傷害罪の被害者

1 被害者になってしまったら・・・

被害者となる場合、多くの場合、予期せずして犯罪の被害者となってしまいます。傷害事件であれば、「痛い」思いをしてしまいますし、傷害事件に限らず、被害にあうと、「なんで自分が…」という気持ちになってしまいます。

そんな、犯罪の被害にあってしまった場合にはどうしたらよいのでしょうか、また、後にどのような事が起こるのでしょうか。

 

2 警察や検察に被害を届け出る方法

被害にあった場合、警察や検察に届け出ることができます。その方法には、いくつかの方法があります。

被害届を出す

被害届とは警察に対して、「○○の被害にあいました」という申告を行う事です。

その際、警察官が事情を聞いて、「被害届」という調書を作成したり、報告書を作成したりします。あくまで、これは「被害にあったこと」の届け出となります。

告訴・告発をする

被害にあった「本人」や被害にあった子供の親など、「法律上の代理人」は警察や検察に対して「告訴」することができます。また、これらの人ではなくても「告発」をすることができます。「告訴・告発」は、「加害者(犯人)を処罰してください」という処罰まで求める申告になる点で、被害届とは内容がやや異なります。

「親告罪」については、この「告訴」がなければ検察官は起訴できないという法律上の制度になっています。傷害罪は親告罪ではありませんが、他の「名誉毀損罪」などは親告罪になっているため、これらの被害者となってしまった場合、犯人に対して処罰を求める際には告訴をしなければなりません。そして、告訴には6か月の告訴期間が設定されています。自分の被害が告訴期間を過ぎてしまっていないか分からない場合、弁護士に相談してみましょう。

告訴・告発をする時は、警察や検察官に口頭で申し出て調書を作ってもらうか、自分たちで告訴状を作って提出するという事になります。告訴状を作る場合、捜査機関がなかなか受理してくれないこともあるため、作成に当たっては弁護士に頼む方がよいでしょう。

この被害届や告訴・告発は捜査機関に対するもので、その後警察や検察が捜査のために出向いてこない限り、その内容が直ちに職場や学校に知らせられるという事はありません。

弁護士も被害者の方からお聞きした内容については守秘義務を負っていますので、弁護士から外部に漏れるという事もありません。加害者にも被害者の情報を知らせないでほしいと求めることもできます。

いずれの方法で被害を届け出ようとする場合にも、自分で警察などに赴く必要があります。その際、警察官などから被害の内容について詳しく説明を求められることがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者の方が警察に赴く場合に、岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が付き添う、「同行サービス」を行っています。捜査機関からの質問の答えに困ってしまった場合にも、その場で弁護士が対応いたします。

告訴告発をしたいという場合についても、手続きについてご説明いたします。警察や検察に対して被害の届け出ることでお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

3 加害者に対する処分や事件の詳しい内容を知る

告訴・告発をした事件については、検察官から加害者に対するその後の処分の内容について通知を受け、不起訴とされた場合にはその理由を説明するよう請求することができます(刑事訴訟法260条、261条)。

被害届のみを出した場合にはこのような法律上の制度は存在していませんが、実務上、被害者や被害者の遺族として事情聴取(取調べ)を受けた際には、事件の最終的な結果について通知を受けるかどうかの希望を確認されます。

傷害事件として被害届等を出した多くの場合には、その時や後日、被害について事情聴取を受けることになりますので、その際に加害者に対する処分の通知を希望することができます。

また、加害者に対して起訴され裁判となった場合には、裁判が始まってから裁判に出てきた記録について閲覧させてもらうよう裁判所に対して求めることができます。記録を見ることによって、加害者がどんなことを言っているのか、検察官が自分の被害についてどのように言っているのかを知ることができます。この請求は、弁護士を通じて行うこともできます。

 

4 被害の弁償をしてもらう

自分の被害について弁償を求める方法には、裁判を通して弁償を求める方法と、裁判をしないで弁償を求める方法があります。

裁判はしたくない・・・

裁判をしないで弁償を求める方法としては、加害者との示談に応じるという方法があります。加害者が罪を認めている場合であれば、加害者側から示談を申し出ることも多く、けがの治療費などの資料を基に示談金を受け取り、被害の弁償をしてもらうことが考えられます。加害者と示談の合意をしたことを刑事裁判の中で申告することにより、示談金について強制執行の手段を残しておくこともできます。

しかし、相手が罪を認めていない場合、例えば人違いであるとか正当防衛であった等主張する場合には、加害者の方から示談を申し出ることはあまりないでしょう。その場合、被害者の側から示談を求めても話がうまくまとまらない場合があります。また、示談できた場合であっても、示談の後に後遺症が発覚して更に治療費が掛かってしまう場合などもあります。

当事者同士で示談交渉をしてしまうと、話がうまくまとまらなかったり、不測の事態が起きてしまったりする危険がありますので、弁護士を交えて示談する方が安全です。

裁判をしてでも弁償してほしい

裁判をして弁償してもらう方法としてはまず、民事上の損害賠償請求を提起することができます。しかし、この手続きは刑事裁判とは別の物ですので、警察などが集めた証拠を引用して使えない場合もあります。また、別途弁護士費用が掛かったり、長期間裁判が続いてしまったりする可能性もあります。

現在、傷害事件のように、わざとした行為により怪我をさせた罪(「故意の犯罪行為により人を死傷させた罪又はその未遂罪」)や、強制わいせつ罪・強制性交等罪等の法律で定められた罪の被害者の場合、加害者が刑事裁判にかけられている裁判の中で損害賠償を申し立てることができます。これを、「損害賠償命令の申し立て」といいます。

この申立ては、加害者に対する刑事裁判で有罪判決が言い渡された場合、有罪と判断した裁判所が、刑事裁判での証拠から必要な分をそのまま用いて損害賠償請求のための審理を行います。この申立てのメリットは、検察官が提出した証拠をそのまま使うことができる点と、迅速な手続きであるという点です。

「損害賠償命令の申立て」については原則として「4回」以内に裁判所が判断を行うことになります(民事上の請求についてはこのような審理の回数の制限はなく、ずるずると長引いてしまう場合があります。)。

被害を弁償してもらうと言っても、様々な手段があり、タイミングによっても採るべき手段が変わってきます。

・・・国は何か支援をしてくれないのか?

犯罪の加害者は、必ずしも弁償のために十分な財産を持っていない場合があります。その場合には国に対して「犯罪被害者等給付金」の支給を求めることができます。

この申請は、犯罪の被害によって「死亡」した場合の遺族、「重傷病」か「障害」を負った被害者が、住んでいる場所の公安委員会(警察とは独立した組織になります)に申請をすることになります。この申請には期間の制限があるので、注意が必要になります。

 

国に対する申請の期限
・死亡などの結果を知った時から2年
または、
・死亡などの結果が発生してから7年

 

5 裁判の中での扱われ方

被害に遭ったことを知られたくない

裁判となった場合でも、氏名や住所など被害者と結びつくような個人情報についてはマスキング(目隠し)をしたり、「Aさん」などの仮称を使ってもらったりすることができます。裁判は特別な場合を除いては公開の法廷で行われるため、被害に遭ったことを秘密にしたいという場合には、これらの措置を取るように申し出ることができます。

また、加害者の弁護士から被害者の個人情報が伝わってしまわないよう、検察官に対して秘密を守るよう求めることも可能です。この場合は、必ず秘密にされるとは限りませんが検察官への働きかけは可能です。自分が被害に遭ったことについてなるべく秘密にしたいという場合、被害者対応も取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

被害者として証人になった場合

裁判の進み方によっては、被害者本人が証人として証言台に立たなければならない場合もあります。法廷には加害者がいるため怖くて証言できないという事もあるでしょう。その場合、加害者や傍聴人がいるところから被害者が見えないように衝立をおいてもらったり、家族などに付き添ってもらったり、場合によっては別室での証言を許可してもらったりすることができます。これらの措置を希望する場合にも、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

被害者参加制度について

加害者の刑事裁判に出席したい、どのような処分がなされるのか見届けたい、という場合には、被害者が刑事裁判に参加することができます。この場合、被害者は自分で裁判所に申し出るか、弁護人を通してその旨を申し出ることができます。

被害者が参加できる裁判には、傷害罪のようにわざとした行為で人を負傷・死亡させた犯罪や、強制わいせつ罪・強制性交等罪など、法律で決められています。自分が被害を受けた犯罪が被害者参加制度の対象となっているかどうか、分からない場合には弁護士にご相談ください。

被害者参加した裁判について、被害者の方は優先的に裁判することができます。この出席を弁護士にお願いすることもできます。また、法廷で、加害者に対する処分について意見を述べたり、加害者に対して直接質問したりすることもできます。

傷害事件に限らず、犯罪の被害に遭ってしまってお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。岐阜県の刑事事件を数多くこなし、被害者対応についても経験を有する弁護士が、一刻も早い事件解決のために親身になってサポートいたします。初回相談は無料にて実施しております。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー