薬物使用で執行猶予中の再犯

1 執行猶予付き判決とは

薬物事件の初犯では、執行猶予付き判決が言い渡されることが多くあります。例えば、「被告人を懲役1年6月に処する。この裁判が確定した日から刑の執行を3年猶予する」などです。

この場合、刑の言い渡しの後、身柄が解放され、3年間の間に再び懲役判決の言い渡しを受けて、かつ再度の執行猶予が付かなかった場合、前に猶予されていた刑と新たに言い渡された刑の両方の期間、刑務所に行かなければなりません。

先程の例で、

「被告人を懲役1年6月に処する。この裁判が確定した日から刑の執行を3年猶予する。」との判決を受けた後、3年以内に

「被告人を懲役1年に処する。」との判決の言い渡しを受けた場合、

1年6月(猶予されていた刑)+1年(新たに言い渡された刑)=2年6月の実刑となります。

特に薬物事件は再犯率が他の犯罪よりも高く、執行猶予中であっても再び薬物を使用してしまい再犯が発覚されることがあります。また、裁判所の定めた条項(特別遵守事項:決まった場所に住む、以前の薬物仲間とは会わない等)を破った場合にも執行猶予が取り消される場合があります。

また、再犯であっても、罰金刑のみの言い渡しを受けた場合には執行猶予を取り消されないで済む可能性があります。

同じ薬物犯罪で罰金刑のみが言い渡されることはありませんが、再犯が軽微な暴行罪や万引きなどの窃盗罪に留まる場合には、罰金刑を得られる可能性もあります。

執行猶予中の再犯をして警察の取調べを受けた、家族が逮捕された、知人が逮捕されてしまったという方は岐阜県の刑事事件・少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。刑務所を回避できる場合もあります。

また、弁護士が24時間以内に接見に赴く「初回接見」も行っています。懲役刑を回避するためには早期から弁護士が活動して、裁判の準備をすることが重要です。検察官が起訴する前に、弁護士が意見を述べることにより、略式起訴手続きがなされ直ちに身柄が解放されることもあります。

 

2 執行猶予中に再犯は必ず刑務所・・・?

再犯をしてしまった場合に必ず刑務所に行かなければならないとは限りません。

執行猶予中の再犯でも、再度の全部執行猶予付き判決が得られる場合があります。

見込みは高くはありませんが、再度の全部執行猶予がなされた場合、保護観察付では
ありますが、再び身柄が解放されます。

再度の猶予を難しいですが、再犯をしてしまった事情や以後にはもうこれ以上罪を犯すことがないといえる環境が整っていることを主張することになります。一度執行猶予を受けている場合、前の裁判でも「二度としません」と裁判所で述べていることも多く、その上で再犯をしてしまっているため、「もう二度としません」と言ってもなかなか信じてもらえないのが実際です。

再犯が同じ薬物犯罪の場合、実刑判決は避けられないような場合もあります。その時でも刑の一部執行猶予は得られる場合があります。

これは、実刑判決とするしかない事案であっても、その後の更生のためには社会で生活すること必要である場合に、刑の一部についてのみ執行を猶予するものです。

たとえば、「懲役3年、このうち1年間については刑の執行を4年間猶予する」などという判決があります。この場合、懲役3年のうち2年は刑務所の中で生活しますが、残りの1年分については4年間執行が猶予されるというものです。つまり2年の服役後一度社会に戻り、4年間罪を犯すことなく生活できれば残り1年分の懲役刑を受けなくても済むというものです。

そして、覚せい剤取締法違反、麻薬取締法違反、大麻取締法違反などの薬物事件については、執行猶予中の再犯であっても刑の一部執行猶予を受けることが、法律上は可能になっています。

薬物犯は、刑務所内で新たに薬物仲間との関わりができてしまったり、長期間刑務所にいることで社会の人との関わりが薄れ、結果として再犯に至ってしまったりすることが多く、社会生活の中で更生する必要があると考えられているためです。

刑の一部執行猶予の場合、前の執行猶予は取り消されますが、再犯の一部について執行が猶予されるため刑務所内で過ごす期間はやや短くなります。

また服役が一度終わり実社会に戻った際は、保護観察がつき薬物の再使用防止プログラムを受けることになります。

刑の一部執行猶予は通常の執行猶予と比べて刑期が複雑になる事がありますので弁護士からきちんと説明を受けておくことが、のちに深刻な事態になるのを避けるためにも重要です。

・・・再犯をやっていないのに捕まってしまった、それでも執行猶予取消?

逮捕されてしまっただけでは執行猶予が取り消されてしまうことはありません。執行猶予中に逮捕されてしまったが身に覚えがないという場合にはしっかりと無罪を主張する必要があります。

猶予期間中に再犯を疑われた場合、刑期が重くなることから逃亡を疑われ、逮捕されてしまうという場合があります。また、捜査官は一度有罪判決を受けた身であることを頭において取調べを行うため、厳しい取調べがなされることもありえます。

取調べにおいて嘘の自白調書を作成されてしまわないように、弁護士のアドバイスの元、きちんと取調べに対応しなければなりません。意に沿わないで作成されてしまった調書を、あとの裁判で覆すのはとても困難です。

執行猶予中に逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件に強い弁護士が、ご依頼から最短即日で接見を行い、最善の弁護方針をお伝えし、弁護活動を行ってまいります。

 

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