【事例】
Aさんは、知人のVさんが一向に借金を返済しようとしないのに腹を立て、知人のBさんおよびCさんの協力のもとVさんを脅かすことを企てました。
その内容は、Vさんに対して「金が払えねえなら自殺を装って保険金で払えよ。俺が崖まで連れてってやるから」と言い、Vさんを無理やり車に乗せて数キロ離れた海岸まで走行するというものでした。
計画は途中まで予定どおり進んでいましたが、途中でVさんが車から脱出し、岐阜県下呂警察署に駆け込みました。
その後、Aさんらは監禁罪の疑いで逮捕されたことから、弁護士がAさんと初回接見を行いました。
Aさんは、接見に来た弁護士に対して執行猶予の可能性がないか尋ねました。
(フィクションです)
【監禁罪について】
刑法第二百二十条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
監禁罪は、正当な理由なくして人の場所的移動の自由を奪った場合に成立する可能性のある罪です。
監禁罪における「監禁」とは、一定の場所から脱出できないようにし、場所的移動の自由を不可能または困難にする行為です。
アパートの一室などの部屋に閉じ込めるのが典型例ですが、必ずしも建造物などの壁に囲まれた場所である必要はありません。
上記事例では、AさんらがVさんを無理やり自動車に乗せ、数キロ離れた海岸に向けて走行しています。
先ほど説明した「監禁」の定義からすると、こうした行為も監禁罪に当たる余地はあるということになります。
ちなみに、仮に脱出が物理的に不可能というわけではなかったとしても、そのことから当然に監禁罪の成立が否定されるわけではありません。
たとえば、自動車の走行スピードからして、脱出時に負傷するおそれがあって心理的に脱出しづらいという状況でも、監禁罪となる可能性はあります。
【執行猶予を目指すには】
具体的な事案次第ではありますが、初犯でなおかつ監禁の時間もそう長くなかった場合、たとえ監禁罪で有罪となっても執行猶予になる可能性があります。
執行猶予は、被告人に酌むべき事情が存在する場合に、一定期間言い渡された刑の執行を猶予するというものです。
執行猶予付判決が下されると、その後直ちに刑務所に収容されるという事態を回避できます。
それだけでなく、執行猶予を取り消されることなく一定期間が経過すると、それ以降言い渡された刑を受ける必要がなくなるのです。
科刑の事実自体は前科と言うかたちで経歴に残りますが、刑務所を回避して社会復帰を実現できる点で非常に有益と言えるでしょう。
刑の全部の執行猶予を得るためには、言い渡された刑が3年以下の懲役または50万円以下の罰金でなければなりません。
そのため、事件の内容が重いと、言い渡される刑も重くなって執行猶予の範囲外となる可能性が出てきます。
それに加えて、先ほど触れたように、執行猶予を付するうえでは被告人に酌むべき事情が存在する必要があります。
もし執行猶予を目指すなら、被告人に有利な情状を主張して、できるだけ軽い刑を目指すことが必要となるでしょう。
具体的な事情としては、事件について深く反省していること、被害者に対して謝罪および被害弁償を行ったこと、社会復帰のための環境が整えられていることなどが挙げられます。
特に懲役刑が執行猶予になるかどうかは、刑務所へ収容されるかどうかの分水嶺となる点で、その後の人生に大きな影響を及ぼすと言っても決して過言ではありません。
執行猶予の可能性を少しでも高めるなら、弁護士に事件を依頼し、充実した弁護活動を行ってもらうべきと言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の経験豊富な弁護士が、執行猶予を目指してできる限りの弁護活動を行います。
もし監禁罪の疑いで逮捕されたら、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(0120-631-881)にお電話ください。
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