【事案の概要】
岐阜市在住のAさんは、交際相手のBさんから、「以前交際していたVさんから嫌がらせを受けている。彼に謝罪してほしいから一緒についてきてほしい。」と相談されました。
あまり乗り気ではなかったAさんでしたが、Bさんを一人で向かわせるわけにもいかないため、BさんとともにVさんの家へ向かい、自分は家の前で待機していました。
すると、Bさんの悲鳴が聞こえ、Vさんの家へ入ると、BさんがVさんと取っ組み合っていたため、Bさんに加勢し、Vさんに対して平手打ちや手拳で殴打するなどして怪我を負わせました。
その後、Vさんが岐阜県警察岐阜中警察署へ被害届を提出したため、AさんはBさんと共に逮捕されました。
(*守秘義務の関係から、一部異なる表記をしています。)
【具体的な弁護活動】
まず、弁護士が検察官に対し、Vさんと治療費等の支払いを含めた示談交渉を行いたいので、連絡先を教えてほしいと伝えたところ、Vさんから、「こちらとしても示談に応じたいと考えているので、弁護士であれば直接会っても問題ありません。」と検察官を通じて連絡がありました。
そこで、弁護士がVさんとの示談交渉を速やかに行いました。
示談交渉においては、AさんがVさんへ謝罪し、治療費などを支払うことを約束する一方で、VさんがこれまでBさんが公開を望んでいないプライベートな画像をインターネット上に公開するなどの嫌がらせを行っていたことから、これらの画像をすべて削除することをVさんにも約束させました。
最終的に、Vさんとの間では、被害届の取下げと宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結することができました。
そして、弁護士が検察官に対し、①宥恕条項付きの示談が成立しており、被害届も取り下げられたこと、②Aさんが主導したものではないこと、③今回の件は、Bさんに対するVさんによる嫌がらせに端を発したものであり、被害者にも一定の落ち度があること、④今後はAさんの両親が監督することなどを挙げ、不起訴処分が相当であると主張しました。
その結果、Aさんは不起訴処分となりました。
【まとめ】
今回のような、被害者の方に怪我を負わせてしまった事案において、少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合、被害者の方への治療費の支払いや示談締結をすることが重要になります。
示談交渉は、被害者の方に配慮して適切に行うことが大切ですが、今回のように、被害者の方に事件発生の原因が少なからずあるような(今回の事案であれば、VさんがBさんのプライベートな画像を流出させるなど嫌がらせ行為を行っていた)場合、これを踏まえた内容による示談締結も可能です。
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