ストーカー事件と逮捕される場合

(ストーカー事件と逮捕される場合)

【事案の概要(*9月16日中日新聞掲載の記事を参考にしたフィクションです)】

下呂市在住のAさんは、知人のVさんに一方的に好意を寄せていました。
AさんはVさんが独身だと思っていましたが、あるときVさんに交際相手がいることがわかり、逆上、Vさんとその交際相手に嫌がらせをするようになりました。
具体的には、Vさんの勤務先の駐車場でVさんを待ち伏せする、Vさんの交際相手に対して「Vさんをナイフで脅してレイプします」などとメールを送るなどの迷惑行為を繰り返しました。
迷惑行為がエスカレートしたことから、Vさんは岐阜県警察下呂警察署に被害を相談し、刑事告訴することにしました。
その後、Aさんはストーカー規制法違反の疑いで下呂警察署の警察官に逮捕されてしまいました。

【ストーカー規制法とは】

ストーカー規制法(正式名称を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といいます)では、特定の者への恋愛感情やそれが満たされなかったことに対する怨みから、特定の者やその配偶者、家族や同居の親族、社会生活において密接な関係を有する者(交際相手など)に対して、同法2条1項各号が定める「つきまとい等」を繰り返して行うことを「ストーカー行為」として取り締まっています(同法2条4項)。
今回、Aさんは、自身のVさんへの恋愛感情が満たされなかったことへの腹いせとして、Vさんを待ち伏せたり、その交際相手にVさんに危害を加える旨のメールを送信したりすることを繰り返しています。
これらの行為は、ストーカー規制法2条1項1号と5号の「つきまとい等」に該当すると考えられます。

(ストーカー規制法)
第二条 
1 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
二~四(略)
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
2、3(略)
4 この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。

そして、ストーカー行為をした者に対しては、罰則として「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が定められています(同法18条)

【ストーカー行為で逮捕される場合とは】

ストーカー規制法違反で逮捕される場合として、大きく分けて2つのパターンがあります。

まず1つめは、段階的に逮捕に近付くパターンです。
被害者からストーカー被害の申告があり、警察が今後も繰り返される恐れがあると判断した場合、警察は、加害者へ「つきまとい行為を繰り返してはいけない」旨を記した警告書や書面を渡すなどの「警告」を行うことができます(ストーカー規制法4条)。
「警告」には、法的拘束力はありませんが、「警告」をしてもストーカー行為が継続した場合には、被害者の方の申し出や公正委員会の職権によって「禁止命令」が出されます(同法5条)。
この「禁止命令」はストーカー行為につながる行為自体を禁じる命令ができ、法的拘束力があるため、違反した場合に逮捕されるおそれがあります。
なお、「禁止命令」が出されていたのにもかかわらず、ストーカー行為を行った場合には、通常より罰則が重くなり「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」となります(同法19条)。

もう1つが、今回のケースのような、被害者による刑事告訴を受けたパターンです。
この場合には、警察が刑事事件として捜査し、容疑が固まり次第逮捕されることがあります。

【逮捕された場合】

刑事事件を起こして警察に逮捕された場合、逮捕から48時間以内に、そのまま釈放されるか、検察に送致されることになります。
さらに、検察に送致されると、検察官は、身柄を受けてから24時間以内に、釈放するか、もしくは勾留する必要があると判断して裁判官に対して勾留請求を行います。
そして、勾留請求が認められると、勾留請求がなされた日から10日間、延長が認められた場合はさらに10日間身柄を拘束されます。

逮捕から勾留までは国選弁護人を選任することができず、家族と面会することも認められないことが多いです。
しかし、逮捕直後の段階で私選弁護人をつけることができれば、裁判官に対し勾留しないように要請したり、勾留決定がなされた場合には、勾留に対する準抗告(不服を申し立てること)を行い、早期の身柄解放のための弁護活動を迅速に行うことができます。

ご家族の方が逮捕されて不安な方は、すぐに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

 

 

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