1 児童福祉法違反となる場合
児童(18歳未満)との性交渉や性行為と類似した行為(「淫行」)については児童福祉法違反として10年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されます(児童福祉法60条1項、34条1項6号)。
淫行として処罰の対象になるのは、教員としての立場や親としての立場等、成年者が児童に対する影響力があることを利用して性行為などをした場合です。
児童がある程度合意していたり、児童側から性行為などを誘引したりしたとしても、児童福祉法違反になる場合があることになります。
このような影響を及ぼさず児童と淫行した場合には岐阜県の青少年健全育成条例違反となります。
この児童が16歳未満であった場合(但し、当該16歳未満の者が13歳以上の場合は、5歳以上年長者に限る。)には合意の有無に関係なく、不同意性交等罪(旧 強制性交等罪)、不同意わいせつ罪(旧 強制わいせつ罪)が成立することになります。
親による性的虐待はどうなる?
現在、両親が自分の子に対して淫行を行った場合には児童福祉法違反とされます。
しかし、2017年3月の国会において、性犯罪の等の刑法の一部について改正する法案が提出され18歳未満の子の親が性交やわいせつな行為をした場合に監護者強制性交等罪や監護者強制わいせつが成立するとの法改正がなされました。
そのため、親による性的な虐待は監護者強制性交等罪として罰せられる可能性が出てきます。自分の子のみならず、例えば再婚相手の連れ子であっても同様です。
そして、強制性交等罪を非親告罪とする改正もなされているため、子やその親が告訴していなくても逮捕、起訴される可能性が出てくる法改正となっています。
2 青少年健全育成条例違反となる場合
買春や子に対する立場を利用した場合でなくとも、未成年者との性交や性交に類似する行為は、青少年健全育成条例の違反となります。各都道府県によって定め方は異なりますが、岐阜の場合は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が定められています。非親告罪ですので、児童の告訴などがなくても逮捕、起訴される可能性はあります。
なお、18歳未満の者による、18歳未満の者との性交(未成年者同士の性交)は、罰則の対象とはされていません。また、結婚を前提としたような真剣な交際をしている男女である場合、性交があったとしても条例違反とはなりません。青少年健全育成条例が罰則の対象としているのは、「みだらな」性交等であるためです。岐阜県の青少年育成保護条例では、「みだらな性行為」を「結婚を前提としない単に欲望を満たすためのみに行う性交」と解釈がなされています。
多くの都道府県において、性交の相手が18歳未満の者であったことについて全く知らなかった場合には条例違反としては罰せられませんが、知らなかったことについて過失があった場合には条例違反となります。過失があったかどうかは、淫行があった時の青年の容姿や言動などから判断されることになります。
岐阜県の条例ではこのような特別の規定があるため、過失があったに場合にも罰則の対象となりますので、「薄々感づいていた」などの場合には18歳未満であることについて知っていたと判断される場合もあります。
3 児童福祉法違反、青少年健全育成条例違反の場合の弁護
いずれについても、被害者とされる18歳未満の児童がいますので、その両親と示談することが重要になります。しかしご家族の方が、被害感情が激しい場合もあり、金額面でも感情面でも示談をまとめるのが難しい場合があります。当人同士で示談しようとすると更に問題が複雑化してしまう場合もありますので、事件の当事者ではない弁護士が交渉に当たる必要があります。
また、児童福祉法違反の場合、被害者と被疑者が非常に近い関係にあることもありますので、逮捕・勾留される可能性があります。逮捕後の取調べにおいては供述を元に調書が作成されますが、調書は警察官が作る物ですので供述とニュアンスが異なる場合があります。些細な言葉遣いであっても、その違いから、児童に対する影響力を利用したかどうかの判断が分かれることもあります。
青少年健全育成条例違反で逮捕勾留された場合であっても同様です。取調べにおいて、児童が18歳未満だとは知らなかった、と供述していたとしても、調書では違う言葉遣いがされていることもあります。18歳であることを知らなかったため無罪の主張がなしえたのに不利な調書が作成されてしまったがために無罪の主張が難しくなってしまう場合もあります。
逮捕されてしまった場合にはすぐに弁護士と連絡を取るように警察官に申し出ましょう。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ではご依頼から最短即日で弁護士が接見に赴く「初回接見」を行っています。弁護士から、取調べの対応方法の相談を受けられることで不利な調書を作られる危険を回避できます。
警察から取り調べのために呼び出された場合でも、岐阜県の刑事事件・少年事件に強い弁護士による同行サービスも行っています。調書を作成したが内容に不利な点がないかどうか、その場で弁護士と相談することができます。
どちらの刑罰の場合でも、初犯である場合や児童ポルノや児童買春などの余罪がなければ罰金刑や執行猶予付きの判決を得られる見込みもあります。しかし、法改正の動きもあり、親が子供に対してした児童福祉法違反については悪質と評価される傾向にあり、前科などがなかったとしても実刑判決を受ける可能性があります。
実刑判決を回避するための確実な手段はありませんが、罪を認めている場合にはきちんと反省することが重要です。児童に対する性行為等は児童のその後の成長においても大きな影響を与えるものであることをしっかりと認識し、心から反省していることを裁判所できちんと話さなければなりません。
岐阜県の児童福祉法違反、青少年健全育成条例違反についてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。初回の相談は無料で行っています。これらの犯罪は、未成年者に対する性犯罪と捉えられるため、社会からも非常に厳しい目が向けられています。
ご相談者様にとって最善の形で事件の終結がみられるよう、岐阜県の刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士が尽力いたします。