1 強制性交等とは
強制性交等は、「暴行又は脅迫を用いて」,性交,肛門性交,口腔性交をすることを言います。被害者が加害者との性行為等について合意していない、いわゆる、レイプ(rape )のことをいいます。13歳未満の者に対しては、両者の合意があったとしても「姦淫」しただけで強姦罪とされます。
この「性交」とは、男性器が女性の性器に一部または全部を挿入することを言います。強制わいせつ罪との違いは、この挿入行為があったかなかったのかという点になります。
手段とされている暴行・脅迫とは、被害者の抵抗を著しく困難にするものをいうとされています。実際に被害者が抵抗不可能だったという状況は必要ではなく、周囲の状況や被害者の年齢や健康状態にも照らし合わせて被害者の抵抗を困難にさせる程度の暴行や脅迫が行われたのかどうかが問題となります。例えば、ナイフなどの凶器を見せて「騒ぐと刺すぞ」と脅す行為や、性交する目的で無理やり被害者を自動車の中に押し込む行為などがあります。
※平成29年の刑法の改正によって,女性だけではなく,男性も被害者となり得ることになりました。また,加害者も男性に限らず,女性も被害者となり得ることが加わりました。行為についても性交のみではなく,いわゆる口淫等,処罰の対象が広がっています。更に刑の下限が引き上げられ,「5年以上の懲役」の定めとなっています。
加害者と被害者が交際している場合や、夫婦である場合でも暴行・脅迫の上で性交に及んだ場合には強制性交等罪が成立します。
強制性交等の罪は親告罪から非親告罪へと変更され、被害者が告訴しなくとも刑事事件として扱われることになります。この告訴は被害者本人が警察などに対してしますが、被害者が未成年である場合には両親などの法定代理人が告訴するかどうかを決めます。
非親告罪ではありますが,被害者と示談が出来ているかどうかが起訴・不起訴を決める重要な要素であることに変わりはありません。
「準」がつくとどのように罪が変わるのか
準強制性交等罪とは暴行・脅迫を用いないで、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」強制性交にあたる行為をすることを言います。例えば被害者が深く眠っているところを狙ったり、被害者にお酒を飲ませて泥酔させたり、睡眠薬などの薬物を飲ませて正常な判断能力を失わせた上で姦淫した場合には準強制性交等罪となります。
罪名には「準」とつきますが、強制性交罪と同じ刑が科されます。
性交等の際に被害者が怪我を負った場合や死亡してしまった場合には強制性交等致死傷罪となり、刑が重くなる他、裁判員裁判の対象事件となります。
強制性交等罪をはじめとして性犯罪については現在でも重い刑が科されており、更に厳罰化するべきとの考えも強くあります。強制性交等罪に関わったことでお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士が、事件の見通しに沿って弁護活動を行います。
2 強制性交等の場合の弁護活動
強制性交等罪を警察が事件を認知した場合、その多くは被害者からの申告や告訴となりますが、逮捕勾留の手続きがなされる可能性が他の犯罪よりも高くなっています。
しかし、逮捕されてしまった場合、特に強制性交等罪については被害者といち早く示談することが重要です。起訴されてしまうと無罪判決を得ることは非常に難しいです。また、強制性交等罪は刑が重いため起訴された後の保釈が法律上難しくなっていますので、一度逮捕されてしまうと、不起訴処分とならない場合、裁判が終わるまで数カ月にわたって身柄拘束が続いてしまうこともあります。強制性交等罪については住居侵入罪などの余罪に関する捜査も伴うことが多く、起訴されるまでで1か月以上の身体拘束が行われることもあります。
そのため、逮捕されたら直ちに弁護士と相談して身柄解放と不起訴処分の獲得に向けた活動を始めなければなりません。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ではご依頼から最短当日に弁護士が面会を行う、「初回接見」を行っております。
被害者と示談して告訴を取り下げてもらえるかどうかが刑事事件となるかどうかの大きな分岐点となりますが、告訴を取下げてもらうことができなかったとしても、きちんと示談して反省していると示すことが、その後の裁判で有利な事情として主張することができます。
何度も同じ行為を繰り返してしまうという場合、専門の心理カウンセラーによる治療を行うことも考えられます。必要な治療を行うことが再犯の防止になりますし、再犯防止に向けた活動を行っていることが裁判でも有利な事情になります。上記のとおり、強制性交等罪は刑が重く、情状酌量などがなされない限り執行猶予が付くことはありません。起訴されてしまった場合も減刑を求めることは可能ですが、起訴されてしまう前から、早期の弁護活動が重要です。
被害者と性行為をした事実がない場合には無罪や暴行や脅迫罪が成立するにとどまるとの主張もありえます。強制性交等罪は人目に付きにくいところで行われる犯罪でもあり、被害者の供述の他には証拠がない場合も考えられます。特に以前には男女関係があったという場合、痴話げんかなどから発展し、合意のない性交渉だったとして被害届が出されるという例もあります。
被害者とされる方の言い分について法律の専門家である弁護士が、きちんと聞いたうえで対処することにより、刑事事件となる前に事態を終結できることも多くあります。その場合は取調べに対して適切に対応し、嘘や不利な自白調書が作られてしまわないようにしなければなりません。
もしも強制性交の被害者になってしまった場合
強制性交の被害に遭ってしまった場合、恥ずかしさや自分にも落ち度があったのではないかと思い犯罪に巻き込まれたことを警察や家族に言えない方もいらっしゃいます。警察に行くと警察官に囲まれて、思い出したくない事件のことを根掘り葉掘り聞かれると思い、告訴したくてもできず、泣き寝入りしてしまわれる方もいます。
現在、強制性交に限らず性犯罪の被害者保護が進み、警察でも同性の警察官が対応する専用の窓口が設置されています。異性が取り調べを行う場合でも、特に被害感情について配慮するよう求められています。
また、その後の裁判においても住所や名前を法廷で明らかにされないようにする措置や、証言しなければならない場合でも人の目に触れないようにブラインドなどを置くよう求めることができます。
犯罪の被害に遭ってしまってお困りの方も弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。岐阜県の、刑事手続きの専門的な知識を持つ弁護士が、告訴状の提出や警察への申告をサポートします。初回の相談は無料で行っております。