駅員への暴行で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県大垣市の駅で泥酔してベンチで寝ていた会社員のAさんは、声を掛けた駅員に対して暴行を加えたとして、岐阜県大垣警察署に暴行の容疑で逮捕されました。
Aさんは、酔っていて事件当時のことを覚えていません。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、会社に事件のことが知られる前に釈放してほしいと思い、すぐに対応してくれる刑事事件専門弁護士に相談の連絡を入れました。
(フィクションです。)
駅員への暴行
国土交通省によると、令和元年における鉄道係員に対する暴力行為の発生件数は全国で611件と、5年連続で減少しているものの依然として高止まりしている状況だそうです。
そして、半数以上の加害者が飲酒有りの状態で犯行に及んだということです。
上の事例でも、Aさんは酒に酔った状態であり、駅員に対して突然暴行を加えたため、通報を受けて駆け付けた警察官に暴行の容疑で逮捕されています。
Aさんの暴力行為については、「暴行罪」が適用されています。
暴行罪は、刑法第208条に次のように規定されています。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
■犯行の対象■
暴行罪の犯行の対象は、「人」です。
行為者本人を除く「身体」を有する自然人を指します。
■行為■
暴行罪の実行行為は、「暴行」を加えることです。
ここでいう「暴行」とは、人の身体に対し、有形力を行使することをいいます。
例えば、殴る、蹴る、押す、突く、投げ飛ばすといった身体への接触を伴う物理力を行使する場合が典型例です。
暴行罪における「暴行」は、必ずしも傷害の結果を惹起すべきものであることを要しません。
また、暴行は、人の身体に向けられたものであれば足り、必ずしも人の身体に直接接触することを要しません。
例えば、通行人の数歩手前を狙って石を投げつける行為、人の乗っている自動車に石を投げつけて命中させ、ガラスを破損させる行為、狭い四畳半の室内で日本刀の抜き身を振り回す行為、自動車の幅寄せ行為について、「暴行」が認められています。
さらに、音響、光、電気、熱などのエネルギー作用も有形力の行使に含まれます。
人の近辺で太鼓などを連打し、意識朦朧とした気分を与え、脳貧血を起こさせたりする程度に至った場合や、携帯用拡張期を使用して耳元で大声を発する行為も「暴行」に当たるとされています。
■故意■
暴行罪は故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ罪は成立しません。
暴行罪の故意は、人の身体に対し有形力を行使することの認識・認容です。
「傷害するに至らなかったときは」とあり、暴行を加えた結果、人を負傷させてしまった場合には、暴行罪ではなく、傷害罪に問われることになります。
酔っぱらって駅員に暴力を振るったようなケースでは、被疑者が事件について記憶がない、あるいは曖昧である場合が少なくありません。
記憶がないから罪は成立しない、という訳ではありません。
駅には防犯カメラが設置してありますので、防犯カメラに事件の一部始終が記録されており、その映像により暴行の事実が客観的に立証されていることがほとんどです。
他方、防犯カメラの映像に事件当時の様子が収められており、物証が捜査機関に提出されている場合には、その後に被疑者が証拠を隠滅しようとしても不可能であるため、罪証隠滅のおそれがないと判断され、逮捕後に釈放される可能性はあります。
上の事例のように、駅員への暴行で逮捕されたケースであっても、早期に弁護士に相談・依頼し、勾留の要件を充たしていないことを客観的な証拠に基づいて検察官や裁判官に主張し、勾留をしないよう働きかけることにより、釈放の可能性を高めることが重要です。
また、被害者である駅員や事件対応に追われ通常業務に支障をきたしてしまった鉄道会社に対して謝罪や被害弁償、示談を成立することができれば、不起訴となる可能性もありますので、早期に弁護士に相談し、対応することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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