風営法違反

1 風営法の違反となる行為は何か

風営法とは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」のことをいい、「風適法」「風適法」と呼ばれることもあります。

この法律は「風俗」と名前にありますが、一般的にイメージされるような「性風俗」のみならず、飲食店やパチンコ屋などについても規制する法律になります。

風営法においては営業の内容によって規制の内容が異なってきます。

接待飲食等営業

キャバレーやバーのように従業員が接待をして飲食を提供する営業など(風営法2条1項1号から6号)

遊技場営業

パチンコ屋の営業や、スロットマシン・テレビゲームで射幸心をあおるような遊戯設備を置いている営業など(風営法2条1項7号、8号)

これらの営業については各都道府県の公安委員会に対して事前の届出の上、許可を得る事が必要となります。また、18歳未満の者を客としたり、従業員として客と接待させたりすることなども禁止されており、原則として営業時間は午前0時までとされています。

風営法の違反については罰則が設けられており、一番重いものでは2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科され、一番軽いものでも10万円以下の罰金とされています。

無許可営業については2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科されることになります。18歳未満の者を客としたり従業員としたりした場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。

18歳未満の者を従業員とした場合については、18歳未満であることについて過失(不注意)がない場合には罰則の対象とはされていませんが、年齢調査については戸籍や住民票などの客観的な資料の提出を受けるなどの調査をしなければ、不注意がなかったとは言えないとされています。

また、営業しようとする内容によって、店舗の構造について規制がなされており(風営法施行規則7条など)、その規制に適合しなければ営業許可がなされません。

風俗営業の類型としては他に「性風俗関連特殊営業」という類型の風俗営業があります。具体的には「店舗型」、「無店舗型」、「映像送信型」、「(無)店舗型電話異性紹介業」などがあります(2条5項)。

「店舗型」

ソープランドのように、個室で異性客に接触するもの、個室ビデオ店のように性的好奇心をそそる写真やビデオを販売したり貸したりするもの、ラブホテルやモーテルのように異性を同伴する客の宿泊に施設を利用させるものなど(2条6項各号)

「無店舗型」

デリバリーヘルスなど異性客の性的好奇心に応じて客に接触する営業で客の依頼を受けて従業員を派遣するものや、アダルトグッズの通信販売など(2条7項)

「映像送信型」

アダルトサイトのように、性的な行為の場面や人が服を脱いでいる場面を、インターネットなどを通して客に見せる営業など(2条8項)

「(無)店舗型電話異性紹介業」

テレフォンクラブやツーショットダイヤルのように、面識のない異性同士との一時的な会話の機会を提供するために、電話を取り次ぐ営業など(2条9項、10項)

 

これらの性風俗関連特殊営業については営業の届け出が必要とされており、無届営業をした者や、虚偽の内容の届け出をした者に対しては6月以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されています。

また、店舗型の性風俗関連特殊営業については、学校や児童福祉施設など、一定の施設の周囲200メートル圏内での営業が禁止されており(28条1項、31条の13第1項)、この規定に違反した場合には2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科されます。この営業禁止区域内においては広告やビラ貼りなども禁止されており、禁止区域内での広告に対しては100万円以下の罰金が定められています。

性風俗関連特殊営業においても18歳未満の者を従業員とすることは禁止されており、年齢の確認を怠った場合には18歳未満であると知らなかったとしても罰則の対象となります。

平成28年風営法改正について

平成28年の改正によって、新たに「特定遊興飲食店営業」という類型が定められました。これは、ダンスクラブなどの設備を設けて客に遊興させて飲食を提供する(種類を提供するものに限る)営業をいいます。酒類の提供のないものについては、通常の飲食店と同様に扱われ、風営法の適用外となります。

この改正は、ダンスクラブについて特別な規定を定めた改正で、営業時間の制限について従来は最長でも深夜1時までとされていましたが、特定の条件のもとでは営業時間が制限されなくなりました。

深夜0時ないし1時以降も営業できる条件には、届け出をしていること、店内が一定以上の明るさ以上であることなどがあります。

 

2 風営法違反における弁護

風営法違反については、警察が内偵調査などを事前に行ったうえで営業時間中に摘発、現行犯逮捕がなされる場合が多くあります。風営法違反については逮捕されないまま捜査が進められることもありますが、証拠隠滅などを疑われた場合には逮捕・勾留される可能性があります。また、店舗の摘発の場合、経営者は共犯関係にあるとみられ逮捕される可能性が高くあります。

逮捕・勾留されてしまった場合、速やかに弁護士を通して身柄解放のための活動を行うことになります。風営法の違反の程度が軽微であるということや、証拠隠滅のおそれなどがないことについて検察官や裁判官に説得的に訴えることが必要です。逮捕・勾留されてしまった場合には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

岐阜県の刑事事件・少年事件について経験のある弁護士が迅速に対応いたします。

風営法違反については実際の被害者がいる犯罪ではないため、示談をすることができません。そのため、まずは違法行為について十分に反省しなければなりません。風営法の規定は複雑な部分もあり、理解できないまま営業していたところ摘発されてしまったという場合もあるかもしれません。しかし、法律を知らなかったという弁解に対しては、反省していない、とみられてしまう可能性があります。開業の前に行政書士などともよく相談しておきましょう。

示談ができない分、贖罪寄付によって反省の気持ちを示すこともできます。これは、公共団体などに対して寄付を行うことで自らの犯罪について反省していることを示すものです。贖罪寄付についても反省のしるしとしてきちんと検察官、裁判官に分かってもらえるよう、弁護士を介して行う方がよいでしょう。

風営法違反について検察官が犯罪の存在について確信したとしても、前科が無かったり違反が軽微であったりという場合には不起訴処分がなされることや、略式起訴により直ちに身柄が解放され後に罰金刑のみの言い渡しを受けることも多くあります。

しかし、無許可営業を繰り返している場合や風俗店で賭博等もしていた場合、未成年者に性的サービスを提供させていた場合等には悪質な犯行であるとして正式な裁判として起訴され、懲役刑の言い渡しを受ける可能性もあります。起訴されてしまった場合はほとんどの場合において有罪となります。

全く自分は風俗営業に関与していないという場合には取り調べ段階から不利な調書を作成されてしまわないように対応しなければなりません。

罪を認めている場合であっても、真摯に反省の態度を示したり、店舗の売上金について贖罪寄付したりして、減刑を求めていくことになります。いずれにあっても弁護士から事件の見通しについて説明を受けたうえで、今後採るべき方針を確定させる必要があります。

外国人が日本に在留している間に風営法違反で検挙されたらどうなるのか?

外国人の方が風営法違反で検挙されるということも多くあります。日本に在留中に検挙されたとしても直ちに在留資格を失うわけではなく、風営法違反の場合、有罪判決を受けて1年を超える実刑判決が確定した場合に、在留資格を失います。

そのため、罰金刑の言い渡しを受けた場合や執行猶予付き判決を言い渡された場合には在留資格は失われません。

また、風営法違反に留まらず売春に関連する業務に従事していた場合にも強制退去事由となることがあります。

岐阜県の風営法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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