1 物を壊した場合の罪
人の物を壊してしまった場合には主に次のいずれかの罪に当たる場合があります。
公用文書等毀棄罪・・・公用所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した場合
3月以上7年以下の懲役
私用文書等毀棄罪(親告罪)・・・権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した場合
5年以下の懲役
建造物等損壊罪 ・・・他人の建造物等を損壊した(壊した)場合
5年以下の懲役
器物損壊罪(親告罪) ・・・上の3つ以外の他人の物を損壊した場合や傷つけた場合
3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料
「器物損壊」は他人の何を壊したのかによって、該当する罪が変わってきます。
建物に取り付けられている物を壊してしまった場合、器物損壊罪になるのか建造物損壊罪に当たるのかどうかの違いは、建物から取り外せるかどうか、壊れた物が建物にとってどれだけ重要かという点によって判断されます。
また、自分の物であってもほかの人に差し押さえられたり、貸したりしていた場合には器物損壊罪の対象となる場合があります。
「損壊」とは粉々にして壊すというものに限らず、その物を汚したりして、使えなくするという方法も含みます。例えば文書を丸めてしわくちゃにして床の上に投げ捨てた場合にも私用文書毀損罪になりますし、他人の食器に尿をかけて使えなくした場合にも器物損壊罪になります。家の壁に落書きをする行為も建造物損壊罪に当たる場合があります。
動物も刑法上は「物」として扱われていますので、動物を傷つけた場合には器物損壊罪になります。動物の場合はわざと逃がした場合にも器物損壊罪に当たるという裁判例もあります。
これらの罪はいずれも故意があった場合にのみ成立し、過失によって人の物を壊した場合、つまり、不注意によって人の物を壊してしまった場合などには犯罪とはなりません。
岐阜県の器物損壊罪等でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
2 器物損壊罪等の場合の弁護活動
上記のような器物損壊罪等の場合、実際に物が壊れていて被害品があるため被害を弁償して示談することが重要です。示談金は実際に壊れた物の価値が一つの目安になります。
壊してしまった物が、親告罪の対象の物だった場合には示談の際に告訴しないようにお願いしたり、告訴を取り下げてもらったりすることで、刑事事件として扱われることを回避できます。壊れたものに対して被害者の方の思い入れの程度などによって、示談の進み具合は変わってきます。
また、器物損壊等の罪であっても逮捕・勾留されてしまう場合があります。
特に建造物損壊罪は、5年以下の懲役と他の器物損壊の罪よりも刑が重くなっており、刑罰を恐れて逃げるのではないかと疑われてしまう可能性もあります。逮捕・勾留されてしまった場合にはいち早く弁護士に相談することが不可欠です。早期に弁護士が動くことによって早期に身柄解放が実現しやすくなります。解放されることで元の生活に戻ることができ、被害者への謝罪や弁償も行いやすくなってきます。
家族や知人が逮捕・勾留されてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件に経験と知識のある弁護士が、最短当日に逮捕された方の元へ面会に向かう、「初回接見」も実施しております。
早くから弁護士に依頼しておくことで、警察に取り調べられている時から裁判に至るまでに、有利な処分を得られるような活動を行うことができます。
器物損壊罪として警察の捜査を受けた場合であっても、弁償ができている場合や十分に罪を反省しているといえる時は「起訴猶予」として扱われることもあります。器物損壊の罪は過失犯(故意がなく不注意で罪を犯してしまった場合)は処罰しないとされていますので、故意がない、と判断されれば「嫌疑不十分」として扱われることもあります。
このように器物損壊の罪では、起訴される前に事件を終わらせる、「不起訴処分」を得られる場合が多くあります。特に、建物損壊罪は起訴された場合、罰金刑の定めがないため、懲役刑を回避するためには、まず不起訴処分を得られることが一つの分かれ目になります。
仮に起訴されてしまったとしても、実刑判決を回避するための弁護活動が可能です。被害を弁償しているという事情や、罪を自覚して十分に反省しているという事情を裁判で主張することによって、罰金刑もしくは執行猶予つきの判決を得られる見込みは十分にあります。起訴される時点で、罰金刑の定めがある罪に関しては、検察官に対して略式起訴とするよう働きかけることもできます。
裁判の中で、無罪を主張することもできます。何度か出てきていますが、器物損壊の罪はどれも過失犯の場合は罪となりません。どんなに高価なものを壊してしまった場合であったとしても、故意がなければ罪とはなりません(民事上の損害賠償請求は別となります)。
被害者の方が強く怒られて、告訴され、正式な起訴をされたとしても、わざとではないのであるから無罪であると主張することが可能です。無罪であることを主張するためには、警察の取調べに対して適切に対応しなければなりません。
この時点で自分の言い分とは違う調書が作成されてしまった場合、後にそれを覆すことは困難です。取調べを受けるにあたっては、岐阜県の、刑事事件を専門的に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件はいつでも弁護士に頼むことができます。早い段階から弁護士のアドバイスを受けることによって後々不利な証拠を残してしまう危険を回避できます。