少年事件の審判に向けた活動

少年事件審判に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

岐阜県北方警察署は、窃盗の疑いで岐阜県本巣市に住むAくん(15歳)を逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、Aくんとの面会を求めましたが、警察からは「今は会えません。」と言われました。
ネットで少年事件について検索したところ、家庭裁判所で審判を受けることになることを知りました。
不安になったAくんの家族は、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

少年事件と審判

捜査機関が少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合であっても家庭裁判所の審判に付すべき事由があると認めるときには、原則、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分といった捜査機関限りで事件を終了させることは認められていません。

事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、調査の結果、審判を開くことが相当と認めるときには、審判開始決定をしなければなりません。
法律上、審判を開始するか否かの決定は、調査を行った上で判断されるものとなっていますが、実務上は、観護措置が取られている場合には、調査官への調査命令と同時に審判開始決定がなされています。
その後、調査を経て審判期日での審理を行い、終局決定により事件が終了します。

少年事件における審判は、一般的に、期日での裁判官による審理および判断の過程を指す言葉であると理解されています。
少年審判は、①裁判所が自ら主導的に事件の調査や審理を行う点、②裁判官が審判期日前から証拠に触れることができる点、そして、③少年審判で科される保護処分は教育的な措置である点、などといった刑事裁判とは異なる特徴を有しています。

審判の審理対象

少年審判では、「非行事実」および「要保護性」について審理されます。

「非行事実」は、刑事裁判における「公訴事実」に当たるものです。

一方、「要保護性」は、次の3つの要素から構成されるものと考えられています。

(1)犯罪的危険性
少年の性格や環境に照らし、将来再び非行に陥る危険性があること。

(2)矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。

(3)保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。

以上の要素に該当する場合、要保護性が高いと判断されます。

この要保護性が審判での審理対象となることで、非行事実が軽微であっても、要保護性が高い場合には、少年院送致のような身体拘束を伴う重い保護処分に付されてしまうこともあります。
ですので、軽微な事案であっても、要保護性の解消に向けた活動を積極的に行う必要があります。

非行事実に争いがない場合、要保護性の解消に向けた活動が、付添人である弁護士が行う活動の大きなウェイトを占めることになります。
要保護性の解消に向けた活動を「環境調整」と呼びます。
環境調整は、少年が再び非行に陥ることがないよう、少年の内側および外側の環境を整えることです。
環境調整活動は、事案によって異なりますが、概ね次のような内容となります。

①少年本人への働きかけ(内部環境調整)
少年自身の内面を調整するものです。
少年が、事件について自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みるよう促し、被害者に対する謝罪の気持ちを持てるよう、事件の背景にある様々な問題を見つけ出し、その問題を解決する方法を探し出せるよう支援します。

②家庭環境の調整
家庭は、少年にとって最も身近であり、かつ、最も影響力のある環境です。
事件を起こした背景には、家庭環境に問題がある場合も少なくありません。
弁護士は、少年と保護者との間を取り持ちながら、何が問題であり、どのように今後対応していくべきかを少年と保護者と一緒に考え、見つけ出すよう働きかけます。

③学校・職場・交際関係の調整
学校や職場も、少年が生活をする上で欠かせない場所です。
事件後も、少年が引き続き学校や職場に行くことができるよう、関係者と協力する必要があります。
また、少年の交際関係が、非行を犯した要因のひとつであるケースも少なくありません。
不良関係をいかに解消するかについて、弁護士は、一方的にではなく、少年と話し合いながら、その方法を模索していきます。

このような活動により、要保護性が解消されることが期待できます。
少年事件審判に向けた活動は、少年事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
少年やご家族と連携して、少年の更生に適した処分となるよう尽力いたします。
お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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