少年の大麻所持で検挙された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県各務原警察署は、大麻を所持していたとして大麻取締法違反(大麻所持)の容疑で大学生のAくん(18歳)とBくん(19歳)を逮捕しました。
Aくんらは、SNSを開始て大麻の売人と連絡を取り、大麻を購入したと供述しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの母親は、大麻で逮捕されたことに驚き、今後どのような処分となるのか心配しています。
(フィクションです。)
少年の大麻事件
大麻所持など大麻取締法違反で20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が検挙される数が増加傾向にあるといいます。
SNSを通じて容易に売人と連絡をとれるようになったことや、大麻は他の薬物と違い害が少なく依存性がない等といった誤った情報が、少年による大麻事件の増加の背景にあるようです。
「興味本位で。」、「友人に勧められて。」といった安易な動機から大麻に手を出してしまうケースが多いのですが、大麻はゲート・ドラッグと呼ばれているように、他の薬物への入り口として認識されており、大麻にとどまらず麻薬や覚せい剤といった薬物にまで手を出すおそれも十分にある危険な薬物です。
大麻取締法は、大麻の所持、栽培、譲受け、譲渡し、輸入、輸出を規制しています。
大麻の所持については、次のように規定しています。
第24条の2 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
3 前2項の未遂罪は、罰する。
「所持」とは、物を支配している状態を意味します。
つまり、自分の意思で大麻を管理・処分することができる状態のことです。
具体的には、自分の手、ポケットやカバンの中に大麻を持っている場合、自宅に大麻を隠している場合、他人に大麻の管理を依頼している場合、知人宅に隠し持っている場合などが所持に当たります。
大麻取締法は、大麻の所持を禁止し、違反者に対しては刑罰を科すとしていますが、その使用については禁止されてはいません。
しかしながら、大麻を所持せずに使用することは基本的にはあり得ないため、大麻の使用が疑われる場合には所持や栽培などの罪の立証に結び付けられることは大いにあり得ます。
大麻取締法違反事件の被疑者が少年であっても、被疑者として少年が逮捕・勾留される可能性はあります。
薬物事件では、売人や共犯者との口裏合わせをするおそれや、法定刑が懲役刑のみと重いため逃亡の恐れがあると認められる可能性が高く、逮捕後に勾留が決定する傾向にあります。
そのため、少年であっても長期の身体拘束となることが見込まれます。
少年事件では、審判で非行事実と要保護性が審理されます。
非行事実は、成人の刑事事件における公訴事実に当たるものです。
要保護性とは、多義的に用いられますが、一般的には次の3つの要素から構成されるものと考えられています。
①再非行性
少年の現在の性格、環境に照らして、将来再び非行をする危険性があること。
②矯正可能性
少年法上の保護処分による矯正教育によって再非行性を除去できること。
③保護相当性
少年法上の保護処分が更生のために有効適切であること。
少年審判では、非行事実と要保護性が審理されるので、例え非行内容が重いものであっても、要保護性が解消されていると判断されれば、保護観察処分などの社会内処遇が言い渡される可能性があります。
逆に言えば、比較的軽い罪に当たる非行内容であったとしても、要保護性が高いと判断されると、少年院送致などの重い処分となる可能性もあるということです。
このように、少年事件では、要保護性が最終的な処分に大きく影響します。
この点、薬物事件を起こした少年の更生にとって、最も重要なのが、薬物と断ち切る環境をつくることです。
少年が大麻等の薬物についてきちんとした認識を持っていないことが多いので、薬物の危険性についてしっかりと理解できるよう指導する必要があります。
また、大麻等の薬物を入手した経路を明らかにし、交友関係を改善するよう支援します。
少年の周囲の環境を整える活動は、少年の家族や学校・職場の人たちとも協力して行う必要があります。
弁護士は、少年が二度と薬物に手を出すことがないよう、周囲の人たちと連携しながら環境を整える活動を行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
これまでも数多くの少年事件、大麻事件を取り扱ってきました。
お子様が大麻事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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