【解決事例】岐阜市の現住建造物等放火事件で不起訴処分を獲得

【事案の概要】

Aさんは岐阜市にある専門学校に通っていましたが、対人関係に悩みを抱えていました。
精神的に非常に不安定な状態になっていたAさんは、持っていたライターで、専門学校内のトイレにあったトイレットペーパーに火を着けるという行為を複数回行っていました。
幸い、いずれも火災報知器が作動し、駆けつけた職員によりすぐに消火されたため、同トイレ内の壁の一部を焼損させただけにとどまりましたが、校内の監視カメラの映像から、Aさんの犯行であることが判明し、Aさんは岐阜県警察岐阜中警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんのご両親は「娘は心療内科で継続的に治療するよう勧められていました。今回の件はもしかしたら娘の病気が原因かもしれません。」とご相談時お話しされました。
(守秘義務の関係から、一部異なる表記をしています。)

【現住建造物等放火罪は極めて重大な犯罪】

現住建造物等放火罪は、刑法第108条に定められており、罰則規定として「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」という極めて重いものが定められています。
これは殺人罪(刑法第199条)の罰則規定と同じですので、その重大さがわかります。

(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

現住建造物等放火罪などの放火の罪の罰則規定が重い理由は、公共の安全(具体的には、不特定多数または多数人の生命・身体・財産)を保護法益としているからです。
建造物等への放火は、火を着けた建造物への焼損だけでなく、隣接する他の建造物等へ燃え移ることにより、不特定多数または多数人の生命・身体・財産に甚大な被害を及ぼす危険があるため、重い罰則が定められています。

そのため、起訴されて裁判となれば、厳しい刑事処分となることが予想されます。

【具体的な弁護活動】

まず弁護士が、専門学校へ連絡し、被害弁償を含めた示談交渉を行いたい旨連絡しました。
専門学校の代表者の方はこれに応じて下さり、被害弁償を含めた宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結することができました。

そして、弁護士が検察官に対し、①被害弁償が済んでおり、宥恕条項付きの示談が成立していること、②今回のAさんの行為は、Aさんの精神的な疾患が関係しており、専門医からも早急に入院治療が必要であると診断されていること、③今後はAさんの両親が監督し、Aさんの治療に協力することなどを挙げ、不起訴処分が相当であると主張しました。
その結果、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合、特に今回の現住建造物等放火罪のような重大な犯罪においては、示談交渉が重要になります。
宥恕条項付きの示談が成立すれば、不起訴処分や、起訴されたとしても情状事由があるとして執行猶予付き判決となる可能性が高まります。

また、今回の事案のように、精神的疾患が原因となって行為に及んでしまった場合は、刑事罰を科すよりも治療を優先するべきと主張したり、場合によっては責任能力を欠いていると主張することも考えられます。
今回の事案では、専門医から入院治療が必要であると言われるほど、Aさんの精神的疾患が重く、治療を優先すべきであるということを主張したことも、不起訴処分に繋がった要因の1つと考えられます。

ご家族の方が、精神的疾患が原因で刑事事件を起こしてしまいお困りの場合は、早急に刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

 

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