あおり運転で妨害運転罪

あおり運転妨害運転罪となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

岐阜県飛騨市の片道1車線の高速道路を走行中していたトラック運転手のVさんは、前を走っていた車が急に停止したため、慌てて急ブレーキをかけました。
停止した車から男性が降りてきて、Vさんに対して、「なに煽ってんだよ!ふざけんなよ!」と吐き捨てました。
Vさんは、あおり運転をした覚えはなく、男性と口論になったことから110番通報しました。
通報を受けて駆け付けた岐阜県警察高速隊は、Vさんのドライブレコーダーを確認したところ、あおり運転にあたるような行為は見受けられませんでした。
その後、警察は、高速道路でブレーキをかけて車線をふさいで後続車を停止させたとして、車を運転していた男性を道路交通法違反(妨害運転罪)の疑いで書類送検することにしました。
(フィクションです)

あおり運転の厳罰化

あおり運転とは、一般的に、道路を走行している車両に対して、極端に車間距離を詰めたり、幅寄せしたりといった方法により、嫌がらせをする危険な行為のことを指します。
あおり運転によって重大な交通事故が引き起こされるおそれがあり、捜査機関は、道路交通法や刑法上の暴行罪などを適用しながら取締りを行ってきました。
例えば、安全な車間距離を取らずに前車に著しく接近する行為については、道路交通法上の車間距離不保持が成立します。
しかし、車間距離不保持の刑事罰は、高速道路上においては3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、一般道では5万円以下の罰金と比較的軽くなっていました。
あおり運転に起因する事故で、重大な被害が発生しているものが少なくなく、あおり運転に対しての刑事罰をもっと重くするべきではないかという声を受け、今年の6月30日に施行された改正道路交通法では、新たに「妨害運転罪」が設けられました。

改正道路交通法:妨害運転罪

道路交通法第117条の2の2第11号は、「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」を、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すとしています。
本条の対象となる行為は、
①通行区分違反:右折や左折などをする場合に、方向別に区分された車線を通らない。
②急ブレーキ禁止違反:不必要に車を急停止させたり、急激な減速をするような急ブレーキをかける。
③車間距離保持違反:前の車との距離を極端に詰める。
④進路変更禁止違反:みだりにその進路を変更する。
⑤追い越し方法違反:追い越し車線ではない通行帯で追い越す。
⑥車両等の灯火違反:ハイビームでの威嚇。
⑦警音器等使用違反:むやみやたらにクラクションを鳴らす。
⑧安全運転義務違反:幅寄せや蛇行運転。。
⑨最低速度違反:高速道路での最低速度より遅い速度での進行。
⑩停車・駐車禁止違反:高速道路での駐停車。

また、道路交通法第117条の2の2第11号の罪を犯し、よって高速道路において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。(道路交通法第117条第6号)

このように、あおり運転自体を行った場合には、新たに創設された妨害運転罪に該当する可能性があります。

上記事例では、男性は、Vさんに煽られたと勘違いしたということですが、勘違いしていたからといって怒りに任せて高速道路上で急ブレーキを踏んで停車していいことにはなりません。
一車線の高速道路での停車は、後続車による衝突事故を発生させかねない非常に危険な行為です。

あおり運転をし刑事事件に発展した場合、事件を穏便に解決するためのひとつの手段として、被害者との示談があげられます。
示談交渉は、一般的に、弁護士を介して行います。

示談交渉を行うためには、まず、相手方の連絡先を入手する必要がありますが、加害者と被害者という関係上、被害者と接触することによって供述を変えるよう迫ったり、被害届の取下げを要求したりするおそれがあると判断され、加害者に直接被害者の連絡先を教えないことも多く、相手方の連絡先すら入手することが不可能なことがあります。
また、相手方が加害者との直接の接触を嫌がることも少なくありません。
その点、弁護士限りであれば、捜査機関や被害者自身が連絡先を教えてもよいとすることも多いため、弁護士を介して行うことにメリットがあると言えるでしょう。

仮に、被疑者が被害者の連絡先を知っていたとしても、被疑者自身やその家族などの関係者が直接被害者にコンタクトをとることはお勧めできません。
なぜなら、当事者間での交渉は、感情論的になりやすく、やったやってないの水掛け論となり交渉が難航することが多いからです。
弁護士を間に挟むことによって、冷静な交渉を行い、両者が納得できる内容の示談を成立させることにつながります。

また、被害者の連絡先が分かっていたとしても、被害者との話し合いを自ら行うことに躊躇される被疑者の方も少なくありません。
この点でも、弁護士を代理人として示談交渉を進めることのメリットと言えるでしょう。

あおり運転を起こし、対応にお困りでいらっしゃる方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
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