1 言語・文化の問題
日本に在留している外国人の方が日本国内で刑事事件に関わってしまった場合、日本の警察は、外国人に対する捜査においてはできる限り通訳をつけたり、翻訳文を示したりしながら捜査が行われますが、原則としては日本語で全て手続きが進みます。供述調書や逮捕状なども全て日本語で書かれているものを、外国人の母国語に訳して説明がなされます。
また、面会においても日本語で行わなければなりません。弁護士以外との面会では警察官が立ち会い、事件について話さないように監視していますので、日本語以外で会話することが制限されています。手紙のやり取りについても、警察に対して日本語で内容を説明したうえでなければ差し入れられないことがあります。
通訳が付けられる場合もありますが、通訳は法律の専門家ではありませんので、翻訳の段階で細かいニュアンスが変わってしまい、手続きを不正確に理解してしまうこともあります。英語やフランス語などの主要な言語であれば通訳人も多くいますが、少数言語となると、通訳人が見つからないことさえもあります。最悪の場合、母国語ではない言語で警察の取り調べが進んでしまいます。
外国人であっても十分な手続き保障がなされるべきであることには変わりありません。刑事事件の場合、刑罰を受ける可能性があるというだけではなく、後記のような強制退去という手続きが行われてしまうこともあります。
周りの外国人の方が逮捕されてしまった、取調べに連れて行かれてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。弊所では日本で犯罪に関与してしまった外国人の方の、岐阜県での刑事事件についても取り扱っています。
外国人の方の事件の場合、特に急いで弁護士が接見しなければなりません。弁護士がご依頼から24時間以内に接見に赴く「初回接見」も行っていますのでご利用ください。
逮捕勾留されてしまった場合、留置施設の中で身体拘束を受けることになりますが、そこでは文化や宗教の違いについては配慮が徹底しているとは言えません。一方お祈りや礼拝などの宗教行為をすることも人権として保障されなければなりません。食べ物についても様々な事情を抱えている外国人の方がいらっしゃいます。
留置施設の中での生活において不都合がある場合にも弁護士を通して捜査機関と折衝していく必要があります。粘り強く交渉することで、食事や宗教について外国人の方に合わせた生活を送ることができる場合もあります。
2 在留資格の問題
外国人の方が刑事事件に関わってしまった場合、最も気を付けなければならないのは在留資格の問題です。刑事事件の被告人として有罪判決を受けたとしても、強制退去事由となる場合とならない場合とがあります。
また、有罪判決を受けなくても特定の事業に関与していたというだけで強制退去事由になる事があります。
原則として、無期又は1年以上の懲役刑もしくは禁錮に処せられた場合には強制退去できるものとされており、退去後も10年(任意で退去した場合には5年)間は日本に上陸することができません。執行猶予付き判決や罰金刑のみの場合は、刑に処せられたことになりませんので強制退去事由とはなりません。
しかし、住居侵入罪や偽造の罪、傷害罪や窃盗罪など、一定の刑法犯については執行猶予付きの判決であっても、懲役刑や禁錮刑が言い渡されてそれが確定してしまうことが強制退去事由となることがあります。
覚せい剤取締法や麻薬取締法違反の場合、刑の内容に関わらず有罪判決が言い渡されたことが強制退去事由となります。
また、不法入国や旅券(パスポート)の偽造、オーバーステイ(在留期間経過後の残留)や、売春に直接関係のある業務をしたことなど、起訴され刑事裁判にかけられなくてもその行為自体が強制退去事由となる行為もあります。特に、在留資格外の活動については入管法違反により懲役か禁錮の言い渡しを受けたことで強制退去事由になる場合と、資格外活動で収入を得ていることが強制退去事由になる場合とありますので注意しなければなりません。
一定の刑以上が強制退去の理由となる場合、減刑を求めて弁護活動を行うことになります。日本で処罰されている行為についてその理由を理解して再犯を行わないように目指すとともに、きちんとした身元引受人を探すことで生活の監督も十分にできることを主張していくことになります。被害者のいる犯罪については、示談を行うことが非常に重要です。
懲役刑を受けたら絶対に日本には残れない?
強制退去事由となる判決を受けたとしても、または強制退去事由となるような行為をしてしまったとしても、在留特別許可を求めたり、難民認定を求めたりして日本で在留することを目指すこともできます。ですが、在留特別許可は平成27年度では38件申請があった内20件、難民認定については平成27年度では7586人が申請した内27人しか認められていません。現状として在留資格について争うことは難しい面もありますが、認められている事例もありますので、在留を続ける理由について積極的に主張していかなければなりません。
なお、在留資格が認められても、刑事裁判で実刑判決を受けた場合には日本の刑務所で服役しなければなりません。
身近の外国人の方の在留資格が問題となる岐阜県の刑事事件についてお困りの場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。ご本人の方の日本での在留の意向や今後の上陸の意向などについてもお聞きしたうえで、最善の弁護活動を行います。初回の相談は無料にて行っています。