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(架空の事例で検討)岐阜県下呂市のホテルで浴衣を不法領得してしまった。その後どうなる?

2024-10-14

(架空の事例で検討)岐阜県下呂市のホテルで浴衣を不法領得してしまった。その後どうなる?

静岡で刑事事件・加害者弁護

窃盗罪と詐欺罪の境界について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは岐阜県下呂市のホテルに宿泊した際、ホテルに備え付けてある浴衣が欲しくなり、従業員のVさんに「部屋に浴衣が無いので一つください。」と声を掛けました。
Vさんはホテルで働き始めてまだ3日目の、接客等の機械的な仕事に従事しているアルバイト従業員で、Aさんの言葉を信じて手に持っていた浴衣を渡しました。
AさんはVさんから受け取った浴衣をカバンに入れ持ち帰りました。
後日Aさんは岐阜県下呂警察署の警察官に、窃盗罪の疑いで話を聞かれることになりました。
(フィクションです)

【窃盗罪か詐欺罪か】

AさんはVさんを欺いて(だまして)浴衣を領得しました。
欺く行為があるから詐欺罪では?と思われるかもしれませんので、窃盗罪と詐欺罪を比較してみましょう。
 
窃盗罪
他人が占有する財物を窃取する行為は、窃盗罪を構成します。
事実上の占有権が窃盗罪の保護法益です。
窃盗の手段として暴行・脅迫によることなく、占有者の意思に反してその占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことです。

詐欺罪
詐欺罪の要件として、①欺く行為がある②錯誤に陥る③財産的処分行為がある④財物の交付があることが必要で、これには一連の因果関係が必要です。
財産的処分行為とは、財物を処分できる権限を有する者が、財物を交付することです。
 
窃盗の手段に欺く行為がある場合は、詐欺罪の要件を充足する場合には詐欺罪が成立し、詐欺罪が成立しない場合は窃盗罪が成立します。

【関係判例】

旅館の宿泊客に浴衣等を提供する行為は、その物を交付した従業員に処分意思がないことから、交付を受けた浴衣等を領得した場合は、窃盗罪が成立する(最高裁判所昭和31年1月19日判決)。
という判例があります。

【窃盗罪における弁護活動】

窃盗罪においては弁護士を通じて、被害者への被害弁償及び示談交渉を行うことがとても大切です。
被害届が提出される前に被害者に対して被害弁償をして示談を成立させることができれば、警察が入ることなく前科をつけずに事件を解決できる可能性があります。
窃盗事件としてすでに警察が取り扱っている場合であっても、被害者との間で被害弁償及び示談を成立させることで、逮捕や勾留により留置場へ入る可能性を下げることができます。
被害金額が大きくなく窃盗など同じような事件の前科がなければ、示談の成立により起訴猶予による不起訴処分になり、前科がつかないように目指すことも可能です。
起訴され裁判になった場合でも、被害弁償及び示談を成立させていれば執行猶予付き判決の可能性を高めることが出来ます。
窃盗罪に限らず、刑事事件において加害者本人が示談交渉を行うことはほぼ不可能ですが、弁護士が加害者に代わって示談交渉を行えば示談が円滑にまとめられる可能性が高くなります。
ぜひ早急に、刑事事件に強い弁護士への相談をおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の窃盗事件の弁護を行ってきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご自身やご家族が窃盗の罪に問われてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例で解説)詐欺および有印私文書偽造・同行使の疑いで男性が逮捕【岐阜県岐阜市】

2024-07-05

(事例で解説)詐欺および有印私文書偽造・同行使の疑いで男性が逮捕【岐阜県岐阜市】

詐欺および有印私文書偽造・同行使の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:岐阜県警は、詐欺、有印私文書偽造・同行使の疑いで、岐阜市の男性を逮捕した。
男性は、市内の会社に勤めていた2021年頃、社内の払戻権限を有する者が預金の払戻請求書を記入したように見せかけた書類を偽造し、市内の金融機関から現金だまし取った疑いが持たれている。
(本事例はフィクションです。)

~私文書偽造とは〜

(私文書偽造等)
第159条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し・・・・・・た者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2(以下、略)
(偽造私文書等行使)
第161条 前2条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。

文書偽造罪は、本事例がそうであるように、(社会的法益を保護する犯罪でありながら)しばしば詐欺をはじめとした財産犯に付随することが多い犯罪と言われています。
文書偽造と聞くと、多くの方は文書の内容を偽造することを処罰する犯罪だと思われるでしょう。
しかし、本件で問題となっている「私文書偽造」においては、原則として形式主義すなわち文書の形式面に関する信頼を保護するという立場が採られています。
したがって、偽造された私文書は(内容が虚偽であるかどうかに関わらず)作成名義が偽られたかどうかによって犯罪の成否が決まることになります。
本件で犯罪の成否の対象となる私文書は、金融機関への払戻権限がある者が作成したかのように見せかけた文書であり、これは有印私文書偽造罪が成立し得るものということができます。
さらに本件ではこれに加えて、詐欺罪と上記偽造の行使罪が成立し得ることになりますが、その処断刑は「その最も重い刑」となることに留意する必要があります(牽連犯、刑法54条1項前段)。

〜詐欺、私文書偽造事件における弁護活動〜 

本件のように逮捕されてしまうと、逮捕に引き続き勾留というより期間の長い身体拘束がなされる可能性が高いと言わざるを得ません。
(起訴前)勾留は、延長された場合には最大で20日間にも及ぶこととなります(刑事訴訟法208条参照)。
したがって、逮捕されてしまった方の身体拘束に伴う肉体的・精神的苦痛を最小限化するためにも、逮捕の早期段階から刑事事件に対する専門性を有する弁護士のサポートを受けることが重要です。
具体的な弁護活動として、長期に及ぶ可能性がある勾留を阻止したり最小限にとどめたりするための活動や起訴されることを防ぐための活動を行うことが考えられます。
このような弁護活動を通じて、捜査機関による恣意を抑制し適切な刑事手続の実現を図ることが可能となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、文書偽造事件などの刑事事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
文書偽造事件などで逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお電話ください。
担当者が、弁護士による迅速な弁護活動を行うために必要なお手続を分かりやすくご案内いたします。

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