少年事件の検察官送致(逆送)決定

少年事件検察官送致逆送)決定について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県各務原警察署は、強盗致傷の容疑で、大学生のAくん(18歳)を逮捕しました。
Aくんには、他に同種の余罪もあり、Aくんの両親は、「被害者の怪我の程度も重く、それなりの重い処分が見込まれる。」と警察から言われています。
Aくんの両親がネットで調べたところ、検察官送致という処分となれば成人の刑事手続に付されて刑事処分が科されることを知り、A君もその可能性があるのではないかと思い、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

今年の5月21日に、事件を起こした18歳、19歳の厳罰化を図る少年法改正案が、参議院本会議で可決・成立しました。
改正少年法の内容として、18歳と19歳の少年を「特定少年」と位置づけ、家庭裁判所から検察官に逆送する事件の対象を拡大する点が注目されています。

今回は、少年事件の終局決定の一つである「検察官送致」(逆送)決定について説明します。

検察官送致(逆送)

少年事件は、原則、すべての事件が家庭裁判所に送られ、調査、審判を経て、家庭裁判所は処分を決定します。
家庭裁判所が行う処分には、中間決定と終局決定とがあります。
中間決定は、終局決定をする前の中間的な処分であり、試験観察があります。
終局決定には、次の7種類あります。
①審判不開始
②不処分
③保護観察
④児童自立支援施設・児童養護施設送致
⑤少年院送致
検察官送致
⑦都道府県知事・児童相談所長送致

一定の要件に該当する場合には、終局決定として、⑥検察官送致がなされることがあります。
その要件とは、
(1)審判時、少年が20歳以上であることが判明した場合(年齢超過)
(2)刑事処分が相当であると認められる場合
(3)故意の犯罪行為により、被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯したときに少年が16歳以上だった場合(原則逆送)
です。

検察官送致が決定すると、少年は、成人の刑事手続に付されることになります。

(1)年齢超過
事件が家庭裁判所に送致され、調査・審判を行っている段階で、少年の年齢が20歳を超えていることが判明した場合に、成人の刑事事件の手続に戻すために行われるものです。
少年の年齢が20歳に達するまでに審判期日が設定されるか微妙なケースでは、付添人である弁護士は、検察官に早期に事件を家庭裁判所に送致するよう求めたり、家庭裁判所に対して20歳になるまでに審判を行うよう求めるなど、年齢超過による逆送を防ぐよう関係機関に働きかけます。

(2)刑事処分相当
家庭裁判所は、死刑、懲役、禁錮にあたる罪の事件について調査をした結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分が相当であると認めるときは、事件を検察官に送致しなければなりません。

(3)原則逆送
家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であり、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、事件を検察官に送致する決定をしなければなりません。
ただし、この場合であっても、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮して、刑事処分以外の措置を相当を認めるときは、検察官送致以外の処分を決定することができます。

刑事処分相当で逆送となる可能性がある事件や、原則逆送事件においては、弁護士は、早い段階から環境調整を行い、裁判官や調査官との面談・協議を行い、刑事処分ではなく保護処分が相当であると裁判所に認められるよう働きかけます。

検察官送致決定で刑事事件の手続に付された場合でも、公判での審理の結果、少年について刑事処分ではなく保護処分が相当であるときには、事件が再び家庭裁判所に送致され、審判が開かれることがあります。

現行法では、18歳、19歳であっても、上の要件に該当しなければ、保護処分などの検察官送致以外が決定されることになっています。
保護処分であれば、少年に前科が付くことはありません。
一方、刑事処分であっても、略式手続により略式命令が言い渡される場合のように、前科は付くけれども迅速・簡易な手続で事件が処理されることにメリットがあると言えるケースもあるでしょう。
事案によって、どの処分の獲得を目指していかなる活動をするのかは異なりますので、お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、できる限り早期に弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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