恐喝罪

1 恐喝とは

恐喝罪とは文字通り、「人を恐喝して財物を交付させ」る行為を言います。

恐喝とは、相手を畏怖させる(怯えさせる)暴力や脅迫のことをいい、相手や第三者に対して何かしらの害を加えると告げる事でも恐喝となります。「恥ずかしい秘密をばらすぞ」と言ったり、「友達に怪我させるぞ」と言ったりして財産を要求することが恐喝となり得ます。いわゆる、カツアゲや美人局(つつもたせ)のような行為です。告げる内容の中に嘘が含まれていたとしても、恐喝罪は成立します。

また、恐喝の対象は目に見える「財産」のみではなく、「利益」も含まれます。「借金を全額免除しろ」と脅したり、「一週間後に金を持ってこい」と脅して約束させたりすることも恐喝にあたるとされています。

恐喝罪の場合に問題となるのは、正当な権利行使となりうる点です。具体的には、貸したお金を返してもらうよう求めた際に、つい勢い余って脅迫めいたことを言ってしまった場合です。

貸したお金を返してもらうこと自体は正当な権利行使でありそれ自体は犯罪となりません。返済を渋る借主に対して、早く借金を返すように何度も促すことも恐喝とは言えません。しかし、例えば社会的地位などを利用して「返さなければどんな目に合うのかわかっているのか」と凄んだり、凶器を見せつけながら「金を返せ」と求めたりした場合には恐喝罪が成立する可能性があります。

このような行為が恐喝罪となるのかどうかについて、判例では「社会通念上」認められるものかどうかによって判断されます。また、このような貸し付けが問題となっている場合には被害者とされる人から告訴されてしまう場合もあります。正当な行為だと思っていた行為が犯罪に当たらないかどうか不安である場合には弁護士にご相談ください。

恐喝罪は、脅迫罪と同じ方法でなされる犯罪ですが、恐喝罪が成立している場合には脅迫罪は成立しません。恐喝については現実に被害が発生する前に警察に届けられることも多く、恐喝が未遂で終わることもあります。

 

2 恐喝罪の刑

恐喝罪については、「10年以下の懲役」の刑が定められています。

また、窃盗罪と同様に、配偶者や親、同居の親族に対する恐喝については刑が免除されています。同居していない親族に対する恐喝は親告罪とされており、告訴がなければ起訴されることはありません。

口論などから、「誠意を見せろ」と言って金銭を求める形で恐喝罪に発展するという事もあり、家庭内での恐喝事件もあります。その場合には告訴の取下げを得る弁護活動が重要になります。

 

3 恐喝罪の弁護

恐喝罪は脅された被害者がいる犯罪になるので、被害者と示談することが重要です。

脅し取った分の財産の弁償に加えて、迷惑料なども含めた示談金を支払うことになります。場合によっては今後被害者とは一切接触しないという示談をする必要があります。

また、恐喝の場合、被害者に対して強い働きかけがなされているため、逮捕・勾留がなされたり、勾留中の面会の制限が付けられたりする可能性があります。逮捕されてしまった場合にはすぐさま弁護士に相談して今後の対応を考えることが必要です。弁護士であれば、面会の制限が付いていても、面会が可能です。弁護士との面会中は、警察に会話が録音されたりビデオで記録されたりすることもありません。

逮捕されてしまった家族との連絡でお困りの方も弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。弁護士が24時間以内に接見に赴く「初回接見」も行っております。

恐喝罪について罪の自覚がある場合には、きちんと反省することも重要です。初犯で身元引受人がきちんといる場合や、被害が大きくない場合には不起訴処分の見込みもあります。恐喝罪には罰金刑がありませんので、罪を認めている場合、不起訴処分で事件を終わらせられるかどうかが一つのポイントです。

もしも起訴されてしまった場合、裁判官に対して反省を示して再犯をしないときちんと主張できれば、執行猶予付き判決を得られる可能性もありますが、恐喝罪は刑が「10年以下の懲役」と重く、前科がなく未遂に終わったとしても犯行が悪質である場合にはいきなり実刑判決となり刑務所へ行かなければならない場合もあります。

一方、恐喝に当たるような行為をしていない場合には、無罪であることを主張できます。貸していたお金の返済を求めた場合のように、被害者が殊更に被害を大きく申告している可能性もあります。無罪を主張する場合には、逮捕・勾留中の取調べに対してきちんと対応しなければなりません。また、現在の裁判での有罪率を考えると、検察官に対して無罪であるから起訴しないよう求めることも必要になります。
  
恐喝を疑われていてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。恐喝罪は重い刑が定められている一方、罪が成立しない場合もある犯罪です。岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が、知識と経験に基づいて最善の弁護活動を行ってまいります。

 

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