少年事件(大麻所持)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大学生のAさん(18歳)は、岐阜県大垣市にある公園で深夜数名で集まり騒いでいました。
近隣からの苦情の通報を受けて公園に駆け付けた岐阜県大垣警察署の警察官に、Aさんらは職務質問を受けました。
その際、Aさんらの所持品から乾燥大麻が入ったパケが見つかり、大麻所持の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、すぐに釈放してほしいと少年事件に精通する弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
少年と大麻所持
大麻取締法違反事件で検挙された少年の数は、増加傾向にあるといいます。
大麻は規制薬物ですので、大麻の所持・譲渡・栽培等の行為は犯罪です。
しかしながら、大麻については海外の国や地域において、その使用等が合法とされているため、違法薬物であるとの認識が薄いことや、他の薬物と比べて手に入りやすいこともあり、少年による大麻乱用が増加しているのではないかと指摘されています。
また、大麻は薬物依存の入り口となる「ゲートウェイドラッグ」とも呼ばれており、大麻から始まり、徐々により中毒性の高い薬物へ手を出す傾向もあり、その有害性を軽視することはできません。
大麻取締法は、文字通り大麻を取り締まる法律です。
大麻取締法は、第3条で、「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のために使用してはならない。」と定めています。
この規定に反して、「大麻を、みだりに、所持し」た場合の罰則は、5年以下の懲役です。
ここでいう「所持」というのは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」をいい、大麻について所有権や処分権を有していることは必要とされません。
所持の形態は、自ら保管・携帯している場合だけでなく、他人に保管させる場合、他人の依頼によって保管する場合、運搬する場合、隠匿する場合など社会通念上実力支配関係にあると認められるすべての場合が含まれます。
営利目的での大麻所持の罰則は、7年以下の懲役または情状により7年以下の懲役および200万円以下の罰金です。
営利の目的は、「犯人がみずから財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合をいう」とされます。
大麻所持で逮捕されたら
14歳以上の少年が大麻所持で逮捕された場合、捜査段階での手続は、おおむね成人の刑事手続と同じです。
逮捕から48時間以内に、少年は釈放されるか、検察庁に証拠や関係書類と共に送致されます。
検察庁に送致されると、少年は担当検察官の取調べを受けます。
そして、少年の身柄を受けてから24時間以内に、検察官は少年を釈放するか、勾留請求するかを決めます。
「勾留」というのは、被疑者・被告人を刑事施設に留置して身柄を拘束する旨の裁判官もしくは裁判所の裁判とその執行のことをいいます。
検察官の勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談をした上で、少年を勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から10日間の身体拘束を受けることになります。
延長となれば、期間は最大で20日間です。
少年の場合には、検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合であっても、裁判官に対して、「勾留に代わる観護措置」の請求をすることができ、裁判官は、この措置をとることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されていますが、以下の点で勾留と異なります。
①少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
②勾留は延長が可能ですが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日で、延長は認められません。
③勾留に代わる観護措置として少年鑑別所収容がとられた事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。
長期の身体拘束を強いられることになれば、少年はその期間学校や職場へ行くことができませんので、最悪の場合には退学や懲戒解雇となってしまう可能性があります。
そのような事態は、少年の更生を妨げる結果となりかねませんので、回避できるよう動く必要があります。
短期間で逮捕から勾留まで決定するため、早く対応することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
お子様が大麻所持で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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