなく、実際にたとえばカウンター越しに金員を奪い取ろうとしたわけでもないため、あくまで「恐喝」に該当するにとどまると考えるのが相当でしょう。
実際には返金に応じてもらえず、現実に財物の移転も生じていないから犯罪は未遂にとどまり、本件行為には恐喝未遂(刑法249条1項・250条)が成立し得るということになります。
〜刑事事件における逮捕後の弁護士の役割〜
本件のように逮捕されれば、当然ですが帰宅することができなくなります。
逮捕が想定されているようなケースであれば、一定の事前準備(弁護士の準備なども含まれるでしょう)が可能ですが、そのようなケースばかりではありません。
予期せぬ形で家族等が逮捕されてしまった場合、まず何にも増して重要となるのが弁護士による接見(弁護士を派遣して被疑者と面会すること)です。
逮捕されしまった方は、弁護士の到着によってようやく自らの権利・利益を擁護する立場の人間と話すことができます。
弁護士による接見を端緒として、家族とのコンタクト等を含め被疑者の事実上・法律上の不利益を最小限にするための活動が可能となるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件などの財産犯を含めた刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
恐喝の疑いで逮捕されてしまった方のご家族やご知人は、365日/24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。