放火事件で逮捕されたら

放火事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県加茂郡坂祝町に住むAさんは、遺産相続の件で、同町に住む親族のVさんと揉めていました。
ある日、酒に酔ったAさんは、Vさん宅に火の付いた新聞紙を投げ入れました。
火は家に燃え移りましたが、Vさんの家族が気付いたことで早期の消火活動が行われ、家の一部を焼くに留まりました。
付近の防犯カメラの映像から、Aさんの容疑が高まり、数日後、岐阜県加茂警察署は、現住建造物等放火の疑いでAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

放火の罪

刑法には、その第9章において、放火罪および失火罪について規定されています。
放火罪・失火罪は、火によって公共の危険を生じさせうるものであり、建造物などが燃えることにより、不特定多数の人の生命・身体・財産に危険をもたらす犯罪です。

放火罪は、その客体に応じて、①現住建造物等放火罪、②非現住建造物等放火罪、③建造物等以外放火罪、の3つがあります。
今回は、事例において問われている①現住建造物等放火罪について説明します。

①現住建造物等放火罪(刑法108条)

放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

◇客体◇
現住建造物等放火罪の客体は、「現に人が住居に使用し、または人が現在する建造物、汽車、電車、艦船もしくは鉱坑」です。
「建造物」とは、家屋その他これに類似する建造物をいい、屋根があり壁または柱で支持されて土地に定着し、少なくともその内部に人が出入りすることができるものをいいます。
建具などの家屋の従物は、毀損しなければ取り外せない状態にある場合にのみ建造物の一部となります。

「現に人が住居に使用し」とは、犯人以外の一切の者が、起臥寝食の場所として使用することを意味し、現在しているか否かを問いません。
また、「人が現在する」というのは、放火の当時、犯人以外の者が中にいることをいいます。

◇行為◇
現住建造物等放火罪の行為は、「放火して」客体を「焼損」させることです。

放火」とは、目的物の燃焼を惹起させる行為、あるいは、それに原因力を与える行為をいいます。
放火には、家に直接火をつける、家に火をつけるために布団に火をつけるといった作為だけでなく、不作為による放火も含まれます。

「焼損」とは、火が放火の媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続しうる状態に達することをいいます。
目的物の主要部分が毀損することや、効用が害されることまでは必要とされません。
例えば、家の柱、ひさし、ひさし受けの一部を燃焼させた場合や、天井板を約1尺四方焼いた場合などは、「焼損」に当たるとされます。
放火行為と焼損との間には因果関係がなければなりません。

◇故意◇
現住建造物等放火罪の故意は、人が現に住居として使用していること、または他人が現在する建造物であることの認識、および放火によりその客体を焼損させることの認識であり、未必的でも足ります。

放火事件で逮捕されたら

放火事件(ここでは現住建造物等放火としましょう。)で逮捕されると、逮捕後に勾留される可能性は高いでしょう。
法定刑に死刑も含まれる重罪ですので、有罪となった場合には厳しい刑罰が科される可能性があり、「被疑者が逃亡するおそれがある」と判断され得るからです。

捜査が終結し、有罪とするための証拠が十分にあると検察官が判断すれば、被疑者は起訴され、被告人となります。
現住建造物等放火罪の法定刑には、懲役刑以上の刑しかありませんので、略式手続に付されることはなく、検察官は公判請求という形で公訴を提起します。
検察官からの公判請求を受けて、裁判所は当該事件についての審理を開くわけですが、先述したように、現住建造物等放火罪の法定刑には死刑が含まれているため、現住建造物等放火事件は、裁判員裁判対象事件となります。

裁判員裁判は、裁判官に加えて、市民から選ばれた裁判員が事件を審理するもので、通常の裁判とは異なる点が多々あります。
例えば、裁判員裁判対象事件では、公開の審理が行われる前に、裁判官、検察官、被告人・弁護人の3者で行う公判前整理手続に付され、裁判での争点を明らかにし、裁判で取り調べる証拠を整理します。
こうすることで、適正迅速でわかりやすい裁判にすることができます。
また、一般市民の代表である裁判員が参加することで、通常の裁判では専門用語を並べて行っていたものを、より分かりやすい形で法廷での弁論を展開しなければなりません。

このように、裁判員裁判は、通常の刑事裁判とは異なる点も多く、弁護人は、より高度な弁護力が求めらます。

放火事件でご家族が逮捕された、裁判員裁判対象事件を起こしてお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。
まずは、お気軽にご相談ください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー