1 公然わいせつとは
公然わいせつ罪は文字通り、「公然とわいせつな行為をした」ことをいいます。
「公然」とは、不特定、又は多数に人の目につくようなことをいいます。人の目につく方法に制限はありませんので、夜中の路上で露出するという行為や密室内で性交渉をする様子を見物客に見せるのも公然わいせつ罪にあたる可能性があります。
「わいせつな行為」はどのような行為をいうか、非常にあいまいな部分もあり、現在は、むやみに人を興奮させ刺激したり羞恥心を煽ったり、善良な性的道義に反する行為が「わいせつな行為」とされています。これは社会や文化の変化によって変化するものといえます。ボディービルダーの方が下着一枚の姿になって公衆の前に出てポーズをとっても、それが公然わいせつ罪にあたると考える人は多くないかもしれません。しかし路上で性器を見せつけることについては公然わいせつ罪と考える人も多いでしょう。
性的な表現を含む表現が、公然わいせつ罪にあたるものであるか否かは、個別の判断が必要となります。
現在、公然わいせつ罪にあたると考えられているのは、性行為や性交に似せた行為、ストリップやハプニングバーなどで露出する行為などがあります。ストリップやハプニングバーなどの風俗店舗では、客であった場合も罪になりますし、店舗を経営して公然わいせつをさせていた支配人も罪に問われています。
公然わいせつ罪は、見たくない物を見てしまったという意味での被害者はいますが、特定の被害者のいる犯罪ではありません。そのため、路上で裸になった際、たまたま通りに誰もいなかったとしても犯罪になりえます。また、性犯罪の一種ではありますが親告罪ではなく告訴がなくても刑事事件として手続きが進みます。
2 公然わいせつ罪の弁護
公然わいせつ罪は「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」の刑が定められており、性犯罪としては軽い刑が定められています。そのため、いきなり正式起訴されて裁判を受けるということは多くなく、多くが不起訴処分や罰金刑のみを言い渡す略式起訴で終結することになります。ただし、複数繰り返されている場合には執行猶予の付かない実刑判決が言い渡されてしまう場合もあります。
公然わいせつが警察に知られる場合としては露出しているところを警察に通報され、現行犯で逮捕されるケースが多くを占めます。しかし、露出行為についてはそれを見ていた人以外に証拠が多くなく、身元引受人がきちんといる場合には逮捕されたとしてもすぐに身柄が解放されることが見込めます。直ちに弁護士が就くことによって早期の身柄解放を目指すことができますし、拘束が長期間になるときは捜査機関に対して抗議すること弁護活動が考えられます。早期に身柄が解かれることで、会社や学校に対して連絡が取れないという不利益を回避することができます。
また、公然わいせつは直接の被害者がいない犯罪ではありますが不快な思いをされた方はいますので、その方に示談金として迷惑料などを弁償することが考えられます。被害を受けた方に対してきちんと謝罪のためのお金が支払われていることが、罰金刑の額を決める際に考慮されることも期待できます。実際に見た人がいない場合であっても贖罪寄付などにより反省を示すこともできます。このように犯罪について十分反省していることをきちんと検察官や裁判官に分かってもらうためにも、弁護士を通して活動をすることが重要です。素人判断で進めてしまった結果、反省をきちんと処分に反映してもらえなかったという事態にならないために、弁護士に相談しましょう。
何度も露出を繰り返してしまう場合、家庭生活や仕事でのストレスが原因となっていることがあります。露出することの快楽や解放感から、辞めたくても辞められないという方もいます。根本的な再犯の防止のために、医療機関にかかることが必要なケースもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が、事件のみではなく、再犯を防ぐためにはどうしたら良いかという点も踏まえて弁護活動をいたします。再犯を防ぐことが、結果としてその後の刑事処分に影響することになります。