【事例】
岐阜県多治見市に住むAさんは同じ会社で働いているVさんに対して好意を抱いていました。
しかし、Vさんは転職で違う会社に行ってしまいました。
そこでAさんはVさんの家の近くでVさんを待ち伏せたり、休日にも偶然を装って出会うために後をつけたりしていました。
気味悪く感じたVさんが岐阜県多治見警察署に通報したことにより、Aさんは警察から接近禁止命令を受けることになってしまいました。
警察に通報されたことに対して、怒りを感じたAさんは今度は嫌がらせとして、自分の精液の付いたティシュをVさん宅のポストに入れたり、無言電話を繰り返しかけるようになりました。
恐怖を感じたVさんが再度、岐阜県多治見警察署に通報したことによりAさんは逮捕されることになってしまいました。
(フィクションです。)
【ストーカー規制法】
ストーカー規制法では、ストーカー行為について、同法第2条3項で
~この法律において「ストーカー行為」とは、①同一の者に対し、②つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を③反復してすることをいう。~
と定めています。
これをわかり易く要約すると、ストーカー行為とは
① 同一の者に対する
② つきまとい等 を
③ 反復して行うこと
です。
◇つきまとい等について◇
ストーカー行為というためには、同一の者に対する、つきまとい等であることが必要とされていますが、ここでいう「つきまとい等」とは何でしょうか?
これにについては同法第2条1項で定義されています。
~つきまとい等とは、特定の者に対する恋愛感情やそれが満たされなかったことに対する怨恨感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し
1.つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつきなど
2.監視していると告げる行為
3.面会や交際など義務のないことの要求
4.粗野又は乱暴な言動
5.無言電話・連続した電話、メールなど
6.汚物などの送付
7.名誉を傷つける事項の告知
8.性的羞恥心の侵害
のいずれかの行為をすることをいいます。~
◇「反復して行う」とは◇
反復性の有無に関しては、行為の時間的間隔等を考慮して社会通念に従って判断されます。通常、同一の行為につき、少なくとも2回つきまとい等を繰り返せば反復に当たり得ます。また、一つの行為が1回のみだったとしても、それ以外の法律2条1項各号に掲げられた行為を複数回繰り返した場合にはやはり反復に当たるとするのが最高裁の考え方です。
ストーカー規正法違反で起訴されて有罪が確定すると、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科されます。
もっとも、現行犯や悪質な場合などでなければ、警察は被害者の申し出を受けて加害者に対してまず、「警告」を出します。
それでも改善されないような場合は「禁止命令」を出し、つきまとい等の反復の禁止や、こうした行為を防止するために必要な事項を命じます。
この禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」となり、ストーカー行為には当たらないが、禁止命令に違反した場合は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます。
今回のAさんは禁止命令に違反してストーカー行為を行った場合となってしまいました。
【ストーカー事件における示談】
ストーカー事件は、ストーカー行為の悪質性から、被害者が被疑者・被告人と一切関わりたくないという意思を示していることも珍しくありません。
そうした状況では、被疑者・被告人本人はもちろん、その家族でさえも示談交渉に及べないことがよくあります。
そこで、ストーカー事件において示談を行うなら、示談交渉を弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士による示談には、以下のようなメリットがあります。
第一に、示談交渉を安全に進め、交渉決裂となるリスクを抑えることができます。
弁護士は法律に関わるトラブルを数多く経験しているのが通常であるため、示談の経験が豊富であり、示談交渉を円滑に進める術を把握していると言えます。
第二に、適切な内容の示談を締結することで、示談という合意の効果を最大限に発揮することが期待できます。
示談は事件の解決を確認する役割を果たしますが、その役割を引き出せるかどうかは合意の条件や示談書の文言といった要素に掛かっています。
以上のような弁護士の強みは、ストーカー事件での示談交渉においても重要な役割を果たすことが期待できます。
特に早期釈放や不起訴を目指すのであれば、ぜひ示談交渉は弁護士に任せてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の豊富な経験を有する弁護士が自信を持って示談交渉に取り組みます
ご家族などがストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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