窃盗罪

1 窃盗とは

窃盗(「他人の財物を窃取」する)とは、持ち主の意思に反して(よらないで)物を持ち去ることを言います。持ち主の意思に関係なく財産を奪う行為であるため、人を騙して財産を奪う詐欺罪や、人の意思を制圧して財産を奪う強盗罪とは区別されています。

窃盗は歴史的に見ても古くから犯罪として扱われており、現代においても様々な手口での窃盗が存在しています。

万引き、空き巣、自転車泥棒、置き引き、車上荒らし、すり、ひったくり、などがあります。これらは多くが窃盗にあたるものになりますが、「ひったくり」の場合、被害者の抵抗を排除しようとして殴る等の暴行に出てしまった場合、強盗罪としてさらに重い処分を受ける可能性もあります。また、窃盗罪は繰り返されることもあり、常習的な犯行の場合は「常習累犯窃盗罪」として刑が重くなっています。

自転車泥棒などのように、「ちょっとだけ勝手に使うつもりだった」という場合や、「嫌がらせをしようと思って、壊すために物を持ち出した」という場合には窃盗罪が成立しない場合があります。

窃盗罪の刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金が定められています。

常習累犯窃盗罪の刑は3年以上の懲役が定められています。

なお、配偶者や親、同居の親族の物を盗んでしまったという場合には有罪となっても刑が免除されます(刑法244条1項)。同居していない親族のものを盗んでしまった場合は親告罪とされており、告訴がなければ起訴されないこととなっています。

窃盗罪は「よくある」犯罪かもしれませんが、常習化してしまうほど罪が重くなり、その後の更生も難しくなってしまいます。窃盗罪でお困りの方、もしくはそのご家族の方は、岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。

 

2 窃盗罪で刑事手続き

窃盗、特に万引きの場合は店員さんに見つかり現行犯逮捕される場合が多いでしょう。現行犯逮捕は、警察官ではない一般人でも可能です。初犯で万引きのような軽微な犯罪の場合、逮捕され警察で取調べを受けた後、そのまま釈放され、微罪処分(警察が検察に事件のことを報告するだけで事件を終了させる手続き)がなされることもあります。

しかし、空き巣のように住居侵入罪も疑われている場合や、前科などもある場合には逮捕・勾留される場合があります。この逮捕・勾留は逮捕されてから最大で23日間続くものになります。その間、家族との面会も制限されてしまう可能性があります。逮捕されてしまった場合にはすみやかに弁護士に相談する方がよいでしょう。

初犯の場合や軽微な事案であれば一通りの捜査がなされた後、起訴猶予として釈放される見込みも十分にあります。前科があると、略式命令起訴される場合や正式裁判として起訴される場合もあります。

窃盗罪については、「地方裁判所」ではなく、「簡易裁判所」で起訴されることもあります。「簡易裁判所」では、罰金刑が定められている罪など一部の罪についてのみ裁判を行うことができ、言い渡すことができる刑も限定されています。窃盗罪については、簡易裁判所で起訴された場合3年以下の懲役か50万円以下の罰金のみ言い渡すことができます。起訴された裁判所はどこであるかによって、刑の上限を知ることもできます。

また、略式命令起訴がなされた場合には、書面だけのやり取りで手続きがすぐに終了するため、罰金を支払って、事件を解決できる場合もあります。

窃盗罪は日本国内においては年間約22万件(平成27年時)と、かなりの数が検挙されており、前科の有無や窃盗の内容によってその後の処分の見通しをたてられる犯罪です。

窃盗で家族が逮捕されてしまったという方や、窃盗を見つかって取調べを受けたがその後処分がどうなるのか知りたいという方は、岐阜県の刑事事件について豊富な知識と経験を有する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。それぞれの事件に応じた最善の弁護活動をいたします。

 

3 窃盗罪での弁護

窃盗事件は被害者のいる犯罪ですので、被害者の方ないしは被害店舗と示談することで後々の処分において有利に働きます。示談においては盗んでしまった物の価格分を弁償したり、迷惑料を示談金として支払ったりします。この示談については、全国展開するような大きなお店の場合には受け付けてもらえない場合もありますので、弁護士ときちんと方針を立てて示談交渉に臨まなければなりません。

また、窃盗をしてしまったことについて罪の意識がある場合にはしっかりと反省することが必要です。取調べに対してもきちんと答えることで、反省の態度を示すことができます。きちんと取調べに対しても応じて捜査が終わっていれば、起訴された後保釈してもらえる可能性も大きくなります。

万引きのように被害金額が比較的少額になるものであっても、立派な犯罪であるという意識を持つことが重要です。少年の万引きなどの場合には、家庭裁判所で、実際にコンビニなどの経営を行う方が講演をして、万引きが店舗に与える損害について自覚してもらうという教育を行う場所もあります。

上記のとおり窃盗罪は再犯率も高く何度も繰り返し窃盗をしてしまう人もいます。起訴猶予や罰金刑で事件を解決してもらうためには、弁護士からも、その人が再犯をしてしまう可能性が低いことを主張してもらう必要があります。適切な監督をする人がいないのであれば、家族が生活の面倒を見ることができるように環境を調整し、食べる者に困っているのであれば生活保護等の支援を受けられるようにしなければなりません。

一方、事件の犯人ではない、物を盗んでいない、という場合には無罪を主張することになります。この場合、逮捕・勾留された場合や警察から呼び出された際の取調べへの対応が重要です。弁護士から適切な助言を受けたうえで、不利な自白調書を作られてしまわないようにしなければなりません。

近年耳にする、クレプトマニアとは?

現在、経済的にも困っていないし、特別そのものが欲しいわけでもないのに、窃盗を繰り返してしまうということが社会問題として提起されています。このように、物を盗むことの衝動や欲望を抑えきれない癖は、クレプトマニア(窃盗癖:kleptomania)と呼ばれています。

アメリカの精神障害に関する診断基準であるDSMという基準によると、クレプトマニアも精神障害の一つと捉えられており、5つの診断項目が設けられています(あくまで診断の項目になります)。

  1. 個人的に用いるためでもなく、金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
  2. 窃盗に及ぶ直前に緊張の高まりがある。
  3. 窃盗を犯すときの快感、満足、開放感を感じる。
  4. 盗みは怒りまたは報復を表現するものではなく、妄想または幻覚に反応したものではない。
  5. 盗みは、行動障害、躁病エピソード、または反社会性人格障害ではうまく説明されない。

日本でも専門的な治療期間ができ始めており、治療により再犯可能性の低下に努めることもできるといわれています。

 

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