日本版司法取引・刑事免責制度

1 制度の概要

司法取引制度は,冤罪のおそれといった問題点を抱えても,諸外国で多く採用されており,日本においても導入されることになりました。

日本においては,他人(※)の犯罪事実を明らかにするための供述を条件に罪の免除や軽減を検察官と合意する司法取引制度(捜査・公判協力型協議・合意制度)と,証言を証人には不利益に取り扱わないことを条件に証言を求める刑事免責制度の二つがその柱となります。

※自己の犯罪について捜査段階で自白した場合,司法取引は成立しません。

 

⑴ 捜査・公判協力型協議・合意制度(改正刑訴法第350条の2第1項,第2項,第350条の3)

捜査・公判協力型協議・合意制度とは,検察官が,特定の犯罪(詐欺といった一定の財政経済関係犯罪及び薬物銃器犯罪並びに公務の執行を妨害する罪など)について,弁護人の同意を条件に,被疑者・被告人との間で,被疑者・被告人が他人の犯罪事実を明らかにするための供述等をし,検察官が不起訴や特定の求刑等をする旨の合意ができる制度です。

合意をするためには弁護人の同意を必要とするほか,合意に至る協議も,原則として検察官と被疑者・被告人及び弁護人との間で行います。

 

(2) 刑事免責制度(改正刑訴法第157条の2,第157条の3)

証人が刑事訴追を受け,又は有罪判決を受けるおそれのある事項についての尋問を予定している場合又は当該事項を証言拒絶した場合であって,当該事項についての証言の重要性,関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し,必要と認めるときは,検察官の請求と,裁判所の決定により,証言を証人に不利益な証拠としない代わりに,証言拒否を認めない制度です。

刑事免責制度については,証人の同意は不要なので,一方的に裁判所から証言を強要される制度ともいえます。

 

⑶ 類似制度(独占禁止法でのリーニエンシー制度)

公正取引委員会の調査前に,違反行為を通告した場合,課徴金が減免される制度です。要は,カルテルを形成しているグループにはカルテルによる利益を吐き出させるために課徴金という重たい制裁金が科せられますが,その課徴金を減免する代わりに,お上に密告を促すというような制度です。

より密告を促進するため,早くに通告した企業がより減額を受けられる制度になっています。

導入前は,カルテルの利益を保持させることの倫理的問題点や,制度の実効性が疑問視されていましたが,導入後はその有用性が認められています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,岐阜県の刑事事件専門弁護士・スタッフが在籍しておりますので,司法取引・刑事免責制度の事件で相談したいことがございましたら,弊所にご相談ください。

 

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