殺人罪、傷害致死罪

1 人を死なせてしまった場合の罪

人を死なせてしまった場合、多くの方が思い浮かべるのは「殺人罪」でしょう。殺人罪(刑法199条)は「人を殺した者は、死刑又は無期懲役若しくは5年以上の懲役に処する」とされており、死刑まで含む、とても重い罪が定められています。起訴された場合には、裁判員裁判になります。殺そうとしたが相手が死ななかったという場合も殺人未遂罪として、殺人罪と同じ刑が定められています。

また、人に怪我をさせた結果その人が死亡してしまった場合には、「傷害致死罪」となります。この場合の刑は3年以上の懲役とされていますので、懲役刑は最長20年となります。

この二つの罪の違いは、犯行の態様が人を死なせてしまうほどの激しいものであったのかという点と、最初から相手を死なせるつもりであったのかどうか(殺意があったかどうか)という点にあります。

犯行態様が、人が死ぬほどの危険が大きくない場合、例えば、素手でおなかを一回殴っただけの場合や拾った小さな木の枝で叩いたが、打ち所が悪く相手が死んでしまったという場合には殺人罪ではなく傷害致死罪となる場合があります。

一方、包丁などの凶器を持って首を目掛けて思い切り突き出したという場合には、刺された相手が死んでしまう危険が大きく、殺人罪が成立する場合があります。また、敢えてそのような凶器を使っているのですから、殺意も認められやすくなってしまいます。

殺人罪も傷害致死罪も裁判員裁判の対象事件となるほどの重大な事件です。人がなくなっているという結果の重さからも、他の罪に比べても重い刑が科されています。このような重大な事件についても、岐阜県の刑事事件を専門的に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

 

2 不注意や他の犯罪の結果として人を死なせてしまった場合

他に人を死なせてしまった場合の罪としては強盗致死罪や強制性交致死罪等、他の犯罪の結果人を死なせてしまった場合があります。これらの罪は、殺人罪の刑とそろえる形で、最高刑が、死刑や無期懲役等、重い刑に設定されています。

また、他に人を死亡させてしまった場合の罪としては過失致死罪(刑法210条)、業務上過失致死罪、自動車運転過失致死罪、危険運転致死罪があります。

過失致死罪・業務上過失致死罪・自動車運転過失致死罪は、いずれも不注意な行動の結果人を死なせてしまった場合に成立します。危険運転致死罪は、飲酒した状態での運転や暴走運転をして人を死なせてしまった場合に成立します。

 

3 人を殺してしまった場合の刑

殺人罪は最大で死刑となり、懲役刑であっても無期懲役または5年以上の懲役となります。

死刑となる場合としては、いわゆる「永山基準」があります。

一方、あとに述べるような、老老介護の末の介護殺人の場合では、執行猶予付きの判決となる場合もあります。

殺人罪でも執行猶予はあり得るのか?

殺人罪の刑は下限でも5年の懲役です。

一方、執行猶予は3年以下の懲役でなければ付することができません。

ですが、酌量減刑や自首減軽など、法律に定められた減刑が認められると、刑の下限が半分になります。そのため、殺人罪でも減刑が認められると下限が2年6月の懲役となり、執行猶予が法律上可能となります。

殺人罪、傷害致死罪では罪の自覚がある場合でも弁護活動の内容によって判決の内容が大きく変わることがあります。裁判員裁判であればなおさらです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、裁判員裁判の経験もある弁護士が在籍しています。

人を死なせてしまった重大な犯罪であっても、弁護士に一度ご相談ください。

 

4 人を死なせてしまった場合の弁護

殺人罪、傷害致死罪で起訴された場合、裁判員裁判が実施されるため、他の起訴された事件に増して弁護士を通じた弁護活動が重要です。これらの犯罪の被害者はすでに亡くなっていますから、被害者と直接示談することはできません。

また、未遂に終わっていて被害者が生きている場合や、被害者の遺族と示談することも考えられますが、被害金が相当高額になる事や被害がとても大きいことを考えると、示談することは現実的ではありません。

罪を認めて減刑を求める活動としては、心からの反省と謝罪や犯行に至ってしまった動機をきちんと主張するというものがあります。同じ殺人罪であっても、何の理由もなく無差別に人を殺す場合と、経済的に苦しい生活の末将来を悲観して家族と心中を図り殺してしまった場合とでは,やはり裁判員の事件の見方も変わってきます。

現在では老老介護など社会福祉の問題から犯罪に発展してしまう事件もあり、介護の行く末を悲観して家族を殺してしまったという場合には執行猶予付きの判決も多く出されています。

殺人罪で起訴された場合にも、殺意がなかったと争うこともできます。殺意がなく被害者が死亡してしまったのであれば殺人罪ではなく傷害致死罪となります。殺意は本人の認識(殺す「つもり」かどうか)だけではなく犯行の方法も重要な判断要素になります。殺意がなかったと主張するうえでは、取調べでの供述内容も重要になります。

逮捕・勾留されてしまった場合、連日長時間に及ぶ取調べに適切に対応しなければなりません。殺意を誤って認められないためにも、被害者が亡くなってしまった場合にはすぐに弁護士にご相談ください。

また、自分の犯行と被害者が死亡したことは無関係であるとの主張もありえます。この場合には法律のみでなく、被害者の死亡の原因について医学的な知見に基づいた主張をするになります。場合によっては、医師等の専門家の協力のもと弁護活動を行うことになります。

その他、相手を殺してしまったことには間違いないが、先に相手が襲ってきたので反撃行為の結果死なせてしまったという正当防衛の場合や、自分の行為の善悪の判断が付けられず責任能力がない状態での犯行だったとの主張もありえます。いずれの主張も簡単に認められるわけではありませんが、当初の取調べから適切に対応することが肝心です。

人を死なせてしまった重大犯罪で、家族が逮捕されてしまった場合や取調べを受けるという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。

岐阜県の刑事事件・少年事件に強い弁護士が対応します。重大事件では初めの取調べでの対応が重要です。裁判員裁判の対象事件では、他の犯罪とは違い取り調べの状況が録音録画され、調書でない記録も残ります。弊所ではご依頼から最短当日に弁護士が接見に向かう「初回接見」を実施しています。

当然、身に覚えのない犯罪であれば無罪を主張します。過去、被害者が死亡した重大な犯罪においても冤罪が生まれています。重大犯罪であるほど、警察の捜査も熱が入ったものになり、嘘の自白が生まれてしまいやすくなります。取り返しがつかなくなる前に、弁護士と接見して取調べに対応しなければなりません。

 

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