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淫行条例違反~年齢の認識~

2021-05-27

淫行条例違反事件における年齢認識について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県垂井警察署は、高校1年生(15歳)の女子生徒と性交したとして、岐阜県青少年健全育成条例違反の疑いで、会社員のAさん(25歳)を逮捕しました。
Aさんと女子生徒は出会い系アプリを通じて知り合いました。
Aさんは、「相手が18歳未満だとは知らなかった。」と年齢認識について否認しています。
(フィクションです。)

淫行条例違反とは

各都道府県では、18歳未満の者とのみだらな性交や性交類似行為を行うことを禁止する内容の条例が制定されています。
岐阜県においても、「岐阜県青少年健全育成条例」の第23条で、青少年(18歳未満の者)に対して、みだらな性行為・わいせつな行為をすることを禁止しており、それに違反した場合の罰則は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。
青少年とのみだらな性交等を禁止した条項を、淫行条例と呼びます。

ここで禁止されているのは、18歳未満の者に対する性行為一般ではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交等や、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交等です。
そのため、交際中の場合、少なくとも知り合って相当期間は性交等がない状況が続いた上、性交等に至った場合は、交友関係等の検討の上、みだらな性行為・わいせつな行為には当たらないと判断されることがあります。
逆に言えば、出会い系サイトやSNSで知り合い、初めて会ったその日に性交等をしたということであれば、みだらな性交等にあたり、淫行条例違反となる可能性があります。

年齢の認識

淫行条例違反は、故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ犯罪は成立しません。
淫行条例違反における故意は、青少年(18歳未満の者)とみだらな性行為又はわいせつな行為をすることの認識・認容です。

淫行条例違反事件において、よく主張されるのが、「18歳未満だとは知らなかった。」という相手方の年齢認識がないことの弁解です。
さきほども申し上げましたが、淫行条例違反は故意犯ですので、相手方を18歳未満の者だと知らなかった場合には、故意はなく犯罪は成立しません。
故意には、「この人は18歳未満に違いない。」という確信的故意に限るものではなく、「もしかしたら、この人は18歳未満かもしれない。だけど、まあいいか。」といった意思、これを「未必の故意」と言いますが、この場合も故意が認められることになります。
ですので、相手がはっきりと年齢を言わなかった場合でも、実際に会ったときの相手方の容姿や話し方、話の内容(どこどこの中学校・高校に通っている、といったような話をした場合)などから、18歳未満であること、もしくは18歳未満であるかもしれないと思っていたのであれば、故意が認められる可能性があるのです。

淫行条例違反で故意を否認するのであれば、一般人をして相手方が18歳以上だと信じるであろう事情があったこと、例えば、相手から提示された身分証明書の生年月日が偽造されていたため18歳以上だと信じていた場合など、について客観的な証拠に基づいて主張していく必要があるでしょう。

容疑を認める場合には、被害者、実際の交渉相手は被害者の保護者となりますが、示談交渉を行い、示談を成立させることが事件解決のキーとなります。
一方、容疑を争う場合には、自己に不利な供述がとられないよう取調べに対応し、自己に有利な主張を支える証拠を収集する必要があるでしょう。
そのため、淫行条例違反事件で被疑者として捜査対象となった場合には、弁護士に相談し、きちんと対応することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
淫行条例違反事件で対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

勾留阻止で釈放

2021-05-24

勾留阻止釈放を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県関市の会社に勤めるAさんは、会社の女子トイレにカメラを設置し、盗撮しようとしました。
カメラに気付いた女性が上司に報告し、会社は岐阜県関警察署に通報しました。
その後、カメラにAさんがカメラを設置している様子が録画されていたことが分かり、関警察署はAさんを迷惑防止条例違反の疑いで逮捕しました。
Aさんは、その後岐阜地方検察庁に送られ、検察官からの取調べを受けることになりました。
検察官の取調べ前に、Aさんの家族から依頼を受けて駆け付けた弁護士と接見をすることになり、Aさんは弁護士に今後の流れや釈放の可能性について聞いています。
(フィクションです。)

逮捕後の流れ

あなたは、ある罪を犯したと疑われ、警察に逮捕されました。
警察官は、あなたを警察署に連行し、事件についての取調べを行います。
強制的に被疑者の身柄を確保した場合、捜査手続には時間制限が設けられていますので、その限られた時間の範囲内で警察や検察は捜査を行います。
警察は、あなたを逮捕した時から48時間以内に、あなたを釈放するか、そうでなければ、関係書類や証拠物と一緒にあなたの身柄を検察官に送ります。
釈放された場合、あなたは普段の生活を送りながら、取調べのために何度か警察署に出頭することになります。
一方、検察官に送致された場合、あなたの身柄は検察庁に送られ、検察官からの取調べを受けます。
そして、検察官は、警察から送られてきた関係書類や証拠物、あなたの取調べでの供述を検討し、あなたの身柄を確保したまま捜査をすすめるべきか、それとも釈放すべきかを検討します。
この判断は、検察官があなたの身柄を受けてから24時間以内にされます。
検察官が、あなたの身柄を確保したまま捜査すべきと判断すれば、検察官は裁判官に対してあなたを勾留するよう請求します。
検察官からの請求を受けた裁判官は、あなたと面会した上で、あなたを勾留するかどうかを判断します。
裁判官が、あなたを勾留しないと判断すれば、あなたは即日釈放されます。
他方、勾留の決定がなされれば、あなたは、検察官が勾留の請求をした日から原則10日間警察署の留置場などに収容されることになります。

勾留期間は原則10日ですが、検察官が勾留の延長を請求し、裁判官がこれを認めれば、逮捕から最大23日もの間、あなたの身柄が拘束されることになります。

そうなれば、あなたは勾留期間中会社や学校に行くことができませんので、事件が明るみになり、懲戒解雇や退学といった処分が下されてしまうおそれも出てきます。

そのような事態を避けるためにも、逮捕後すぐに弁護士に相談・依頼し、勾留阻止に向けた活動を行い、釈放を目指すことが重要です。

勾留阻止に向けて

勾留の要件としては、①被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること、②住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかがあること、③被疑者を勾留する必要性、相当性があること、④先行する逮捕手続が適法であること、があげられます。

勾留阻止に向けた活動では、勾留の要件が欠けることを具体的に主張する必要があります。

例えば、②の要件を充たさないことを主張する場合、特に、罪証隠滅のおそれ、そして逃亡のおそれの有無についてが問題となることが多いのですが、罪証隠滅のおそれについては、罪証隠滅の対象となる被害者や目撃者の連絡先を知らない場合や、被害者と既に示談が成立している場合には、被疑者が被害者らに近づき被害届の取下げを迫ったり供述を変えるよう脅したりする可能性がないことを述べ、罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由が認められないことを主張します。
また、逃亡のおそれについては、被疑者が定職に就いていたり、扶養する家族がいる場合や、会社の重要な役職を任されていたり、被疑者が学生である場合には授業に出席しなければ卒業に必要な単位がとれないなどといった、被疑者がその立場を捨ててまで逃亡する可能性がないことを示すことにより、逃亡すると疑うに足りる相当な理由が認められないことを主張します。

加えて、勾留の必要性・相当性に欠ける点を主張することも勾留阻止においては重要です。
事案の軽重・種類・態様等の事件の性質や、被疑者の年齢・境遇・心身の状況、家族関係経済状況といった被疑者の個人的事情から、被疑者を勾留する必要がなく、勾留することが相当でない、つまり、勾留によって被疑者が被る不利益が大きいことを具体的事情を述べて主張する必要があります。

勾留阻止に向けた活動は、具体的には3つの段階に分けられます。
まずは、検察官に送致された段階です。
事件が検察官に送致された場合には、検察官との面談や意見書の提出の方法により、勾留の要件に欠けることを主張し、検察官に勾留の請求をしないよう働きかけます。
次の段階は、検察官が裁判官に対して勾留請求をした段階です。
裁判官が勾留の判断をする前に、裁判官と面談する、あるいは意見書を提出することによって、勾留の要件を充たしていない旨を主張し、勾留の決定をしないよう働きかけます。
最後は、勾留が決定された段階です。
それまでの勾留阻止に向けた働きかけは、正式な手続に沿ったものではなく、あくまでも勾留しないようにとのお願いという形でしたが、勾留が決定した後には、その決定に対する不服申立という手続をとることができます。
この手続により、勾留を決定した裁判官とは別の3人の裁判官によって、最初の決定に間違いがないかが判断されます。
不服申立が認められれば、勾留を決定した裁判は取り消され、検察官の勾留請求は却下されるため、被疑者は釈放されることになります。

逮捕から勾留が決まるまでの時間はそう長くはありません。
早期の釈放を目指すのであれば、逮捕後すぐに勾留阻止に向けた活動に着手する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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財布の置き引きで逮捕

2021-05-20

財布置き引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県揖斐郡池田町のスーパーマーケットのセルフレジに置き忘れられた財布を持ち去ったとして、岐阜県揖斐警察署は、市内に住むAさんを窃盗の疑いで逮捕しました。
財布の持ち主が店を出た直後に財布がないことに気が付き、利用したセルフレジに戻ったところ既に財布はなく、店員に問い合わせましたが落とし物の届は出ていませんでした。
財布の持ち主は岐阜県揖斐警察署に被害届を出したことで事件の捜査が開始されました。
(フィクションです。)

財布の置き引きは何罪?

誰かが置き忘れたであろう財布を見つけて、それを自分のものにしようと持ち去った場合、窃盗罪、もしくは、占有離脱物横領罪が成立する可能性があります。

■窃盗罪■

窃盗罪は、他人の財物を窃取する罪です。

「他人の財物」とは、「他人が占有する財物」のことです。
ここでポイントとなるのが「占有」という概念です。
窃盗における「占有」は、人が物を実力的に支配する関係を意味し、「他人が占有する」とは、自分以外の者が事実上支配している状態のことをいいます。
事実上支配している状態には、物を客観的に支配している場合はもちろんのこと、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含まれます。
事実上支配しているかどうかについての判断は、支配の事実と占有の意思があるかどうかの点から行われます。

「窃取」とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことをいいます。

窃盗罪の成立には、以上の客観的要件に加えて、主観的要件を満たしている必要があります。
この主観的要件は、故意、そして、不法領得の意思です。
故意は、罪を犯す意思のことで、窃盗罪の場合は、他人の占有する財物を摂取することの認識・認容です。
そして、故意とは別に、不法領得の意思がなければ窃盗罪は成立しません。
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思のことです。
例えば、嫌がらせ目的で財布を盗んだだけであれば、窃盗罪には当たりません。

■占有離脱物横領罪■

占有離脱物横領罪は、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する罪です。
「横領」とは、不法領得の意思をもって、占有を離れた他人のものを自己の事実上の支配内におくことをいいます。
「他人の占有を離れた」とあることからも分かるように、窃盗罪と区別するポイントは、他人の財物を入手した時点で、その財物に他人の占有が認められるか否か、となります。

先にも述べたように、他人の「占有」は、持ち主がその物を持っている状態だけでなく、持ち主が物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含みます。
そして、持ち主が、物を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態かどうかは、持ち主の物に対する支配の事実や占有の意思の観点から判断されます。
具体的には、持ち主が物を置き忘れてから気付くまでの時間的・場所的近接性や、持ち主が物を置き忘れた場所をどの程度認識していたかなどが検討されます。

上の事例では、持ち主が店を出てすぐに財布を置き忘れたことに気が付いており、セルフレジに向かったことから、持ち主は、気が付いた時に置き忘れた場所にすぐに戻って取り戻せることができる時間的・場所的関係にあり、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態にあったと言えるでしょう。

いずれの罪が成立するにせよ、財産犯の場合、被害者への被害弁償と示談の有無が最終的な処分結果に大きく影響することになります。
そのため、できる限り早期に被害者への謝罪と被害弁償を行い、示談成立に向けて動く必要があります。
被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
他人の財布置き引きして逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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薬物事件で即決裁判手続

2021-05-17

即決裁判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県海津警察署は、岐阜県海津市に住むAさん(自営業)を覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕しました。
後日、Aさんの妻のもとに、Aさんが勾留されたとの連絡がきました。
Aさんが不在では店を回すことが難しく、Aさんの妻は一日でも早く戻ってきてほしいと思っています。
Aさんの妻は、急いで対応してくれる弁護士を探し出しました。
(フィクションです。)

薬物事件~公判請求が不可避な場合~

薬物事犯には、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反などがありますが、違反に対する刑罰はきわめて厳しくなっています。
例えば、覚せい剤の単純所持の法定刑は、10年以下の懲役となっており、大麻の単純所持については、5年以下の懲役であり、罰金刑はありません。

薬物事件で逮捕されたからといって、必ずしも起訴されるとは限りません。
有罪を証明するだけの十分な証拠がない場合や、有罪の立証には十分な証拠はあるけれども、所持していた薬物の量が微量で本人の再犯可能性が低いと思われるような場合には、不起訴で処理されることもあります。
しかしながら、薬物事犯は、他の犯罪と比べると起訴されることが多く、重大犯罪につながりやすい覚せい剤事犯や薬物の再犯であれば起訴される可能性は非常に高くなります。

上の事例では、Aさんは覚せい剤の使用で逮捕・勾留されています。
初犯であり、個人での使用とはいえ、Aさんが起訴される可能性は高いでしょう。
しかしながら、初犯かつ単純な使用の覚せい剤事犯であれば、起訴されたとしても、執行猶予付きの判決が望めるところとなります。
そのような場合には、公判請求されたとしても、できる限り早期に判決を得て被告人を裁判手続から解放させるべく、即決裁判手続を行うよう活動することが弁護人に求められることがあります。

即決裁判手続とは

即決裁判手続とは、事案が明白かつ軽微で、罰金または執行猶予判決が見込まれる争いのない事件について、被疑者・弁護人の同意の下、簡易で迅速な訴訟手続を行う制度のことです。

■即決裁判手続の要件■

①事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれるなど、即決裁判手続で審理するのが相当と認められる事件であること。

②死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮に当たる罪ではないこと。

③被疑者の書面による同意があること。

④被疑者に弁護人があるときは、弁護人の書面による同意があるか、少なくとも意見を留保していること。

これらの要件を満たす場合に、検察官は即決裁判手続の申立てを行います。

即決裁判手続は、起訴からできる限り早い時期に公判期日が指定されます。
そして、原則として1回の審理で即日執行猶予判決が言い渡されます。
即決裁判手続は、被告人にとって、起訴後速やかに公判期日が開かれ、執行猶予付き判決となるというメリットがあります。
そのため、争いがなく執行猶予が見込まれる事件では、身体拘束を早期に解くためにも、捜査段階で検察官に即決裁判手続の申立てをするよう働きかけることを検討することがあります。

即決裁判手続となるよう働きかけるべきか否かは、事案にもよりますので、薬物事件で逮捕・勾留されてお困りの方は、一度薬物事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が薬物事件で逮捕・勾留されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

略式手続で公判回避

2021-05-13

略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、児童買春、青少年健全育成条例違反の容疑で岐阜県恵那警察署に逮捕されました。
他にも同種の余罪があることから、警察から正式な裁判を受ける可能性について指摘されたAさんは、なんとか公判回避することはできないかと、接見に訪れた弁護士に相談しました。
相談を受けた弁護士は、Aさんに略式手続について説明しています。
(フィクションです。)

略式手続について

原則、すべての事件が検察官に送られ、検察官は送られてきた事件を処理します。
検察官により処理には、最終的な処理である終局処分と、中間処分とがあります。
終局処分には、起訴処分、不起訴処分、少年の場合には家庭裁判所送致があります。

起訴(公訴の提起)には、①公判請求、②即決裁判手続の申立て、③略式命令の請求とがあります。
起訴の大部分を③略式命令請求が占めています。

検察官が略式命令の請求をすると、簡易裁判所は、公判手続を経ることなく検察官が提出した証拠のみに基づいて、100万円以下の罰金または科料を科す裁判(これを「略式命令」といいます。)を言い渡します。
この手続を「略式手続」と呼びます。
略式手続は、公判を開かずに、非公開の簡易な手続で迅速に処理される点が特徴です。

◇略式手続の要件◇

略式手続に付する要件は、次の3つです。

①簡易裁判所の管轄に属する事件であること。

②100万円以下の罰金または科料を科し得る事件であること。

③検察官による説明、正式な裁判を受ける権利の告知、略式手続に異議がない旨の書面による確認が済んでいること。
検察官は、あらかじめ被疑者に対して略式手続について理解をするのに必要な事項を説明し、通常の審判を受けることができると告げた上で、略式手続によることに異議がないかどうかを確認し、異議がないことを書面で明らかにしなければなりません。

略式命令を受けた者または検察官は、略式命令の告知を受けた日から14日以内に、正式裁判を請求することができます。

◇略式手続のメリット◇

①早期の事件の終結

略式命令は、検察官が略式命令を申し立てた当日のうちに、公判を開くことなく罰金または科料の略式命令がなされます。
一方、公判請求された場合には、公開の裁判を通常少なくとも2回開くことになり、起訴から判決言い渡しまで約2~3か月かかります。
略式手続は、公判請求された場合と比べると、事件の終結までにかかる時間が格段に短縮され
ますので、被疑者にかかる負担も少なくて済むというメリットがあります。

②身体拘束からの解放

また、逮捕・勾留されている場合には、略式手続に付されることで、略式命令謄本の送達と同時に釈放されることになります。
そのため、起訴後勾留で引き続き身体拘束を強いられることがなくなり、早期に身体拘束から解放されることになります。

このように、被疑者にとっては早期の事件の終結や身体拘束からの解放というメリットがありますので、事実関係に争いがない事件であり、法定刑に罰金・科料がある罪で、起訴猶予が見込めない場合には、弁護士は、略式命令手続とするよう検察官と交渉するとことを検討することがあります。

もちろん、略式命令であっても、有罪判決であることには変わりはないので、前科が付くというデメリットはあります。
しかし、起訴後の身体拘束や、被告人が公開の法廷で審理されることのリスクを回避することができるため、例えば、被害感情が強く、被害者との示談成立ができない場合、前回起訴猶予で処理されている場合などは、略式手続を目指す弁護活動が有効な手段と言えることがあります。

略式手続には、メリット・デメリットがありますので、最終的な決断の前に、弁護士に相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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職務質問・所持品検査の適法性を争う

2021-05-10

職務質問所持品検査適法性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県岐阜市の繁華街で警ら中の岐阜県岐阜南警察署の警察官に職務質問を受けたAさん。
警察官は、Aさんに所持品検査に応じるよう求めましたが、Aさんは一貫して拒否しました。
すると、警察官数人はAさんを取り囲み所持品検査に応じるよう説得を続けました。
後に応援で駆け付けた警察官も加わり、5~6人の警察官に取り囲まれる形で約4時間の拘束を受け、警察官はAさんの隙をつく形でAさんの持っていたカバンの中を調べはじめました。
その結果、Aさんの持っていたカバンから乾燥大麻が見つかり、Aさんは大麻取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんは、警察による職務質問所持品検査は違法ではないかと接見に来た弁護士に相談しています。
(フィクションです)

公訴の提起・追行・維持のために被疑者の身柄を確保し、証拠を収集する捜査機関による活動を「捜査」といいます。
この捜査は、任意捜査と強制捜査とに分けられます。
前者は、任意処分による捜査のことで、参考人取調べ、鑑定嘱託、実況見分等が挙げられます。
一方、強制捜査とは、強制処分による捜査のことをいいます。
例えば、逮捕、捜索・差押え、検証等があります。

捜査の端緒(きっかけ)は、「犯罪があると思慮する」に至った場合であり、捜査機関自らが犯罪を感知する場合と、捜査機関以外の者が犯罪を感知して捜査機関に申告する場合とがあります。
前者には、職務質問や検視等、後者には、告訴、告発、請求、被害届、自首等があります。

職務質問

捜査の端緒ともなる「職務質問」ですが、「何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」等を、「停止させて質問すること」をいいます。
この職務質問は、あくまでも捜査の端緒として、犯罪が認知される前に行われる行政警察活動です。
行政警察活動というのは、警察活動のうち個人の権利や自由の保護を含む公共の安全及び秩序の維持回復を内容とする活動のことです。
行政警察活動に対するものとして、司法警察活動があり、これは司法権の作用に基づいて、犯罪事実を捜査し、犯人を逮捕し、証拠を収集することを目的とするものです。
司法警察活動は、犯罪の訴追や処罰に向けた活動が中心となるところ、行政警察活動は犯罪の予防と鎮圧が主となります。
行政警察活動においても、犯罪予防や秩序維持の目的のため有形力の行使は認められます。
けれども、行政警察活動においても、将来捜査に発展する可能性があり、市民の側が受ける不利益は、司法警察活動の場合とそう変わりないことから、適正手続の保障は求められ、有形力の行使は、必要性、緊急性、相当性の要件を満たす限度でのみ認められます。

適法とされた行為では、
職務質問中に逃亡した者を130メートル追いかけ、背後から腕に手をかけて停止させた行為。(最決昭29・7・15)
・酒気帯び運転の疑いがある者の逃走を防止するために、窓から手を入れてエンジンキーを回してスイッチを切った行為。(最決昭53・9・22)
・ホテルの宿泊客に対する職務質問を継続するために、ドアを押し開け、ドアが閉められるのを防止した行為。(最決平15・5・26)

他方、違法とされた行為では、
職務質問に続いて、現場に6時間以上留め置いた行為。(最決平6・9・16)

職務質問における実行力の行使の限界については、職務質問の必要性の高さ、対象者の対応、対象者の状況、実力行使の態様・程度、自由制限の程度などについて、個々の事案に即して、総合的に判断して、決められることになります。

職務質問に付随する所持品検査

職務質問に伴って行われる所持品検査は、職務質問の効果を上げる上で必要かつ有効である行為です。
しかし、その方法によっては、対象者の権利を害する行為となるおそれもあります。
職務質問に付随する所持品検査に関する直接の規定はありません。
所持品検査でも、所持品の外部を観察して質問する行為や、承諾を得て中身を検査する行為には問題はありません。
しかしながら、承諾なく中身を検査する行為についてはどう判断されるのでしょうか。

判例は、所持品検査職務質問に付随する行為として、強制によらず、検査の必要性、緊急性、相当性が認められる限度で許されるとしています。(最判昭53・6・20)
所持品検査は、任意手段である職務質問に付随する行為として許容されるため、原則として、所持人の承諾を得た上で、その限度において行われなければなりません。
しかしながら、所持人の承諾のない限り所持品検査を一切許可しないとするのではなく、捜索に至らない程度の行為については、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合があります。

職務質問やそれに付随する所持品検査適法性を判断する一律の基準はありませんが、個々の事案に照らし合わせて、総合的に判断されることになります。

職務質問所持品検査適法性について争いたいとお考えであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
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児童買春事件で取調べ

2021-05-06

児童買春事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、岐阜県中津川警察署から、児童買春事件の件で話を聞きたいから出頭するようにとの連絡を受けました。
Aさんは、半年ほど前、ネットで知り合った女の子に1万円を渡して性交しましたが、18歳未満であるとは思っていなかったので、取調べに対してどう対応すればよいのか、今後の流れがどのようになるのか心配になってきました。
警察への出頭前に、弁護士に相談するのがよいのではないかと思ったAさんは、すぐにネットで刑事事件専門弁護士を検索することにしました。
(フィクションです。)

児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春・児童ポルノ処罰法」といいます。)で以下のように規定されます。

次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

◇行為◇
児童買春は、「児童」に対し、「性交等」を行うものと定義されます。
ここでいう「児童」というのは、18歳に満たない者であり、性別は問いません。
「性交等」とは、
・性交
・性交類似行為(手淫、口淫などであり、キスや抱擁は該当しません。)
・自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触る若しくは児童に自己の性器等を触らせる
行為が含まれます。

◇対償の供与等◇
児童に対する性交等は、児童に対し、児童に対する性交等の周旋をした者に対し、あるいは児童の保護者や児童を支配下に置いている者に対して、「対償の供与」または「対償の供与の約束」をした上で行われなければなりません。
「対償」の供与・供与の約束とは、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益を供与する、又はその約束をすることです。
対償には、現金を渡すほかにも、食事をご馳走すること、プレゼントを渡すこと、親の雇用を約束することなども含まれるとされます。
児童が合意して性交等が行われた後に、児童側から対償を請求してきた場合は、児童買春には当たりません。
ただ、対償の供与等がなく児童と性交等を行った場合、児童買春罪は成立しませんが、青少年健全育成条例に違反する可能性はあります。

◇故意◇
犯罪が成立するためには、客観的に犯罪の事実が存在すること、そして被疑者・被告人がその客観的犯罪事実を認識していることが必要となります。
児童買春罪の場合、故意が問題となるのは、相手方を18歳未満の者であるとの認識がなかったかどうか、という点です。
児童買春罪に問われる際に、よく被疑者・被告人が「相手を18以上だと思っていた。」と主張しますが、その主張が認められた場合には児童買春の故意はないため犯罪が成立しないことになります。
しかしながら、故意には、「18歳未満かもしれない…、だけどまあいいや。」という認識も含まれるため、そのような認識があったと判断された場合には、故意が認められます。
相手から偽造した身分証明書を提示されたようなケースであれば、被疑者・被告人が相手を18歳以上の者だと信じた相当な理由があったとして故意がなかったことが認められるでしょう。
しかし、相手の容姿や話し方、会話の内容から一般的に18歳未満であることが疑われるような場合には、故意を否認する主張が認められることは難しいことがあります。

故意を争う場合には、取調べで故意を認めるような供述や調書がとられることのないよう、慎重に対応する必要があるでしょう。
そのため、早期に弁護士に相談し、取調べ対応についての助言をもらうことが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件を起こし対応にお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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少年事件で不処分

2021-05-03

少年事件不処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
岐阜県揖斐郡大野町に住む高校生のAさんは、生活態度について父親から説教をされたことに腹を立て、口論の末、台所に置いてあった包丁を持ち出して、「ふざけんな。殺すぞ。」と叫び、包丁を父親に向けました。
それを見た母親は、怖くなり、喧嘩を止めるために110番しました。
通報を受けて自宅に駆け付けた岐阜県揖斐警察署の警察官は、Aさんを警察署に連れていきました。
Aさんの両親は、事態が大ごとになり、今後Aさんに対してどんな処分が下されるのか心配になってきました。
(フィクションです。)

少年事件の処分

家庭裁判所は、事件を受理すると、調査官に調査を命じ、審判を開始する、或いは開始しない旨の決定をします。
少年が非行事実を行った蓋然性があり、調査官による教育的措置を経た上でなお少年に要保護性が認められる場合に、審判開始決定がなされ、審判手続が開始されます。

審判が開始された場合、裁判官は以下のような処分を決定します。

【終局決定】
少年の最終的な処分を決する決定には、次の4種類があります。
不処分
②保護処分(保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致、少年院送致)
③都道府県知事または児童相談所長送致
④検察官送致

【中間決定】
終局決定の前の中間的な措置としてなされる決定で、試験観察と呼ばれます。

以上の処分は、審判が開かれ、審判期日に言い渡されるものです。

不処分とは

審判期日に言い渡される決定のひとつである「不処分」について説明します。

家庭裁判所は、審判の結果に基づいて、保護処分に付することができないとき、及び、保護処分に付する必要がないと認められるときに、少年を保護処分に付さない旨の決定を行います。
この決定を不処分決定と言います。
不処分決定には、①家庭裁判所が保護処分に付することができないと認めた場合になされるもの、と、②家庭裁判所が保護処分に付する必要がないと認めたもの、との2種類があります。
以下、順に説明します。

①保護処分に付することができない場合の不処分

これは、法律上または事実上、保護処分に付することができない場合にされる不処分決定です。
例えば、非行事実の存在が認められない場合、少年に心神喪失・死亡・所在不明・疾病・海外居住といった事情が生じた場合、審判条件を欠く場合に、この決定がなされます。

②保護処分に付する必要がない場合の不処分

事件について、要保護性が存在しない、あるいは小さくなっているため、保護処分に付する必要がなく、児童福祉法上の措置や刑事処分の必要もない場合になされる不処分決定です。
例えば、調査や審判の過程で、関係者による働きかけが行われたことにより、要保護性が解消し、再非行のおそれがなくなった場合が挙げられます。
また、別件で保護処分に付されており、本件で特に処分をする必要が認められない場合にも不処分とされることがあります。

前者の場合における、関係者による働きかけには、裁判所の調査官や裁判官による働きかけや、審判手続を経ること自体や、観護措置による少年鑑別所での処遇も含まれます。
そして、付添人である弁護士による少年に対する働きかけ、特に環境調整活動は要保護性解消において最も重要なものと言えるでしょう。
弁護士は、少年本人やその保護者、学校の先生や職場の上司などといった少年の関係者と連携し、少年の更生に適した環境を整えるよう尽力します。

家庭は少年にとって一番身近な環境です。
家庭の問題が背景にない少年事件はそう多くはありません。
一見仲良く問題なく見える家庭であっても、一当事者が気付いていない小さな溝ができてしまっていることもありますし、明らかに少年と家族との間に深い亀裂が生じていることもあります。
事案によって家庭の問題は異なりますが、弁護士は少年と家族との間に入り、少年と家族とのコミュニケーションを活発にし、家庭にしっかりとした少年の居場所を作る、事件の原因や少年が抱える問題を家族で一緒に考え解決策を模索する手助けをする、などといった活動を行います。
上の事例でも、Aさんと父親との喧嘩から事件に発展しており、少なくともAさんと家族との問題が事件の背景にあるものと考えられますので、弁護士は、Aさんの家庭環境の改善に力を入れることになります。

要保護性解消に向けた環境調整活動は、付添人である弁護士が行う最も重要な活動のひとつです。
このような活動は、少年事件に精通する弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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18歳未満の者との性交で逮捕

2021-04-29

18歳未満の者との性交逮捕される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
SNSで知り合ったVさん(16歳)とみだりに性交したとして、岐阜県加茂警察署は会社員のAさんを逮捕しました。
Vさんの母親がVさんのスマートフォンをチェックした際にAさんとのやり取りを見つけVさんに問いただしたところ、VさんがAさんとの関係を告白したため、Aさんの母親が岐阜県加茂警察署に相談したことで今回の事件が発覚しました。
Vさんの両親はAさんに対して怒っているようで、相談後に警察に被害届を出しました。
(フィクションです。)

18歳未満の者と性交(性交類似行為を含む)した場合、例え相手の同意を得ていたとしても、次のような罪が成立する可能性があります。

1.条例違反

各都道府県では、おおむね18歳未満の者とのみだりに性交や性交類似行為を行うことを禁止する内容の条例が制定されています。
岐阜県は、「青少年健全育成条例」が制定されており、その23条は、「青少年に対して、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」と規定しています。
「青少年」とは、18歳未満の者をいいます。
ここでいう「みだらな」性交・性交類似行為とは、18歳未満の者を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未熟に乗じた不正な手段により行うものであり、単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしかいえないようなものをいいます。
どのような場合に、この「みだらな」性交・性交類似行為に当たると言えるのかは、性交・性交類似行為に至るまでの経緯や期間、当事者の関係性などを検討した上で判断されます。
18歳未満の者との性交・性交類似行為すべてが禁止されているわけではなく、結婚を前提にした真剣交際であった場合には、「みだらな」性交・性交類似行為には当たりません。
しかし、知り合ってからすぐに性交・性交類似行為に及んでいるといった場合には、真剣交際にあったと認められるのは難しいでしょう。

2.児童買春法違反

18歳未満の者との性交・性交類似行為が、金銭の対価として行われた場合などは、「児童買春」に当たる可能性があります。
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春法」といいます。)は、児童買春を禁止しており、違反者には罰則を科すことを定めています。
ここでいう「児童買春」というのは、①児童、②児童に対する性交伊東の周旋をした者、③児童の保護者又は児童をその支配下に置いている者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることをいいます。
18歳未満の者と性交・性交類似行為をする点では、先の条例違反と同じですが、児童買春の場合には、対償の供与等が必要です。
対償には、金銭だけではなく、性交・性交類似行為の対価として自宅に宿泊させる約束をする、就職を約束する、児童の欲しがる物を買い与えることも含まれます。

3.児童福祉法違反

また、18歳未満の者との関係性によっては、児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)に当たる可能性があります。
児童福祉法は、「児童に淫行をさせる行為」を禁止しています。
「淫行をさせる」とは、児童に働きかけて淫行をするように仕向ける行為をいい、直接・間接を問わず、児童に対して事実上の影響力を行使して、児童が淫行をなすことを助長し促進する行為も含まれます。
児童に第三者と性交等するように働きかけるのみならず、児童との関係性を利用して自身が当該児童と性交等を行う場合にも適用されるのです。

逮捕される場合とは

18歳未満性交をした場合、上の罪が成立する可能性があります。
捜査機関が事件を把握し犯罪があると考えるときに、事件について捜査が開始されます。
必要があれば、犯人と思われる者(「被疑者」といいます。)を逮捕する場合もあります。
上に挙げた犯罪においては、児童が警察に補導された際に発覚したり、児童の保護者が児童のスマートフォンを確認した際に知り警察に相談することによって捜査が開始されるケースが多くなっています。
児童や保護者から被害届が提出された場合、余罪が複数ある場合、同種の前科前歴がある場合などは、被疑者を逮捕する可能性は高くなるでしょう。
逮捕後に勾留となり、最大で逮捕から23日間の身体拘束を余儀なくされる場合もあるため、逮捕された場合には早期に弁護士に相談・依頼し、身柄解放に向けて動くことが重要です。

また、被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かで最終的な処分に大きく影響することになるのですが、被害者が未成年者である場合には、示談交渉の相手は児童の保護者となります。
児童の保護者が被疑者に対して厳しい感情を抱いていることも多いため、身柄が拘束されている場合には物理的に交渉することが不可能であることに加えて、示談交渉は第三者である弁護士を介して行うのがよいでしょう。

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強盗致傷で裁判員裁判

2021-04-26

強盗致傷裁判員裁判となるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aは、万引きの常習者でした。
ある日、Aは岐阜県本巣郡北方町の商店で瓶ビールと食品を万引きし、小走りでそこから立ち去ろうとしました。
しかし、店主VはAの万引きに気が付き、Aを追跡しAの肩を掴んだため、Aは捕まってはならないと思い、とっさに持っていた瓶ビールでVの腕を思いっきり殴打しました。
Vは腕を抑えてその場にしゃがみ込みましたが、Aは通行人に取り押さえられました。
その後、Aは強盗致傷岐阜地方検察庁で起訴されました。
弁護人から、強盗死傷の場合には裁判員裁判対象だと聞き、Aは、通常の裁判との違いについて質問しています。
(フィクションです。)

万引きが強盗致傷に?

万引きは、通常、窃盗罪に当たります。
しかし、万引きをした人が、「捕まるまい。」と思って警備員や店員に対して暴力を振るった場合には、「事後強盗罪」が成立する可能性があります。

事後強盗罪は、刑法第238条に次のように規定されています。

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

ここでいう「窃盗」とは、窃盗犯人のことです。
そして、窃盗犯人が、
(a)財物を得て、これを取り返されることを防ぐ目的:他人の占有を侵奪して事実上自己の占有下にある財物を被害者側に取り返されるのを防止しようとする意図、
(b)逮捕を免れる目的:窃盗未遂又は既遂の行為者が、被害者などから取り押さえられて身柄を拘束されるのを防止しようとする意図、
(c)罪跡を隠滅する目的:窃盗犯人が後日窃盗犯人として捜査官に検挙され処罰されることとなると認められる罪跡を無にしようとする意図、
いずれかの目的を持って、
暴行又は脅迫をした場合に、事後強盗罪の構成要件に該当することとなります。
ここでの「暴行・脅迫」は、相手方に対する有形力の不法な行使、害悪の告知のことであり、その程度は、相手方の反抗を抑圧するに足りるものでなければなりません。

Aは、万引きを行った上、店主に捕まえられまいと思い、盗んだビール瓶で店主の腕を殴打するといった暴行を加えていますので、事後強盗罪の構成要件に該当するものと考えられます。
その上、Vに怪我を負わせてしまった場合には、強盗致傷罪となります。

強盗致傷罪の構成要件は、強盗が人を負傷させたことです。
「強盗」とは、強盗犯人のことで、「強盗」と論じられる昏酔強盗、事後強盗の犯人もこれに含まれます。
強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の懲役です。

裁判員裁判について

裁判員裁判は、選挙権をもつ国民の中から抽選で選ばれた裁判員6人が、裁判官3人とともに死刑を含む一定の重罪事件を審理し、事実認定と量刑判断を行う制度です。
裁判員裁判の対象となる事件は、死刑又は無期懲役・禁錮刑を含む重罪事件の他、法定合議事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件です。

裁判員裁判では、通常の刑事裁判とは異なり、公判期日前に公判前整理手続が行われます。
これは、公判が始まる前に、裁判官、検察官、弁護人の3者で事件の争点及び証拠を整理する手続です。
この手続では、検察官に対して証拠開示請求を行い、被告人に有利な証拠を収集・整理した上で、適切な主張と立証の綿密な準備を行う必要があります。

また、裁判員は一般市民から選ばれた人たちですので、彼らがこちらの主張をしっかりと理解してくれるように分かりやすい言葉で証拠や事実を説明し、通常の刑事裁判よりもより丁寧に検察官への反論を行っていかなければなりません。

このような活動は、刑事裁判に豊富な知識や経験、高度な弁護技術が求められます。

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