触法少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県美濃加茂市の路上で、帰宅途中の女子児童に声をかけ、わいせつな行為をしたとして、岐阜県加茂警察署は、市内に住むAくん(13歳)を同署に連行しました。
その後、児童相談所で一時保護するとの連絡を受けたAくんの両親は、今後どのような手続を踏み、如何なる処分が課せられることになるのか不安でなりません。
(フィクションです)
触法少年とは
触法少年とは、刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年のことをいいます。
刑法は、14歳未満の者を処罰しない旨を規定しており、行為時に少年が14歳に達していない場合には、犯罪は成立せず、罪に問われることもありません。
しかしながら、後述するように、家庭裁判所の少年審判に付される可能性はあります。
触法少年の流れ
触法少年は、まずは児童福祉機関(児童相談所)による措置に委ねられます。
被害者からの被害届の提出などによって、警察が刑事事件として捜査を開始し、犯人を特定・発見すると、通常は、被疑者として出頭を要請したり、場合によっては身柄を確保して捜査を進めます。
しかし、触法少年の場合は、刑罰法令に触れる行為を行ったとしても、処罰されないため、通常の刑事事件のように、警察は、被疑者を取調べたり、逮捕することはできません。
警察は、まずは、事件について調査を行います。
調査の結果、少年の行為が一定の重大な罪に係る刑罰法令に触れるものであると思慮する場合や、家庭裁判所の審判に付するのが相当と思料する場合には、警察は事件を児童相談所長に送致します。
児童相談所に送致されると、今度は、児童相談所による調査が行われます。
その結果、保護者への訓戒や児童福祉施設への入所措置等といった福祉的措置がなされ、事件が終了することもあります。
しかし、児童相談所長は、家庭裁判所の審判に付することが適当である場合や、一定の重大事件の場合には、家庭裁判所に送致しなければなりません。
その場合、犯罪少年とほぼ同様の手続で審理されることになります。
触法少年は逮捕されないと先述しましたが、児童相談所で一時保護という形で身体拘束されることがあります。
一時保護とは、子供の生命身体の安全を確保するため緊急に子供を保護者と分離する必要がある場合など、児童相談所長が必要であると認めるときに、子供を一時保護所に入所させ、あるいは適当な第三者に委託する処分のことです。
重大な触法事件の場合などでは、警察が直ちに児童相談所に少年を通告し、児童相談所長が少年を一時保護した上で、警察の調査が行われることがあります。
この場合、児童相談所の調査も並行して行われることがあります。
一時保護の期間は、2か月以内とされています。
触法事件における付添人の役割
付添人は、家庭裁判所で審判を受ける少年の権利を擁護・代弁し、審判の手続や処遇の決定が適正に行われるよう裁判所と協力していく役割を担います。
警察官は、触法事件において、必要な調査(触法調査)をすることができますが、少年および保護者は、触法調査に関して付添人を選任することができます。
触法調査は、児童相談所長が少年に対する措置を決めたとき、もしくは、事件を家庭裁判所に送致するときに終了します。
付添人は、触法調査において、少年に対して法的助言を行うとともに、警察による調査が任意・適正に行われるように監視し、触法少年の権利を擁護します。
事件が家庭裁判所に送致された後は、犯罪少年や虞犯少年と同様に、家庭裁判所調査官による調査を経て、審判に付されます。
審判では、非行事実に加えて、要保護性についても審理されますので、要保護性の解消に向けた活動を行うことが重要です。
要保護性というのは、簡単に言うと、少年が将来的に再び非行に走る可能性のことです。
非行事実が軽微であっても、要保護性が高いと判断されれば、少年院送致などの重い処分が下される可能性があります。
そこで、少年が再び非行に至る可能性がないと裁判官に認めてもらうために、少年の内外の環境を調整する必要があります。
これを支援することが付添人に期待される重要な役割の一つです。
例えば、付添人は、少年自身が、事件に向き合い、事件に至った原因や解決策を見出すことができるよう支え、少年の保護者や学校・職場と協力して更生に適した周囲の環境を調整します。
このような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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