ひったくりで不起訴

ひったくりで不起訴

岐阜県美濃加茂市在住の無職のAさんは、友人Bさんとひったくりをしようと考えました。
そして、同市内の路上で、Aさんの運転する原付バイクの後部に友人が乗り、友人が、付近を歩行中のVさんんの手に持ったカバンをひったくったのですが、その際に被害者の女性は転倒し、肩を脱臼する傷害を負いました。
通報を受けた岐阜県加茂警察署は、Aさんらを捜索して発見し、AさんとBさんを、強盗致傷罪の容疑で緊急逮捕しました。
(フィクションです。)

○ひったくり事件○

ひったくり窃盗罪です。
しかし、ひったくりの際に被害者が転倒するなどしてケガした場合は、強盗致傷罪となることがあります。
窃盗罪の法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であるのに対して強盗致傷罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」と非常に厳しいもので、強盗致傷罪で起訴された場合は裁判員裁判によって刑事裁判が行われ、実刑判決が言い渡される可能性が高くなります。

○共犯事件○

刑法では、二人以上が共同して犯罪を実行することを「共犯」と定義しています。
共犯事件には、「必要的共犯事件」と「任意的共犯事件」があり、内乱罪や騒乱罪、収賄罪や贈賄罪のように、構成要件の性質上、二人以上によって成立する犯罪を「必要的共犯事件」といい、Aさんの事件のように、単独でも成立し得る犯罪を、二人以上で行った事件を「任意的共犯事件」といいます。

任意的共犯には「共同正犯」「教唆犯」「ほう助犯」の3つの態様があります。
今回の事件でAさんは、友人と共同で犯罪行為を実行しているので「共同正犯」となります。
共犯は正犯と同じ刑事罰を受けるので、Aさんは「強盗致傷罪」の刑責を負うことになります。

○不起訴を目指して○

窃盗罪強盗致傷罪の疑いで捜査が開始されると、その後、警察署および検察庁での取調べなどを経て検察官が事件の取り扱いを決めることになります。
具体的には、①起訴して正式裁判を行う、②略式手続で罰金の支払いにより事件を終了する、③不起訴として事件を終了する、のいずれかです。
ただし、②は正式裁判より簡易な手続で罰金刑が科されるに過ぎず、その本質は①の起訴とそう変わりません。

また、被疑者が逮捕・勾留により身体拘束を受けている事件では、一度処分を保留して釈放することもあります。
上記①から③のうち、最もよいのは当然ながら③不起訴です。
もし不起訴となれば、裁判が行われない、刑罰が科されない、前科が残らない、といったメリットがあるからです。

不起訴の理由は様々ですが、罪を犯したという事実が争いにくいのであれば、狙うべきは起訴猶予による不起訴です。
起訴猶予とは、被害者の態度、犯罪の内容、犯罪後の対応などの様々な事情を考慮し、敢えて起訴を見送るというものです。
罪を犯したことを認めたうえで不起訴を目指せるため、被疑者としては無理やり無罪を狙わなくてもよい点で有益と言うことができます。

実務上起訴猶予による不起訴は少なからず見られますが、その決定打となる事情は被害者との示談の締結だと考えられます。示談というのは、謝罪や被害弁償などを行うことで、当事者間で事件が解決したことを示すものです。
これにより、捜査機関としては積極的に刑罰を科す必要性が薄れ、結果的に不起訴というかたちで終わるのでしょう。
この不起訴を狙うのであれば、きちんと示談できるようにぜひ弁護士に事件を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、不起訴にしてほしいという依頼者様の希望に真摯に耳を傾けます。
窃盗罪強盗致傷罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

 

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