財布の置き引きで逮捕

財布置き引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県揖斐郡池田町のスーパーマーケットのセルフレジに置き忘れられた財布を持ち去ったとして、岐阜県揖斐警察署は、市内に住むAさんを窃盗の疑いで逮捕しました。
財布の持ち主が店を出た直後に財布がないことに気が付き、利用したセルフレジに戻ったところ既に財布はなく、店員に問い合わせましたが落とし物の届は出ていませんでした。
財布の持ち主は岐阜県揖斐警察署に被害届を出したことで事件の捜査が開始されました。
(フィクションです。)

財布の置き引きは何罪?

誰かが置き忘れたであろう財布を見つけて、それを自分のものにしようと持ち去った場合、窃盗罪、もしくは、占有離脱物横領罪が成立する可能性があります。

■窃盗罪■

窃盗罪は、他人の財物を窃取する罪です。

「他人の財物」とは、「他人が占有する財物」のことです。
ここでポイントとなるのが「占有」という概念です。
窃盗における「占有」は、人が物を実力的に支配する関係を意味し、「他人が占有する」とは、自分以外の者が事実上支配している状態のことをいいます。
事実上支配している状態には、物を客観的に支配している場合はもちろんのこと、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含まれます。
事実上支配しているかどうかについての判断は、支配の事実と占有の意思があるかどうかの点から行われます。

「窃取」とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことをいいます。

窃盗罪の成立には、以上の客観的要件に加えて、主観的要件を満たしている必要があります。
この主観的要件は、故意、そして、不法領得の意思です。
故意は、罪を犯す意思のことで、窃盗罪の場合は、他人の占有する財物を摂取することの認識・認容です。
そして、故意とは別に、不法領得の意思がなければ窃盗罪は成立しません。
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思のことです。
例えば、嫌がらせ目的で財布を盗んだだけであれば、窃盗罪には当たりません。

■占有離脱物横領罪■

占有離脱物横領罪は、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する罪です。
「横領」とは、不法領得の意思をもって、占有を離れた他人のものを自己の事実上の支配内におくことをいいます。
「他人の占有を離れた」とあることからも分かるように、窃盗罪と区別するポイントは、他人の財物を入手した時点で、その財物に他人の占有が認められるか否か、となります。

先にも述べたように、他人の「占有」は、持ち主がその物を持っている状態だけでなく、持ち主が物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含みます。
そして、持ち主が、物を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態かどうかは、持ち主の物に対する支配の事実や占有の意思の観点から判断されます。
具体的には、持ち主が物を置き忘れてから気付くまでの時間的・場所的近接性や、持ち主が物を置き忘れた場所をどの程度認識していたかなどが検討されます。

上の事例では、持ち主が店を出てすぐに財布を置き忘れたことに気が付いており、セルフレジに向かったことから、持ち主は、気が付いた時に置き忘れた場所にすぐに戻って取り戻せることができる時間的・場所的関係にあり、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態にあったと言えるでしょう。

いずれの罪が成立するにせよ、財産犯の場合、被害者への被害弁償と示談の有無が最終的な処分結果に大きく影響することになります。
そのため、できる限り早期に被害者への謝罪と被害弁償を行い、示談成立に向けて動く必要があります。
被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
他人の財布置き引きして逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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