1 盗撮・のぞきの罪
盗撮は一般的に相手の同意なく、相手に気づかれない方法でカメラやビデオで撮影することをいいます。
このうち、犯罪となる「盗撮」は各都道府県の迷惑行為防止条例に定められている「粗暴行為等」もしくは「卑わい行為」にあたるものです。岐阜県では、盗撮行為は「卑わい行為」として処罰されます。刑は都道府県によって異なりますが、岐阜県の場合、懲役刑は6月、罰金刑は50万円以下と定められています。
岐阜県の場合、盗撮は、通常は人が衣服を付けていない場所や公共の場所・乗り物の中で(場所)、通常人の衣服で隠されている部分を撮影することや、撮影するためにカメラを設置したり向けたりすること(行為)をいいます。典型的なものは、女性のスカートの中にカメラモードにしたスマートフォンを差し入れる行為をいいます。
公共の場所とは、人が自由に出入りし利用できる状態の場所をいいます。これは公の施設であるか、私的な施設であるかは関係ないとされています。例えば駅の構内や商業ビルのエレベーター内なども公共の場に含まれます。
盗撮の対象は必ずしも女性に対するものに限られませんので、男性に対する盗撮もあり得ます。
また、盗撮は人の衣服の下を撮ろうとする目的でカメラを向け、その結果相手を羞恥させたり不安にさせたりする行為をいうため、電車の中から外の風景を撮ろうとカメラを向ける行為自体は条例違反ではありません。
しかし、その中に人が映り込んでいた場合やカメラの先に人がいた場合に余計な誤解を与えてしまわないよう、勘違いされてしまうような行動は控えるのが一番よいでしょう。
のぞきとは、相手に気づかれないようにこっそりと見ることをいいます。人の家の中や更衣室・浴場などを覗き見た場合は軽犯罪法違反として拘留(30日未満の身体拘束)か科料(一万円未満の罰金)になります。
盗撮・のぞきは、関連して他の犯罪が成立する場合があります。盗撮やのぞきを行うために人の家に立ち入ったり、温泉などの更衣室に忍び込んだりした場合には住居侵入罪が成立します。盗撮した画像をインターネット上にアップロードした場合、わいせつ物頒布罪が成立する場合がありますし、盗撮した相手が18歳未満の者であった場合には児童ポルノ処罰法違反にもなりえます。
単なる好奇心や興味本位から行った盗撮やのぞきであるといえども、立派な犯罪になります。児童ポルノ処罰法違反の場合は最大で5年以下の懲役が科される可能性もあります。盗撮・のぞきでお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に扱う弁護士が盗撮、のぞき事件についても最善の弁護活動を行います。初回相談は無料で実施しております。
2 盗撮、のぞきの弁護活動
盗撮やのぞきはその場で被害者や周りの人に見咎められて発覚することが多く、現行犯逮捕されることが多い犯罪です。逮捕された場合は最大で72時間弁護士以外とは面会することができません。逮捕されてしまった場合には直ぐに弁護士を呼んで、その後の対応についてアドバイスをもらいましょう。
現行犯で逮捕されなかったとしても、防犯カメラの映像などから犯人の割り出しが行われ、後日逮捕されたり、警察からの取調べのために呼び出されたりすることもあります。
盗撮やのぞきについては刑も比較的軽微な犯罪ですので、初犯で常習性のない事案であれば逮捕後、検察官に身柄を引き渡される前に釈放され事件が終了する場合もあります(微罪処分)。その場合、逮捕されていますので前歴は残ってしまいますが、前科とはならず、再び日常生活に戻れることになります。
また、検察官に事件が送られた場合でも、事件についての反省や被害者との示談ができている事情があれば、起訴猶予の処分を得られる見込みがあります。起訴される場合であっても、その多くは略式起訴(罰金の言い渡ししかなされない裁判)がなされます。そのため、盗撮やのぞきによっていきなり懲役刑となる可能性は高くありません。
しかし、大量の件数を検挙された場合や常習性があると判断された場合には、正式な裁判として起訴されることもありますので、弁護士を付したうえで十分な弁護活動を行わなければなりません。
これらの行為は痴漢の場合と同様に冤罪の可能性も大きい犯罪です。犯罪の証拠が残りにくいので、警察に対して嘘の自白をしてしまった場合、それが決定的な証拠となってしまい、後の裁判で取り返しのつかない事態にもなりかねません。冤罪に巻き込まれてしまわないよう、身に覚えがない犯罪であっても、逮捕された場合には弁護士に連絡した上で対策をたてましょう。
盗撮やのぞきも被害者がいる犯罪ですので、被害者の方に対して謝罪して示談することが弁護活動としては重要になります。示談では被害者やその家族が強く怒っておられる場合もあり、当事者同士の示談ではうまくいかないこともありますので、後の紛争を防止するためにも弁護士を間に挟んで示談に当たる方が安全です。
…どうしてものぞきを繰り返してしまう、やめられない
盗撮やのぞきは性犯罪としての側面もありますので、何度も繰り返してしまう、やめられないという場合には、盗撮行為やのぞき行為に至ってしまう原因を解消しなければなりません。常習的にのぞきを行ってしまうことは「窃視症」とも呼ばれ、その中には以下のような「認知」の歪みがあるとの研究もなされています。
のぞいても相手は傷ついていないと思っている
のぞかれる人が悪い、見えるような建物が悪い
女性はのぞかれたいと思っている
のぞかれる服を着ている女性は性的にふしだらだ
(「性犯罪の行動科学」田口真二他編著、北大路書房)
このような認知上の歪みを修正するカウンセリングなどによって、再犯を防止につながることもあります。
盗撮、のぞきでお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が手続きの見通しを踏まえて弁護活動を行います。初回の相談は無料で行っています。