1 強要罪とは
強要とは、「生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害」することを言います(刑法223条1項)。
脅迫罪は上に掲げられたような「害」の告知だけが罪となっていたのに対して、強要罪ではさらに相手にある行動を強制したり、妨害したりしている点が罪となっています。
ここでいう「人」は会社などの法人を含まず、実際に生きている人(自然人)に限られます。
実際に相手の身体に触れる暴力ではなくても、「暴行」に当たる場合があります。例えば、にぎり拳を振り上げて「謝罪文を読み上げろ」というのも「暴行を用い」た強要になりえます。
相手に対して強いる行為としては、道義的なものかどうかに関わらず、法律上の義務がない行為であれば強要罪が成立します。そのため、例えば、女性に対して特定の男性との関わりを絶つように求めることや、別れ話に対して交際を続けるよう求めることも、脅迫や暴行を用いた場合には強要罪が成立しえます。
また、「害」の告知や「暴行」は相手の親族に対するものでも強要となりえます(刑法223条2項)。
そして、強要罪は、危害を加えることを告げたり暴力をふるったりすることで、相手の意思に反した行動を行わせる犯罪です。そのため相手を押さえつけて、手や足を掴んで無理やり行動させた場合には強要罪ではなく、別の逮捕罪(刑法220条)が成立することになります。
人に何かをさせようとする犯罪ですので、経緯によっては、口論の末「土下座しろ!」と強いたことが強要罪に当たってしまう事もあります。そのため、日常の中にもある犯罪であるといえます。
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2 強要罪の刑
強要罪は親告罪ではないので告訴されていなくても起訴される場合があります。
強要罪に対する刑としては3年以下の懲役が定められています。脅迫罪の場合よりも懲役の期間が長く、罰金刑がないため、有罪判決となった場合には懲役刑か執行猶予付きの判決しかありません。
また、強要罪については「未遂」、つまり危害を告げたり暴行をしたりをしたが、相手が従わなかったという場合であっても処罰の対象になるという事です。
なお、強要した内容が「お金を出せ」というものであった場合には強要罪ではなく恐喝罪や強盗罪となり、「胸を触らせろ」というものであった場合には強制わいせつ(未遂)罪が成立することがあります。
3 強要罪の弁護活動
強要罪は被害者がいる犯罪になりますので、示談することが重要になります。
逮捕・勾留されてしまった場合にはきちんと示談できていることが身体解放のための有利な事情となりますし、仮に起訴されてしまった場合には執行猶予付きの判決を得るための事情となります。
また、被害者は一度怖い思いをされているので今後、被害者の方と接触しないように努めることが重要になります。刑事事件となった場合に被害者に接触してしまうと、被害者に対して脅しをしていると見られてしまうことがあります。場合によっては、被害者と一切接触をしないことを文書にして提出することもあります。
身に覚えのない犯罪であれば無罪であると主張します。無罪を主張する場合には嘘の自白調書を作られてしまわないことが重要です。身体拘束されてしまった場合には連日取調べが行われるため、特に弁護士によるサポートが必要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が、強要罪での弁護活動も行います。逮捕・勾留されてしまった場合、ご依頼から最短当日で弁護士が接見に赴いたうえで取調べに向けて必要なアドバイスをする「初回接見」も行っております。
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