少年事件における被害者対応

少年事件における被害者対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県岐阜市に住む高校生のAくんは、電車内で痴漢をしたとして、岐阜県岐阜中警察署の警察官に逮捕されました。
岐阜県岐阜中警察署は、以前から被害者から車内での痴漢に関する相談を受けており、犯行時、被害者の近くに私服警官が待機しており、Aくんの犯行が発覚しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、大変驚きショックを受けています。
今後の流れや見込まれる処分、そして、被害者にもどのように対応すべきか分からず、少年事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)

少年事件の特徴

20歳未満の者が刑罰法令に触れる行為を行った場合、あるいは、犯罪は成立しないものの将来犯罪行為を行う可能性が高いと考えられる場合には、刑事事件に関する手続を定めた刑事訴訟法の他に、少年法に基づく手続に付されます。
少年法は、その第1条において、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」と定めており、少年法の目的が少年の健全育成にあること、つまり、少年が行った過去の犯罪に対する応報として少年を処罰するものではなく、将来再び犯罪または非行を行うことがないよう、少年を改善教育することを目的としていることが読み取れます。

そのため、少年事件では、弁護士は、非行事実の認定等が適切に行われるように活動することだけでなく、少年の更生のために様々な環境調整活動を行うことが期待されています。

少年事件では、犯罪の嫌疑がある全ての事件を家庭裁判所に送致することになっています。
これを「全件送致主義」と呼びます。
捜査機関は、事件を把握すると、捜査を開始します。
捜査機関は、捜査を終えると、事件をどのようの処理するかを決めますが、少年事件の場合、捜査機関が捜査を遂げた結果、少年が罪を犯したと疑われる場合には、全ての事件を家庭裁判所に送致します。
これは、少年事件においては、科学的な調査機構を持つ家庭裁判所が専門的に少年の処遇を選択することが相当であると考えられているからです。
そのため、成人の刑事事件における起訴猶予に相当するような処分はありません。
また、犯罪の嫌疑がない場合であっても、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがある場合には、ぐ犯事件として家庭裁判所に送致されることがあります。

このように、少年事件では、原則、全ての事件が家庭裁判所に送致され、保護事件として処理されます。
家庭裁判所は、事件を受理すると、調査官による調査を行った上で、審判を開始するか否かを判断し、開始の決定を下した場合には、審判で非行事実及び要保護性が審理され、最終的な処分を決めます。

少年事件における被害者対応

審判では、非行事実、並びに要保護性が審理の対象となります。
非行事実とは、審判において審理の対象となる事実のことをいい、成人の刑事事件でいう公訴事実と同様の意味をもちます。
そして、要保護性は、一般的には、少年が再び非行に陥る危険性があり、保護処分により再非行が防止できることと理解されます。
具体的には、次の3つの要素から構成されます。
①犯罪的危険性:少年が、その性格、環境等から、将来、非行を繰り返す可能性があること。
②矯正可能性:保護処分によって、少年の犯罪的危険性を除去できる可能性があること。
③保護相当性:少年の処遇にとって、保護処分が有効かつ適切な手段であること。

この要保護性は、どのような保護処分をするかを決める上でも重要な要素となります。
非行事実が比較的軽微なものであっても、要保護性が高い場合には、少年院送致といった厳しい処分となる可能性があります。
逆に言えば、重い犯罪が成立する場合であっても、要保護性が解消されたと判断されれば、保護観察処分が言い渡されることもあるのです。
そのため、付添人である弁護士は、要保護性の解消に向けた活動を行います。

要保護性の解消という意味で、少年事件における被害者対応は重要です。
少年事件においては、成人の刑事事件において被害者との示談が成立したことをもって刑事責任の減少に直結するのとは異なり、示談成立が直ちに少年の要保護性を減少させることにはなりません。
ただ、少年事件では、少年や保護者が被害者の感情を理解した上で、被害の回復に向けて精一杯努力していく中で、少年が事件と向き合い、再び犯罪又は非行に陥ることのないよう考え行動していくことが、少年の更生に資するものとなり、要保護性の解消につながるものであると考えられます。
また、被害者への配慮が重視される今日では、裁判官も被害弁償の有無や経緯には関心を持っています。
このため、少年事件においても被害者対応は重要ですが、処分を軽くしたいから被害弁償をすることに意味がないことに留意しなければなりません。
単に被害弁償がされただけでは、必ずしも要保護性が減少することにはならないからです。
少年が被害者の気持ちを理解し、心から反省することができて初めて、要保護性を減少させる事情として審判において裁判官に評価されます。
そのため、弁護士には、少年が目先だけの処分にのみとらわれることがないよう、自分が行ったことにしっかりと向き合い、心から反省と謝罪の気持ちを持てるよう少年に働きかけることが期待されます。

このような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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