自転車のあおり運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
岐阜県郡上市内の片側2車線の市道を自転車で走行中、中央線をまたぐように繰り返し蛇行し、対向車線の乗用車の走行を妨げたとして、岐阜県郡上警察署は、市内に住むAさんを道路交通法違反の疑いで逮捕しました。
Aさんは、容疑を認めており、「車の運転者の驚く顔を見るのが楽しかった。」と供述しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、逮捕の知らせに驚くとともに、今後どうなるのか不安でならず、刑事事件に強い弁護士に相談しようとしています。
(フィクションです。)
自転車のあおり運転
令和2年6月10日に公布された道路交通法の一部を改正する法律により、妨害運転(いわゆる「あおり運転」に当たる行為)に対する罰則が創設されました。
道路交通法第117条の2の2第11号で妨害運転に対する罰則を設けており、法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者
イ 第17条(通行区分)第4項の規定の違反となるような行為
ロ 第24条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為
ハ 第26条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為
ニ 第26条の2(進路の変更の禁止)第2項の規定の違反となるような行為
ホ 第28条(追越しの方法)第1項又は第4項の規定の違反となるような行為
ヘ 第52条(車両等の灯火)第2項の規定に違反する行為
ト 第54条(警音器の使用等)第2項の規定に違反する行為
チ 第70条(安全運転の義務)の規定に違反する行為
リ 第75条の4(最低速度)の規定の違反となるような行為
ヌ 第75条の8(停車及び駐車の禁止)第1項の規定の違反となるような行為
おあり運転に典型例である、極端な幅寄せや急な進路変更、不必要な継続的ハイビームやクラクションといった行為は、妨害運転の対象行為に当たります。
この罪の成立には、あおり運転によって相手方が事故を実際に起こしたことまで必要としておらず、行為者において、相手車両の通行を妨害する意図をもって、上の10類型のいずれかに該当する行為を、相手方に事故を起こすなどの危険を生じさせる可能性のある方法で行っていれば足ります。
妨害運転は、自動車だけでなく自転車によるものにも適用されます。
最近でも、自転車が急に反対車線に飛び出して対向車の通行を妨害した事件がニュースでも大きく取り沙汰されました。
自転車のあおり運転も、一歩間違えれば、死亡事故にも発展しかねない非常に危険な行為です。
また、法律で飲酒運転が禁止されているのは周知のところですが、飲酒して自転車を運転する行為もまた飲酒運転に当たることを知っていらっしゃる方はそう多くないのではないでしょうか。
道路交通法第65条第1項は、「何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と規定しています。
「車両」は、自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスのことで、「軽車両」には自転車が含まれます。
つまり、酒気を帯びて(身体の中にアルコールを保有して)自転車を運転することは法律で禁止されているのです。
ただ、すべての自転車についての飲酒運転が処罰の対象かというと、そうではなく、酒気を帯びて自転車を運転した者であり、その運転をした場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)にあった場合には、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
酒に酔った状態の判断は、呼気検査等の数値だけでなく、運転者の様子、例えば、呂律が回っていなかったり、まっすぐ歩くことができないといった点を検討して行われます。
自転車であっても、悪質なあおり運転に対しては厳しい処罰が科せられる可能性もありますので、あおり運転で検挙され対応にお困りであれば、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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