動物愛護法違反で略式手続
岐阜県山県市に住むAさんは、犬のブリーダーを営んでおりましたが、犬の出産により増えすぎて、飼育が困難になったことから、どこかに捨てに行こうと考え、市内の山奥に捨てに行きました。
たまたまパトロールで通りかかった岐阜県山県警察署の警察官がその状況を確認し、Aさんは、動物愛護法違反の疑いで現行犯逮捕されました。
後日、Aさんから相談を受けた弁護士は、略式手続で事件が終了する可能性があることを指摘しました。
(フィクションです)
【動物愛護法とは】
現在、ペット産業市場が1兆5000億円を超え、出版不況の中でも猫の写真集が売上を伸ばすなど、ペットブームです。反面、避妊や去勢手術をせずに飼い猫が繁殖し続け、世話ができる頭数以上に増えてしまう多頭飼育崩壊が問題となっています。全国で多頭飼育による苦情件数が増加していると報告されている中、刑事事件に発展する例も出てきました。
動物愛護法では、愛護動物の飼い主に対して、主に以下の行為を禁止しています
・愛護動物をみだりに殺したり、傷つけること
・愛護動物に対し、正当な理由なく、餌やり・水やりを止めること
・愛護動物の健康・安全を保持することが困難な場所に拘束すること
・自分が飼養・保管する愛護動物が疾病にかかったり、負傷した場合に、適切な保護を行わないこと
・排せつ物等を掃除しないままの環境で飼養・保管すること
・愛護動物を遺棄すること
・特定動物を無許可で飼育・保管したり、不正な手段で許可を得ること等→6月以下の懲役または100万円以下の罰金
・多数の動物の飼養・保管に起因して周辺の生活環境が損なわれている事態が生じた場合に出される都道府県知事の必要措置命令に違反すること
量刑については、違法性の度合いや犯情等にもよりますが、罰金や執行猶予付きの懲役刑が多いようです。
【略式手続とは】
動物愛護法違反に対しては、略式手続により罰金を科されることがよくあります。略式手続とは、事実関係などに争いのない事件で100万円以下の罰金を科す場合において、簡易な手続により早期に事件を終了させる起訴の形式です。略式手続に際しては、①被疑者に対する略式手続の説明、②正式裁判に切り替えることが可能な旨の伝達、③書面による同意の確認が行われることになります。
略式手続は簡易裁判所における書面審理のため、事件の内容や自身の姿が法廷という公の場に出ることがなくなります。また、検察官による略式起訴から14日以内に略式命令が発せられ、それが送達されてから14日間は正式裁判をきちんと行うよう求めることもできます。これらの点は、被疑者(起訴後は被告人)にとって有益となりうるでしょう。
一方で、略式手続による場合、正式裁判を要求しない限り事実関係などを争うことはできなくなります。もし事実関係を争って無罪や刑の減軽となる余地があるのであれば、略式手続によることが必ずしも正解とは限りません。どのような選択をすべきか迷ったら、一度法律の専門家である弁護士からアドバイスを受けてみるとよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に造詣の深い弁護士が、弁護活動に真摯に取り組みます。
もし動物愛護法違反を疑われたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件専門の法律事務所として、刑を減軽してほしい、事件を早期に終了させてほしいなど、様々なご要望をお聞きします。
事務所での法律相談料は初回無料です。