自殺関与罪・同意殺人罪

1 自殺を手伝う事の罪

自殺を手伝ってしまった場合の罪は、大きく分けて、自殺することを手伝う「自殺関与罪」と、本人に頼まれて人を殺す「同意殺人罪」に分かれます。

自殺関与罪とは、「人を教唆し(そそのかして)若しくは幇助して(手伝って)自殺させ」ることを言います。そそのかす方法としては、嘘をついて、自殺するしかないと思わせる方法や暴行・脅迫によって自殺させるという方法があります。しかし、あまりに執拗に自殺を迫った場合、殺人罪が成立することになります。自殺することについての決定が、本人の意思に基づいてなされているかどうかが重要になります。

同意殺人罪とは「人をその嘱託(依頼)を受け若しくはその承諾を得て殺」すことをいいます。本人が「殺してほしい」と言った場合や、おなかにナイフを突き立てて「刺してもいいよ」と言われて刺した場合などがあります。この嘱託(依頼)や承諾は本人の真意に基づいてなされていなければなりません。

この二つの罪は、人が死ぬことに関与している点では殺人罪と共通しますが、死ぬ本人が死ぬことについて了解しているため、殺人罪よりも刑が軽くなっています。

いずれの罪についても本人(死のうとする人)が「死」という事について正しく理解できていなければ、これらの罪ではなく殺人罪などに問われる可能性もあります。

自殺関与罪・同意殺人罪には「未遂罪」も罰すると規定されていますので、本人が自殺を遂げなかった場合にも手伝った人は罰せられることになります。
  
殺人罪として捜査されている場合でも、被害者が自殺する意思であった場合には自殺関与罪・同意殺人罪になる可能性があります。岐阜県で他人の自殺に関与してしまったことでお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

2 自殺を手伝う事の刑

自殺関与罪も同意殺人罪も「6月以上7年以下の懲役又は禁錮」が定められています。

自殺関与の場合も同意殺人の場合でも、殺人罪の場合上に、犯罪に至るまでに様々な経緯のあることが多く、他に余罪がなく、反省している場合であれば執行猶予が付くことも見込まれます。

 

3 自殺関与罪等の弁護

自殺関与罪・同意殺人罪は人の死に関わっている犯罪です。仮に本人が自殺する意思がないと判断されてしまうと、殺人罪に問われてしまう可能性もあります。そのため、殺人罪よりも刑が軽いとはいえ早い段階から弁護士による弁護活動が必要になります。

本人が亡くなってしまった場合には、本人が自殺に至ってしまった経緯をきちんと主張し立証していかなければなりません。また、本人が亡くなっていない、未遂である場合には本人の方自身に自殺の経緯についてきちんとお話して頂くことも必要になります。

同意・嘱託があったとはいえ、自殺に関わるわけですから実刑が言い渡される場合もあります。罪の自覚がある場合にはしっかりと事件を見つめて亡くなった方の供養に努めることが、事件の反省を示すうえでも重要です。

  
現在の問題

この同意殺人をめぐって今、世界中で安楽死や尊厳死が処罰されるのかという点が議論になっています。近年では2014年11月にアメリカで29歳の女性が余命半年の宣告を受け、医師から処方された薬を飲んで安楽死を実行しました。日本では主に医師の行為が同意殺人罪または殺人罪に問われたことがあります。

安楽死(euthanasia)とは、回復の見込みがなく苦痛の激しい病気の方を、身体的・精神的な苦痛から逃れるために苦痛を和らげて安らかに死を迎えさせることを言います。延命治療を中止するという方法と薬を投与して指揮を早めるという方法に分かれています。

尊厳死(death with digity)とは、事前に延命措置等は望まないという意思を示しておくことで、回復の見込みがない状態に至ったのちも人としての尊厳を保ったまま自然な死を受け入れる、というものです。

安楽死・尊厳死の問題は倫理観の変化や医療技術の発展によって刻一刻と変わっており、安楽死を適法なものとする明確な基準はありません。

 

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