偽造商品券使用して逮捕①

偽造商品券使用して商品等を購入した場合に成立する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

岐阜県美濃市のスーパーマーケットで、1枚5千円の偽の商品券4枚を渡し、タバコ4カートンを騙し取ったとして、岐阜県関警察署は、県内に住むAさんを偽造有価証券行使、詐欺の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、夫の逮捕に大変ショックを受けました。
そうこうしているうちに、Aさんが勾留されたとの連絡があり、このまま刑務所に入ることになるのではと不安になったAさんの妻は、ネットで刑事事件専門弁護士を探し、急いで連絡を入れました。
(フィクションです)

Aさんは、偽造した商品券を使ってスーパーマーケットでタバコを購入しました。
この場合、Aさんに対して、偽造有価証券行使罪および詐欺罪が成立する可能性があります。

(1)偽造有価証券行使罪

偽造有価証券行使罪は、刑法163条に次のように規定されています。

163条 偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。

◇客体◇

偽造有価証券行使罪の客体は、「偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券」です。

「有価証券」というのは、財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につき、その証券の占有を必要とするもののことです。
その証券が取引上流通性を有すると否とを問いません。
有価証券にあたるものとしては、乗車券、定期券、宝くじ、郵便為替証券などがあります。
商品券も有価証券に含まれます。

偽造」とは、作成権限のない者が、他人の名義を冒用して有価証券を作成することをいいます。
形式上および外観において、一般人が真正な有価証券と誤信する程度のものでなければなりません。
「変造」とは、権限を有しない者が、真正に成立した他人名義の有価証券の非本質的部分に変更を加えることをいいます。
これについても、一般人が真正なものとして誤信する程度の外観・形式を備えている必要があります。
また、「虚偽記入」について、判例は、「既成の有価証券に対すると否とを問わず、有価証券に真実に反する記載をするすべての行為を指すものであって、手形にあっては基本的な振出行為を除いたいわゆる附属的手形行為の偽造等をいうものと解するを相当とする。」としています。(最決昭32・1・17)

◇行為◇

偽造有価証券行使罪の実行行為は、「行使」、「交付」、「輸入」することです。

「行使」とは、偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券を真正または内容の真実なものとして使用することをいいます。
偽造通貨行使罪のように、流通に置くことまで求められません。
そのため、信用を確保するため偽造小切手を真正なものとして第三者に見せる行為は、偽造小切手を真正な小切手として使用する行為に当たります。

また、「交付」は、情を知らない他人に偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券であることの情を明かして、または情を知っている他人にこれを与えることを意味します。

◇主観的要件◇

偽造有価証券交付罪および輸入罪は、「行使の目的」でこなわれることが必要です。

偽造有価証券行使罪の法定刑は、3月以上10年以下の懲役であり、罰金刑が定められていません。
偽造有価証券行使罪で起訴され、有罪となった場合には、上の法定刑の範囲内で刑が決められることになります。
また、偽造商品券を使って商品を購入したケースでは、偽造有価証券行使罪の他に、詐欺罪が成立することになります。
詐欺罪については、次回解説します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が偽造有価証券行使罪や詐欺罪で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

 

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