技術社員の業務上横領事件
技術社員の業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
岐阜県瑞浪市にあるV会社の技術社員であるAさんは、V会社の重要機密である新技術αに関する機密資料を保管する立場にありました。
Aさんはライバル社の社員であるBさんに説得され、自分自身も金に目が眩み、V会社の機密を不正入手した上、情報漏洩をし、その対価に高額な金銭を貰うことにしました。
Aさんは、V会社から機密資料を持ち出し、自宅でコピーをし、機密資料を元に戻し、コピーはBさんに渡しました。
後日、V会社内でAさんが業務上横領行為をしたという情報が出回ってしまいました。
(刑事事件例はフィクションです。)
【業務上横領罪について】
刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪の成立要件は、以下の通りです。
①業務上
②自己の占有する
③他人の物を
④横領する
以下、業務上横領罪の成立要件を細かく解説します。
業務上横領罪の①「業務上」とは、社会生活上の地位に基づき反復・継続して行われる業務のうち、財物を委託を受けて保管することを内容とする職業もしくは職務のことをいいます。
業務上横領罪の②「自己の占有する」とは、自分が事実上または法律上支配することをいいます。
業務上横領罪の③「他人の物」とは、所有者その他の権限者からの委託に基づいている他人の物のことをいいます。
業務上横領罪の④「横領」とは、委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、所有者その他の権限者でなければできないような処分をすることをいいます。
【情報漏洩について】
刑事事件例では、Aさんは情報を技術社員として預かっており、業務上横領罪の「業務上」という要件や「他人の物」という要件を満たします。
また、刑事事件例のように情報の保管責任者が情報を持ち出した場合、情報の占有は情報の保管責任者にあったといえます。
よって、業務上横領罪の「自己の占有する」の要件を満たします。
さらに、情報漏洩目的で情報を持ち出すことは、委託関係を裏切ったような、所有者その他の権限者でなければできない行為であるといえます。
よって、業務上横領罪の「横領」に当たると考えられます。
以上より、Aさんには業務上横領罪が成立すると考えられます。
【業務上横領事件の早期解決について】
業務上横領事件を早期に解決するためにはどうすればよいでしょうか。
業務上横領事件の早期解決の一つの手段としては、正式に謝罪をしたり、会社の損害を埋めたりする示談があります。
ここで、技術社員の業務上横領事件が発覚してしまった場合、技術社員の方は会社から解雇されてしまっているかもしれません。
その場合、技術社員の方が会社の担当者(法務部員など)の方と連絡をとるのが難しい可能性もあります。
こういうとき、刑事弁護士は、技術社員の方の代理人となって、会社担当者の方と話をして、業務上横領事件が早期に解決できないか、話をつけることができないかと示談交渉をしていきます。
もし示談が成功した場合、業務上横領事件の被害届の提出や告訴の前であれば、そのまま警察が介入することなく業務上横領事件が解決することになるでしょう。
業務上横領事件の被害届の提出や告訴の後であれば、被害届を取り下げてもらったり、告訴を取り消してもらったりすることで、業務上横領事件の円満解決を目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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