スピード違反

1 スピード違反の場合の罰則

スピード違反(速度超過)は道路の制限速度を1キロでも超過してしまうことをいいます。道路の標識がない限り、一般道の制限速度は60キロ、高速道路の制限速度は80キロとなっています。道路によっては40キロが制限速度の一般道や、70キロが制限速度の高速道路もあります。

これらの最高速度を違反した場合、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金が科されます。しかし、車社会になった現代で速度違反について立件して起訴していると、裁判所の機能は全て速度違反事件の処理に手を取られてしまうことになります。

平成27年において取り締まられたスピード違反は全国で約174万件です。同年に刑法犯で認知された件数は約100万件ですから、刑法犯の1.5倍以上のスピード違反事件が起きていることになります。

そのため、スピード違反について、一般道では30キロオーバー未満の、高速道路では40キロオーバー未満のものについては一定の罰金を納めた場合には起訴しないという制度が設けられています。これを反則金制度と言い、いわゆる青切符を切られた事件で、通常は反則金を支払うことになります。反則金制度の場合、大型自動車でのスピード超過は5万円、普通自動車であれば4万円、小型特殊自動車であれば3万円以下の罰金が科されることになります。

それ以上の罰金を支払っていた場合、簡易裁判所に対して起訴され罰金の言い渡しを受けている可能性があります。その場合は前科が付いていることになりますので、注意が必要です。

世間では10キロ以下のスピード違反であれば検挙されないなどと噂されることがありますが、冒頭のとおり、1キロでも超過すれば道路交通法の違反になります。数キロの違反については、その時の警察がたまたま取り締まらなかったということです。

なお、スピード違反に対しては「行政処分」として交通違反点数が課されます。この点数や点数の累積による免許停止や免許取り消しの処分は、刑事裁判とは別の手続きで行われるものです。スピード違反の場合の違反点数は最大で12点(高速道路での50キロ以上の超過)で、過去に交通違反がない場合には90日間の免許停止になります(過去の処分歴や違反の態様にもよります)。

自動車のスピード違反であっても刑事罰を受ける可能性がありますし、制限速度を大きく上回って運転し、制御が効かなくなった状態で人に怪我を負わせた場合には危険運転過失致死傷罪として更に重い罪に問われることもあります。普段の運転から注意が必要です。

 

2 スピード違反の場合の刑事手続きの流れ

スピード違反事件についても悪質なものについては逮捕される場合があります。飲酒してスピード違反をしてしまった場合やスピード違反をして人身事故を起こしてしまった場合など他の違反がある場合や、スピード違反で取り締まられた際に偽名を使って罰金を逃れようとした場合等です。

これらの違反で逮捕されても翌日には釈放されるなど、長期間拘束される可能性は低いですが、場合によっては最大23日間の身体拘束が続いてしまいます。逮捕されてしまった場合には直ちに弁護士を呼んでその後の対応について相談しましょう。身体拘束中の家族や会社との調整、長期間の勾留に対する不服申し立て、違反事件の処分について軽い処分を求める意見書の提出など、弁護士が付くことで出来る弁護活動もあります。

スピード違反事件について、反則金制度の対象とならなかった場合や他の刑法犯などの違反があった場合には起訴されてしまいます。スピード違反について、測定機器の不具合があったために検挙されたという場合もありますが、そうでない場合にはほとんど有罪判決として刑が言い渡されます。

スピード違反事件については事故を起こしていない限りは被害者がいない犯罪ですので、まずは違反をしてしまった本人がきちんと反省することが必要です。「ちょっと急いでいた」ということもあるかもしれませんが、平成26年に起きた交通死亡事故のうち、速度超過が原因だったとされるものは212件もあります。速度超過は大きな事故にもつながりかねないことを知ったうえで、心から反省しなければなりません。

また、スピード違反で起訴されてしまった場合には、今後どのように生活していくかが重要な点になります。示談はできませんので、減刑を求めるためには贖罪寄付(反省を表すために、公共団体に対してする寄付)をすることや、車の使用について必要最小限の移動にとどめるよう家族に監督してもらうようにする等をすることが有効です。

スピード違反のみであれば、起訴された場合であっても執行猶予付きの判決が見込まれますが、度重なるスピード違反や飲酒運転なども付け加わっている場合には実刑判決が言い渡される可能性もあります。たかがスピード違反と高を括らずに弁護士に相談して今後の方針を立てて活動しなければなりません。

スピード違反事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件に強い弁護士が対応いたします。

 

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