強盗致傷で裁判員裁判

強盗致傷裁判員裁判となるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aは、万引きの常習者でした。
ある日、Aは岐阜県本巣郡北方町の商店で瓶ビールと食品を万引きし、小走りでそこから立ち去ろうとしました。
しかし、店主VはAの万引きに気が付き、Aを追跡しAの肩を掴んだため、Aは捕まってはならないと思い、とっさに持っていた瓶ビールでVの腕を思いっきり殴打しました。
Vは腕を抑えてその場にしゃがみ込みましたが、Aは通行人に取り押さえられました。
その後、Aは強盗致傷岐阜地方検察庁で起訴されました。
弁護人から、強盗死傷の場合には裁判員裁判対象だと聞き、Aは、通常の裁判との違いについて質問しています。
(フィクションです。)

万引きが強盗致傷に?

万引きは、通常、窃盗罪に当たります。
しかし、万引きをした人が、「捕まるまい。」と思って警備員や店員に対して暴力を振るった場合には、「事後強盗罪」が成立する可能性があります。

事後強盗罪は、刑法第238条に次のように規定されています。

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

ここでいう「窃盗」とは、窃盗犯人のことです。
そして、窃盗犯人が、
(a)財物を得て、これを取り返されることを防ぐ目的:他人の占有を侵奪して事実上自己の占有下にある財物を被害者側に取り返されるのを防止しようとする意図、
(b)逮捕を免れる目的:窃盗未遂又は既遂の行為者が、被害者などから取り押さえられて身柄を拘束されるのを防止しようとする意図、
(c)罪跡を隠滅する目的:窃盗犯人が後日窃盗犯人として捜査官に検挙され処罰されることとなると認められる罪跡を無にしようとする意図、
いずれかの目的を持って、
暴行又は脅迫をした場合に、事後強盗罪の構成要件に該当することとなります。
ここでの「暴行・脅迫」は、相手方に対する有形力の不法な行使、害悪の告知のことであり、その程度は、相手方の反抗を抑圧するに足りるものでなければなりません。

Aは、万引きを行った上、店主に捕まえられまいと思い、盗んだビール瓶で店主の腕を殴打するといった暴行を加えていますので、事後強盗罪の構成要件に該当するものと考えられます。
その上、Vに怪我を負わせてしまった場合には、強盗致傷罪となります。

強盗致傷罪の構成要件は、強盗が人を負傷させたことです。
「強盗」とは、強盗犯人のことで、「強盗」と論じられる昏酔強盗、事後強盗の犯人もこれに含まれます。
強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役です。

裁判員裁判について

裁判員裁判は、選挙権をもつ国民の中から抽選で選ばれた裁判員6人が、裁判官3人とともに死刑を含む一定の重罪事件を審理し、事実認定と量刑判断を行う制度です。
裁判員裁判の対象となる事件は、死刑又は無期懲役・禁錮刑を含む重罪事件の他、法定合議事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件です。

裁判員裁判では、通常の刑事裁判とは異なり、公判期日前に公判前整理手続が行われます。
これは、公判が始まる前に、裁判官、検察官、弁護人の3者で事件の争点及び証拠を整理する手続です。
この手続では、検察官に対して証拠開示請求を行い、被告人に有利な証拠を収集・整理した上で、適切な主張と立証の綿密な準備を行う必要があります。

また、裁判員は一般市民から選ばれた人たちですので、彼らがこちらの主張をしっかりと理解してくれるように分かりやすい言葉で証拠や事実を説明し、通常の刑事裁判よりもより丁寧に検察官への反論を行っていかなければなりません。

このような活動は、刑事裁判に豊富な知識や経験、高度な弁護技術が求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー