飲酒と犯罪

1 お酒と犯罪の関係

飲酒は世間に広く知られている嗜好ですが、アルコールは人の神経に作用し犯罪とも深い関係にあります。

平成20年8月に行われた法務省の調査では、成人男性受刑者の内、全くお酒を飲まないという人は全体の16%にとどまり、残りの84%の人は普段からお酒を飲む、ないしは機会があればお酒を飲むという人でした。

また、毎日のように大量のお酒を飲んでいる人は全体の29%でした。飲酒が直ちに犯罪に結びつくわけではありませんが、罪を犯してしまった人の中には飲酒に関する問題を抱えている人が多いことや、飲酒によって行動に歯止めが効かず粗暴犯や窃盗に及んでしまうことが多いことが報告されています(法務局 / 飲酒の問題を有する犯罪者の処遇に関する総合的研究)。

お酒と犯罪との関係については、

①お酒を飲んでいることが犯罪の要素となっているものと、
②酔っ払って歯止めが効かなくなって行ってしまうものとに大きく分けられます。
  
①お酒を飲んでいることが犯罪の要素となるものとしては、飲酒運転のように被疑者自身がお酒を飲んでいることもの、準強姦や昏睡強盗のように被害者にお酒を飲ませて行う犯罪があります。

②の犯罪は特定の犯罪に限られるものではなく、お酒が原因となって起こしてしまうもの、お酒と別の原因とが合わさって起こしてしまうものなど、様々な形態のものがあります。
  
①のような犯罪については、お酒を飲んでいた量や飲ませた量が問題となります。

②のような犯罪においては、飲酒していたことや飲酒させたことが犯罪にどのように影響しているのかについて詳細に検討して主張しなければなりません。特に、お酒に酔って裁判員裁判となるような重大な犯罪を起こしてしまった場合、裁判員に「お酒に酔っていたのだからしょうがない」と思われるのか、「お酒に酔って犯罪をするなどけしからん」と思われるのかによって、刑も変わってきます。

お酒を飲んで罪を犯してしまった、お酒の勢いで犯罪をしてしまったという岐阜県の方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。事件の概要に応じて弁護活動を行います。

 

2 犯行の時にお酒を飲んでいたことの扱われ方

犯行の時にお酒をどのくらい飲んでいたのか、どの程度アルコールの影響を受けていたのかという点は、裁判においては、警察によるアルコール検査や飲酒テスト※の結果などを証拠として判断されます。

※飲酒テスト…医療機関などで、決められた量のアルコールを決められた時間で摂取し、血中アルコール濃度や意識の変化を調べる検査のこと。

犯行時に飲酒していたことが刑を重くする事情として働きやすいのは、危険運転致死傷罪(いわゆる飲酒運転での人身事故)です。飲酒運転に対しては厳罰する方向で刑法が改正されたこともあり、飲酒量が多いことが運転行為の危険を基礎づけるものとなります。

また、飲酒運転で人身事故を起こしたことを隠そうと、事故後に飲酒をするというケースも増えてきたことから、飲酒運転を隠そうとお酒を飲むこと自体も刑罰の対象とされるようになりました。被害者の方がなくなった場合の危険運転致死罪は裁判員裁判対象事件とされています。

また、以前から飲酒時に犯罪をしてしまう傾向が分かっていたのに、再び飲酒の上犯罪をしてしまったという場合には常習的な犯行と見られ、刑が重くなることもあります。

一方、飲酒により周囲の状況や自分の行動を理解できていなかったという場合には、責任能力が無い、ないしは低下していたという主張がありえます。責任能力が無い(⇒心神喪失)場合には罰せられず、責任能力が低下している(⇒心神耗弱)場合には刑が軽減されます。

一般的に、飲酒により責任能力が無いもしくは低下しているとみられるのは、病的酩酊状態であると言われています。病的酩酊とは、飲酒により極度に興奮している状態や記憶がない状態である等の状況から判断されます。

ここで注意しなければならないのは、飲酒していたことが直ちに刑を軽くする事情となるわけではない、ということです。飲酒のみによって責任能力が否定されることは少なく、被疑者・被告人の本来の性格やうつ病・統合失調症等の症状、睡眠薬や向精神薬の服薬の影響などと合わさって、犯罪の時に責任能力があったのかどうか判断されます。
  
ストレスの多い現代社会において、蓄積したストレスから精神疾患にかかってしまったり、飲酒して普段の不満が爆発してしまったり、といった事情から放火や殺人と言った重大犯罪に至ってしまう場合があります。

飲酒して犯罪をしてしまった方や、家族がお酒を飲んで大変な犯罪をしてしまったことでお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。岐阜県の刑事事件に強い弁護士が、飲酒が犯罪に与えた影響について説得的に主張します。

「お酒を飲んで記憶がない」というと、捜査機関からは「否認」していると思われ、逮捕等、身体拘束がなされる場合もあります。弊所では逮捕された場合に、弁護士がご依頼から24時間以内に面会に出動する初回接見を行っています。取調べへの対応や今後の見通しについて弁護士が丁寧にご説明いたします。ご利用ください。

アルコール依存症はどんな扱いを受けるのか?

依存症であるということが直ちに罪を左右する事情になるのではなく、犯罪に与えた影響によって意味づけが変わってきます。

アルコールに限らず薬物などの依存症の場合については、反省することや断酒・断薬することを誓うのみではなく、専門の医療機関に係るなどして治療を受けることが必要であると考えられています。依存症であることを自分でしっかりと認識して、克服しようとする姿勢をきちんとあらわすことが必要です。

 

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