ご近所トラブルで刑事事件に

ご近所トラブル刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

岐阜県恵那市に住むVさんは、庭に動物の糞が投げ込まれるという被害に遭っており、岐阜県恵那警察署に相談していました。
Vさんは、自宅に防犯カメラを設置した数日後、Vさん宅の玄関の鍵穴に接着剤が流し込まれるという事件が起きました。
警察に通報し、防犯カメラを確認したところ、近所に住むAさんの姿が映っていました。
警察は、Aさんを建造物損壊の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

近くに住む者同士、仲良くしたいものですが、残念ながら隣人との関係がうまくいかないこともあります。
しかし、ご近所トラブルが行き過ぎると、刑事事件に発展してしまうこともあります。
今回は、上の事例を基に、どのような罪が成立し得るのかについてみていきましょう。

建造物等損壊罪

Aさんの逮捕罪名は建造物等損壊罪です。
被疑事実は、Vさん宅の玄関の鍵穴に接着剤を流し込み、玄関ドアを損壊させたことであると考えられます。

建造物等損壊罪は、
①他人の建造物又は艦船を
②損壊した
場合に成立する罪です。

◇他人の建造物・艦船◇

「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことをいい、屋根を有し、障壁または柱によって支持され、土地に定着し、少なくともその内部に人の出入りが可能なものをいいます。
これまでの判例は、敷居・鴨居のように建造物の一部を組成し、建造物を損壊しなければ取り外すことができない物を損壊する行為は建造物等損壊罪にあたり(大判大6・3・3)、雨戸や板戸のように損壊することなく自由に取り外すことができる物を損壊する行為は、建造物等損壊罪ではなく器物損壊罪にあたる(大判大8・5・13)と解してきました。
しかし、最決平19・3・20は、建造物に取り付けられた物が、建造物等損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほか、当該物の建造物における機能上の重要性をも総合考慮して判断するべきだとする立場をとっています。
その上で、金属バットで叩いてへこまされた玄関ドアは、住居の玄関ドアとして外壁と接続し、外界との遮断、防犯、防音等の重要な役割を果たしていることから、建造物損壊罪の客体に当たるとしています。
このことより、玄関ドアも建造物等損壊罪の客体となり得ると言えます。

「艦船」とは、軍艦および船舶をいいます。

◇損壊◇

「損壊」とは、建造物・艦船の効用を害する一切の行為をいい、物理的な破壊に限りません。
玄関ドアの鍵穴に接着剤を流し込まれたことによって、鍵を差し込むことができなくなります。
鍵を差し込むことができないと、鍵をかけることができず、玄関ドアの防犯という機能を果たさなくなります。
このことから、玄関ドアの鍵穴に接着剤を流し込む行為は、玄関ドアの効用を害する行為であり損壊に当たるでしょう。

以上から、Aさんは建造物等損壊罪の罪に問われ得るわけですが、他にも、正当な理由なくVさん宅に侵入しているため住居侵入罪が成立するものと考えられます。
また、Vさんの敷地内に動物の糞が投げ込まれていた件についても、Aさんが行ったのであれば、迷惑防止条例違反(嫌がらせ行為)についても罪責が問われる可能性があります。

Aさんが容疑を認める場合には、被害者への謝罪と被害弁償、そして示談を成立させることが事件を穏便に解決する最も重要な要素となるでしょう。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのが一般的です。
当事者当時の交渉は、感情論的になり易く、難航する可能性が高いからです。
ご近所トラブルから端を発したのであれば尚更でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
数多くの刑事事件・少年事件を取り扱ってきており、示談交渉にも豊富な経験があります。
ご近所トラブルから刑事事件に発展し、対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。

 

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