恐喝罪で逮捕
Aさんは、友人のVさんが約束の日を過ぎても一向にお金を返さず苛立っていました。
そこで、Vさんを少しおどかそうと思い、知人であり体格のいいBさんとCさんの協力のもと返済を迫ることにしました。
ある日、AさんはVさんに「遊びに行こう」と誘い、岐阜県関市にあるVさん宅まで迎えに行きました。
そして、Vさんを後部座席にいるBさんとCさんの間に座らせたうえで、「早くお金を返してくれないと少し手荒な手段をとることになる」などと言いました。
こうしてAさんはVさんにお金を返してもらいましたが、後日恐喝罪の疑いで岐阜県関警察署に逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの妻は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
【恐喝罪について】
人を恐喝して財産を交付させた場合、恐喝罪が成立する可能性があります。
「恐喝」とは、財産の交付を目的とする暴行または脅迫を指します。
暴行・脅迫を用いて財産の交付を迫る罪は、恐喝罪のほかに強盗罪もあります。
強盗罪と恐喝罪の区別は、暴行・脅迫が相手方の反抗を抑圧するに足りる程度であるかどうかによります。
その程度は暴行・脅迫の内容などから客観的に判断される事柄であり、たとえば激しい暴行や凶器を用いての脅迫があれば反抗の抑圧が認定されやすくなります。
ですので、簡単に言うと暴行・脅迫がさほど強くない場合には恐喝罪が成立する可能性が高いと言えます。
上記事例では、AさんらがVさんに対して「早くお金を返してくれないと少し手荒な手段をとることになる」などと言っています。
こうした文言に加えて、Vさんの両隣に体格のいいBさんおよびCさんがいることからすると、上記発言は一般に人を畏怖させるようなものと考えられます。
そうすると、Aさんは脅迫を手段として金銭の交付を受けているとして、恐喝罪が成立する可能性があります。
ちなみに、こうした行為は正当な権利行使の範囲内として罪に当たらないようにも思えますが、実際にそう判断されることは少ない点に注意が必要です。
上記事例においても、Vさんを脅す以外に借金の返済を求める方法はあったと考えられ、正当な権利行使には当たらないと考えられます。
【示談による事件の解決】
恐喝罪は、財産の交付(支払免除を含む)を行う相手方が被害者となる罪です。
そのため、処罰の当否を判断するに当たっては被害者の意思が多分に考慮され、最終的な処分が被害者に委ねられているといっても過言ではありません。
そこで、不起訴や執行猶予といったより有利な処分にするには、被害者との間で示談を締結することが重要となります。
示談という言葉を聞くと、刑事事件をお金で解決する、といったイメージが強いかもしれません。
たしかに、示談の締結に際して被害弁償が重要な要素であることは否定できません。
ですが、示談の本質はお金を払うことではなく、そうした行為などを通して被害者の許しを得ることにあります。
示談交渉に際してその点を意識するのとしないのとでは、最終的な処分への影響の度合いが大きく異なってくる可能性があります。
以上のことから、示談を締結するに当たっては、円滑な示談交渉や妥当な合意のためのノウハウが重要になってきます。
事件の当事者間で示談交渉を行うのが不可能というわけではありませんが、交渉決裂や過度な要求といった種々のリスクが伴いがちです。
示談をより意味のあるものにするなら、やはり弁護士に示談交渉を依頼するのが得策です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、豊富な示談交渉の経験を有する弁護士が、執行猶予や不起訴を目指して最適な内容の示談を締結します。
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