略式手続で公判回避

略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、児童買春、青少年健全育成条例違反の容疑で岐阜県恵那警察署に逮捕されました。
他にも同種の余罪があることから、警察から正式な裁判を受ける可能性について指摘されたAさんは、なんとか公判回避することはできないかと、接見に訪れた弁護士に相談しました。
相談を受けた弁護士は、Aさんに略式手続について説明しています。
(フィクションです。)

略式手続について

原則、すべての事件が検察官に送られ、検察官は送られてきた事件を処理します。
検察官により処理には、最終的な処理である終局処分と、中間処分とがあります。
終局処分には、起訴処分、不起訴処分、少年の場合には家庭裁判所送致があります。

起訴(公訴の提起)には、①公判請求、②即決裁判手続の申立て、③略式命令の請求とがあります。
起訴の大部分を③略式命令請求が占めています。

検察官が略式命令の請求をすると、簡易裁判所は、公判手続を経ることなく検察官が提出した証拠のみに基づいて、100万円以下の罰金または科料を科す裁判(これを「略式命令」といいます。)を言い渡します。
この手続を「略式手続」と呼びます。
略式手続は、公判を開かずに、非公開の簡易な手続で迅速に処理される点が特徴です。

◇略式手続の要件◇

略式手続に付する要件は、次の3つです。

①簡易裁判所の管轄に属する事件であること。

②100万円以下の罰金または科料を科し得る事件であること。

③検察官による説明、正式な裁判を受ける権利の告知、略式手続に異議がない旨の書面による確認が済んでいること。
検察官は、あらかじめ被疑者に対して略式手続について理解をするのに必要な事項を説明し、通常の審判を受けることができると告げた上で、略式手続によることに異議がないかどうかを確認し、異議がないことを書面で明らかにしなければなりません。

略式命令を受けた者または検察官は、略式命令の告知を受けた日から14日以内に、正式裁判を請求することができます。

◇略式手続のメリット◇

①早期の事件の終結

略式命令は、検察官が略式命令を申し立てた当日のうちに、公判を開くことなく罰金または科料の略式命令がなされます。
一方、公判請求された場合には、公開の裁判を通常少なくとも2回開くことになり、起訴から判決言い渡しまで約2~3か月かかります。
略式手続は、公判請求された場合と比べると、事件の終結までにかかる時間が格段に短縮され
ますので、被疑者にかかる負担も少なくて済むというメリットがあります。

②身体拘束からの解放

また、逮捕・勾留されている場合には、略式手続に付されることで、略式命令謄本の送達と同時に釈放されることになります。
そのため、起訴後勾留で引き続き身体拘束を強いられることがなくなり、早期に身体拘束から解放されることになります。

このように、被疑者にとっては早期の事件の終結や身体拘束からの解放というメリットがありますので、事実関係に争いがない事件であり、法定刑に罰金・科料がある罪で、起訴猶予が見込めない場合には、弁護士は、略式命令手続とするよう検察官と交渉するとことを検討することがあります。

もちろん、略式命令であっても、有罪判決であることには変わりはないので、前科が付くというデメリットはあります。
しかし、起訴後の身体拘束や、被告人が公開の法廷で審理されることのリスクを回避することができるため、例えば、被害感情が強く、被害者との示談成立ができない場合、前回起訴猶予で処理されている場合などは、略式手続を目指す弁護活動が有効な手段と言えることがあります。

略式手続には、メリット・デメリットがありますので、最終的な決断の前に、弁護士に相談されることをお勧めいたします。

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