後見人による業務上横領事件

業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

母親の成年後見人を務めていた男が母親の預金などから約1億5400万円を横領したとして逮捕された。
名古屋地検特捜部によると、男は2013年5月から2016年5月にかけて複数回にわたり、成年後見人として管理していた愛知県内に住む母親の預金口座などから約1億5400万円を引き出したとして、業務上横領の疑いが持たれている。
(名古屋テレビ「母親の預金口座から約1億5400万円を横領したとして成年後見人の息子を逮捕」(2018/12/3)を引用・参照)。

~後見人による(業務上)横領事件~

刑法は、第38章において「横領の罪」について定めを置いています。
そしてその中でも最も重い法定刑を定めているのが、以下の業務上横領罪です。

第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

ここで、注意すべきなのは、財産犯においてはいわゆる親族相盗例の規定(親族間における財産犯に関しては刑を免除するとの規定)が置かれているということです。

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
(準用)
第255条 第244条の規定は、この章の罪について準用する。

このように刑法255条は第38章の罪つまり横領罪について、窃盗罪における親族相盗例を準用する形でその刑の免除を規定しています。
もっとも、親族が被害者の後見人に就任している場合においては、その職務の公益性から親族相盗例の適用を認めないのが確立した判例です(最決平成20年2月18日)。
したがって、本事案のように息子が「直系血族」である母親の成年後見人に就任している場合には、親族相盗例の適用はなく、刑の必要的免除は認められない(=通常の犯罪と同様の処遇を受ける)ことになります。

~後見人による業務上横領事件の裁判例~

本事案の場合、逮捕された被疑者がその後どのような刑事処分を受けたかは詳らかではありませんが、後見人による横領事例には以下のような例があります。
このケースでは、死亡した母親の保険金を受け取るために未成年であった子のために(未成年)後見人となった被告人(祖母)に対し、かかる保険金約4000万円を横領したとして、懲役3年6月の実刑判決が下されています。
このように親族間における横領事件においても、厳しい刑事処分が下される可能性があり、刑事弁護士による弁護活動の重要性が認められます。
特に逮捕段階(あるいは逮捕前の段階)など早い段階から弁護士に相談することが、事件解決にとって肝要であるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、(業務上)横領事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
横領事件で逮捕・起訴等された方(又はそのおそれがある方)やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。

 

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