(事例紹介)岐阜県瑞穂市で撮り鉄がJ R東海のロープを切断したとして器物損壊で逮捕

(事例紹介)岐阜県瑞穂市で撮り鉄がJ R東海のロープを切断したとして器物損壊で逮捕

岐阜県瑞穂市で、鉄道の写真を撮ることを趣味とするいわゆる撮り鉄がJ R東海のロープを切断したとして器物損壊で逮捕された事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案

岐阜県瑞穂市のJR東海道線で上下線を区切るための「トラロープ」を切断したとして、岐阜県北方署などは、器物損壊の疑いで、「撮り鉄」と呼ばれる鉄道写真撮影愛好者の3人を逮捕した。
逮捕されたのは、大学生ら2人と18歳の男子高校生1人。
逮捕容疑は、3人は共謀して(昨年10月22日未明から朝にかけて)、瑞穂市内のJR東海道線の線路で、上下線の間に設置されていたロープを切断した疑い。
岐阜県北方署によると、現場は列車を撮影できるスポットで、写真に写り込まないようにするため、ロープを切断したとみられる。

(岐阜新聞「「撮り鉄」3人逮捕、線路の「トラロープ」切った疑い 岐阜県瑞穂市のJR東海道線」(2024/1/12)を引用・参照の上、適宜要約・修正。)

~いわゆる撮り鉄が器物損壊の疑いで逮捕~

(器物損壊等)
第261条 前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(親告罪)
第264条 第261条⋯⋯の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

近年、撮り鉄などと呼ばれる鉄道愛好家の一部の行き過ぎた行動がニュースになることが度々あります。
本件で問題となっている器物損壊罪の客体には、「前3条」すなわち公用文書毀棄罪(刑法258条)、私用文書毀棄罪(同259条)、建造物損壊罪(同260条)の客体にならない「物」すべてが含まれます。
したがって、本件のような鉄道会社の管理に属するロープも本条の「他人の物」に該当し、これを切断したのですから当然に「損壊」に当たることになります。
さらに、本件では20歳を超えている大学生2人と20歳未満の高校生による犯行であるため、前者2人と後者では採られる手続きが変わってくることになります。
前者の成年は通常の刑事手続のルートに乗るのに対して、後者は少年法適用年齢であるため(少年法2条1項)いわゆる少年事件として成年の事件とは異なる手続きの対象となることに注意が必要です。

〜器物損壊事件における弁護士による弁護活動〜

例えば、窃盗罪が成立しない場合に器物損壊が成立する場合があるなどの犯罪の成立に関わる側面にも関わることですが、器物損壊罪は刑法犯としては窃盗罪に次いで認知件数の多い犯罪です。
そして、器物損壊罪も財産犯であるため、被害弁償や示談の成立が刑事処分を軽くするために重要になってきます。
特に、器物損壊罪は上記のとおり親告罪(刑法264条)であるため、告訴を取り下げてもらえれば不起訴処分となります(ただし、少年事件には原則として不起訴処分はありません)。
もっとも、本件のように被害者がインフラ企業や大企業の場合は、相手方が示談に応じる可能性は極めて低いのが現実です。
したがって、弁護士としては別の情状(前科前歴がない等)を主張し、弁護活動を行なっていくことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊事件などの財産犯を含む刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
器物損壊事件で逮捕された方のご家族等は、365日24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)まですぐにお問い合わせください。

 

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