1 自首とそれに似た言葉
「自首」というと社会一般的には、犯人が自分で罪を認めて警察に名乗り出る、という意味で使われることが多い言葉です。似たような言葉としては「出頭」や「任意出頭」という言葉もあります。
どれも犯人が警察に対して名乗り出るというニュアンスが含まれているようですが、法律上、これらは全て違う事柄を意味しています。
法律上、「自首」とは、犯人が捜査機関などに、進んで自分の犯罪を申告してその処分を求めることを言い、刑が軽くなる効果があるものをいいます。
一方法律上「出頭」という言葉は、誰かがある場所へ出向くことを示します。「任意出頭」という言葉は法律にはなく、自らの意思でどこかへ出向くことの意味で使われている言葉です。
2 自首が成立する場合
⑴ 警察等に赴いてする自首
法律上の「自首」が成立する場合には、刑が軽くなることがあります。その自首が成立するためには、いくつかの条件があります。
まず、自分の犯罪を進んで申告しているということです。警察官から職務質問をされた結果犯罪を申告したり、取り調べが進んだ段階で罪を告白したりした場合、自首とはならない場合があります。
ですが、自首の理由は必ずしも反省や後悔でなくても自首として成立する場合があります。また、自分の犯罪事実について包み隠さず話しているという点も必要になります。人を殺して埋めた犯人が、死体を埋めた場所だけを警察に届け出ても自首とはなりません。
自らの犯罪を申告すれば、警察などから取り調べを受けることになります。自らの犯罪を認めて申告することは、その後の処分を重いものにしないためにも重要ですが、きちんとした自首となるかは法的な判断も必要になります。また、取調べに当たっても自首が否定されてしまわないようにする必要があります。
そのため、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件の専門の弁護士が自首することがご依頼人様の利益となるよう、弁護活動をいたします。また、一人で警察へ行くのが躊躇われるという方にも「同行サービス」を行っております。警察に向かった後も、すぐに弁護士から法的な助言を得て取り調べにも対応できるようサポートいたします。
さらに、自首が成立するためには、捜査機関が犯罪を知る前に申告する必要があります。
これは、捜査機関が、①犯罪があったこと(犯罪事実)と②犯人の両方を知る前であることを意味します。捜査機関がどの程度犯罪を認知しているか外部からは分からないこともありますが、単に容疑が掛かっていたに過ぎない場合には自首が成立する場合もあります。
しかし、犯人は誰か分かっていて居場所が分からないだけという場合に名乗り出ても自首とはなりません。いわゆる、指名手配がなされている場合などには法律上の自首が成立しません
時期的に自首が成立するのかどうかは判断が難しい場合もあります。自首すべきか迷っている、自首してメリットがあるのか分からないという方も、岐阜県の刑事事件・少年事件に強い弁護士が在籍する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
自首を適切なものとして認めてもらい、法律上の自首に当たらない場合においても有利な事情として扱われるよう最善の弁護活動を実践してまいります。
⑵ 親告罪の場合
親告罪である罪について自首する場合、被害者等の告訴できる人に対して犯罪を申告し告訴権者に処罰をゆだねた場合にも、自首と同様に扱われています。
親告罪の場合は告訴がなければ起訴できないため、犯人が告訴できる人に名乗り出た場合には、警察に名乗り出た場合と同様に扱おうという考え方から、このように法律で定められています。
この場合でも捜査機関が犯罪を知る前に告訴できる人に自分の犯罪を申告する必要があります。
親告罪について罪を申告する場合にも弁護士にご相談ください。既に述べたように親告罪では告訴されるかどうかが極めて重要になります。自分のしたことには間違いはなく相手にもそれを名乗り出てしまいたい、という場合にも、岐阜県の刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に一度ご相談ください。
申告することが被害者の方の許しや示談につながり、刑事事件を回避する手段となる場合もありますし、事件になった場合に有利な事情にもなります。示談のことも含め、刑事事件のプロの弁護士が、ご依頼人様のために最善の弁護活動を行います。
3 自首によるメリット
以上のような法律上の自首はもちろん、法律上の自首とは扱われない形での犯罪の申告もメリットがあります。
⑴ 自首したからと言って直ちに逮捕されるものではない
自首するに至る場合には、捜査機関が犯人をまで特定できていないことがあります。そのため、現行犯逮捕などと違い、証拠に基づいた嫌疑が強くない場合があります。また、自ら犯人であると名乗り出ている以上、更に逃亡を図ることはないだろうということから直ちに逮捕されにくいということがあります。
逆に、自首すれば逮捕されないというものではなく、重大犯罪であったり、既にある程度の証拠に基づいた嫌疑があったりという場合には緊急逮捕される場合もありますし、自首した日は家に帰されたが後日改めて逮捕される、という事もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、自首のために警察に赴くにあたって同行する、「同行サービス」を行っております。自首した後の取調べ時や、万が一逮捕されてしまった場合でもすぐさま弁護士が弁護活動に取り掛かることができます。
⑵ 後の処分において有利に働く
罪を反省し自首して場合、反省が認められて正式起訴されず、起訴猶予や略式命令請求などのより軽微な処分とされることがあります。また、ある程度重い犯罪で正式起訴は避けられないという場合でも、裁判において自首しているという事が有利な事情として考慮されます。
法律上、自首が成立している場合に裁判官は刑を「減刑することができる」とされています。減刑するかどうかは裁判官の判断によることになりますが、減刑を求めるうえではとても重要な要素になります。
死刑や無期懲役しか刑が定められていない場合は異なりますが、減刑とは、懲役や罰金の刑の範囲を約半分にするというものです。
例えば、傷害罪を例にすると、傷害罪は刑が「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」と定められています。
自首によって刑が減刑されると、懲役となった場合には「7年6月以下」、罰金となった場合には「25万円以下」となります。
法律上の自首が成立しない場合でも罪を申告するという事情は裁判で有利な判決を得るための事情として重要です。自首することが適切事件解決に反映されるよう、自首するに当たっては刑事手続きの専門知識と経験がある弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。