住居侵入罪

1 住居侵入罪が成立する場合

住居侵入等の罪は、「正当な理由が無いのに、人の住居若しくは人が看取する邸宅、建造物、若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった」場合に成立します(刑法130条)。

前半にあるように、人の住居や建造物に侵入することを住居等侵入罪といい、後半の、要求を受けて出て行かなかったことを不退去罪といいます。住居侵入は「不法侵入」と言われることもあります。

「侵入」とは住民に知られないように立ち入る事のみならず、その住居や建物を管理する人の意思に反して立ち入ることも含みます。例えば、強盗をする目的であるのを隠し住民に挨拶して家に上げてもらうのも「侵入」にあたりますし、ATMの暗証番号をのぞき見する目的で一般客のふりをしてATMコーナーに入るのも「侵入」にあたると判断されています。また、ガラス戸や玄関を壊して入った場合には住居侵入罪と併せて、器物損壊罪や建造物損壊罪が成立します。

「退去しなかった」場合とは、その場から出ていくように管理者から言われたのに、必要以上に居座った場合を言います。そのため、「出ていけ」と言われてから実際に出ていくのに必要な時間が経つまでは不退去罪は成立しません。

住居侵入等の罪は単に立ち入るだけの目的でなされることはなく、何らかの目的で立ち入る場合が大半です。

 

空き巣など盗み目的の場合

盗み目的で人の建物に立ち入る場合、通常、部屋の中の物を盗まれることを承知している人はいませんので、住居侵入罪が成立します。また、物を盗もうと物色を始めた時点で窃盗未遂罪となりますし、住居侵入罪と窃盗未遂罪はそれぞれ成立し、より重い窃盗罪として刑を科されます。

また、常習的に建物の門や戸の鍵を開けて立ち入って窃盗を行った場合には「常習特殊窃盗」として重い罪(3年以上の懲役)が科されてしまう可能性があります。

 

覗き(窃視)やわいせつ目的の場合

覗き目的やわいせつ行為目的での立ち入りについても住居侵入罪が成立します。覗き行為も軽犯罪法違反として住居侵入罪とは別で犯罪として成立します。わいせつ目的の場合には行った行為に応じて強制わいせつ罪などが成立する場合があります。

また、元交際相手など行為を抱いている異性の家や部屋に押し掛ける行為は住居侵入未遂罪にあたるほか、ストーカー規制法の「つきまとい等」の行為にあたり、警察から警告を受けることや、刑罰の対象とされる場合があります。

住居侵入罪はそれのみで立件された場合であっても、その目的によってその後の刑事手続きや刑事処分の内容も変わってきます。事件についての見通しは、弁護士に相談して対策を仰ぎましょう。悪質な目的であると判断された場合、起訴され、前科がなかった場合でも罰金刑とはならず執行猶予つきの懲役刑を言い渡されてしまう場合があります。

 

2 住居侵入等の罪の刑事手続き

住居侵入等の罪は、「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が定められています。

住居侵入等の場合、捜査の末犯人として逮捕されることもありますが、多くの場合は家人や警備員に見つかり現行犯逮捕される場合があります。一般の人に現行犯逮捕されるとそのまま警察官に身柄を引き渡されます。住居侵入罪の刑自体は比較的軽微で、前科や身元引受人がいるかどうかにもよりますが、勾留されることなく釈放される見込みもあります。場合によっては微罪処分として、警察の取調べだけで事件が終了することもあります。

勾留前に釈放されるためには、逮捕された段階からすぐに弁護士に連絡して活動することが必要です。逮捕されてから勾留されるまでの期間は家族であっても面会することができませんので、弁護士を通じてしか外部で活動できません。また、家族が本人に代わって弁護士に依頼することも可能です。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ご依頼から最短即日で弁護士が接見を行う「初回接見」も行っています。

住居侵入等の罪は、建物や部屋に立ち入られた被害者の方がいますので、示談することが弁護活動としては重要です。被害者の方は、プライバシー性を暴かれていますから、犯人や加害者に対して強い感情を抱いている場合もあります。示談の交渉にあたっては当事者同士で行ってしまうのではなく、弁護士を通して行う方がよいでしょう。

また、罪を犯してしまった本人が十分に反省することが必要です。住居侵入罪は上記のとおり刑も比較的軽く罪を犯したという自覚が薄い場合もあります。

示談や反省を通して、二度と罪を犯さない、と検察官を説得することで起訴猶予処分につなげることができますし、起訴する場合でも懲役刑のリスクしかないしかない略式起訴とするように働きかけることができます。

単に住居侵入罪であっても微罪処分とされる事案から起訴されて実刑判決になってしまうものまで幅広くあります。住居侵入罪でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。岐阜県の刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が各事案に応じて最善の弁護活動を行います。

 

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