逮捕罪

1 どんな時に逮捕罪が成立するのか

逮捕罪は、「不法に人を逮捕」する罪のことを言います(刑法220条前段)。ここでいう「逮捕」とは、人の体に対して直接的な拘束を加えて行動の自由を奪うことを言い、具体的には両手で抱きついて押さえつける行為などがあります。手だけを縛ったり、足だけを縛って自由を奪ったりした場合にも逮捕罪となる場合があります。自由を奪う際に暴力をふるったり、脅したりした場合、暴行罪や脅迫罪は成立せず、逮捕罪だけが整理することとなりますが、相手に怪我をさせてしまった場合には「逮捕致傷罪」として、刑が重くなっています(刑法221条)。

逮捕罪となるかどうか問題になるものとしては、現行犯逮捕の場合や暴れる人を押さえつける場合です。

法律に従って逮捕行為をすることは、行為自体は刑法に抵触しますが、「正当行為」(刑法35条)として、正当防衛と同様に犯罪が成立しません。また、警察官以外の人も現行犯逮捕することは法律上認められています(刑事訴訟法213条)。そのため、通りすがりの一般の人が犯罪の犯人を現行犯逮捕した場合でも正当行為として逮捕罪は成立しないことになります。

しかし、現行犯逮捕した後、何時間も警察に引き渡さない場合や、警察に引き渡さない代わりに金をよこせなどと脅した場合には正当行為とはいえず、恐喝罪に加えて逮捕罪が成立してしまいます。

一方、暴れる人を押さえつけた場合、例えば飲酒や薬物の影響によって体の制御が効かなくなっている人に対して、周りの人や暴れている人本人が怪我をしないために、一時的に体を押さえつけるという場合には、行為自体は刑法に抵触しますが、これも正当行為として犯罪が成立しない場合があります。但し、現行犯逮捕の場合のように、押さえつける必要もない人を無暗に押さえつけたり、必要以上に長時間押さえつけたりした場合には正当行為とは認められない場合もあります。

「逮捕」というと警察官がするもののように思われますが、同様の「監禁罪」などと比べて、犯罪であることは広くは知られていないようです。

逮捕罪は3月以上7年以下の懲役が定められており、罰金刑がありません。そのため、起訴された場合には執行猶予が付かない限り、初犯でも刑務所送られてしまう可能性もある犯罪です。逮捕罪について取調べを受けている方も早く弁護士に相談の上で、今後の見通しをきいて対応することが重要です。

 

2 逮捕罪についての弁護活動

逮捕罪は逮捕された被害者がいる犯罪ですので、被害者の方と示談することがその後の刑事手続きを決めるうえで重要です。逮捕罪の被害者は加害者に対しては恐怖感を抱いている場合も多くあるため、示談をする際には弁護士を通じて行う必要があります。示談を行う際、被害者と加害者が二度と接触しない等の誓約書を作ることによって十分な反省をしている事情とすることもできます。
  
逮捕罪の捜査においては、逮捕・勾留され身体拘束を受ける場合があります。逮捕行為をしたこと自体については認めて、正当なものであったと主張する場合でも、容疑の「一部否認」として扱われるため、身体拘束期間が長期間のものになる可能性もあります。自分の行為が正当行為として犯罪にならないものなのかどうか、その主張をどのようにして行うかという点については、弁護士とよく相談して方針を決める必要があります。

上記のとおり、逮捕罪には罰金がないため起訴されるかどうかという点が一つの分かれ目になります。そのため検察官が起訴するかどうかを決めるまでの取調べの対応や弁護活動の内容が重要になります。逮捕罪でお困りの方は、岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件に強い弁護士が最善の弁護活動を行います。

 

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