(事例紹介)歩道で女性にわいせつな行為をした疑いで岐阜中署が不同意わいせつ容疑で男性を逮捕
歩道で女性にわいせつな行為をした疑いで男性が逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
岐阜中署は、不同意わいせつの疑いで、岐阜市内の男性を逮捕した。
逮捕容疑では、夜半前頃、岐阜市内の歩道上で自転車を運転し、歩いていた県内の20代女性を追い越しながら尻をわしづかみにするわいせつな行為をしたとされる。
(中日新聞「歩道で尻をわしづかみした疑い 岐阜中署、不同意わいせつ容疑で男逮捕」(2023/12/14)を引用・参照。)
~性犯罪規定の相次ぐ改正~
(不同意わいせつ)
第176条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の懲役に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二〜八(略)
2(略)
3 16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
近年、刑法典における性犯罪規定の改正が相次いでいます。
特に本罪も含む「第2編第22章」の規定(特に176条以下)は、最も変化の波にさらされている規定群です。
この第22章に関する大きな改正は2017年に行われましたが(典型的には「強姦罪」から「強制性交等罪」への改正)、刑法176条自体には改正の手は及びませんでした。
もっとも、2023年の刑法改正により、刑法176条は「強制わいせつ罪」から「不同意わいせつ罪」へと罪名を変え、その規定ぶりも大きく変化しています。
従来通り、暴行・脅迫要件は残りましたが(1項1号)、これまでのように暴行・脅迫要件それ自体に強い縛りをかける解釈は否定され、暴行・脅迫よって被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」になっているかが判断されるという条文構造になっています。
立案担当者によると規定の変化にも関わらず、今回の改正は処罰範囲を拡大するものではないと説明されます。
しかし従来と異なり「婚姻関係の有無にかかわらず」犯罪が成立する旨が明記されるなど、犯罪の成立範囲について拡大していないとは必ずしも言い切れず、専門家たる弁護士の見解を仰ぐ必要性が高まったのは間違いありません。
本事案のような場合、改正前後いずれにおいても刑法176条の罪が成立することは明らかなケースといえます。
したがって、2017年改正に伴う非親告罪化でも弁護活動の方針は大きく変化しなかったように、まずは何よりも被害者との示談の成立を目指すことになります。
もっとも、上記で指摘したように今回の改正により犯罪の成立範囲が拡大していないとは言い切れず、これまで罪を問われることがなかったケースについても逮捕を含めた刑事手続の対象となり得る可能性は否定できません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、不同意わいせつ事件などを含めた刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
上述のような改正を含め、刑事事件は近年特に専門性が高まっている分野です。
不同意わいせつ事件等に関するご相談は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせ下さい。